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ゾンビアウト  作者: 黒咲
第1章 伊達文太郎18歳の冬
12/24

11話

「柏木さん、こっちに学校があります。一旦この学校の校舎に入りましょう」


「島木! その校舎に逃げ込んでもゾンビどもに囲まれたら出れねーかもしれんぞ」


「わかってます。でも、とりあえず命を守らなきゃ」


「……仕方ねーか」


 柏木と島木は学校の正門の前に着くと正門が閉まっていることに気が付いた。

 正門はかなり大きく登ることはできなかった。


「島木、そっちの塀から登って中に入れるぞ」


 柏木と島木は塀を登って中に入る。そして、校庭を横切り校舎に向かった。


「この学校の周りは塀で囲んであるからゾンビは入ってこれないでしょうね」

 島木はホッと胸をなでおろした


「ああ、だが油断するなビルからゾロゾロ出て来たソンビどもは100匹以上はいたぞ、あれだけのゾンビが学校の正門にぶつかって来たら門が破壊されちまうかもしれん。とりあえず校舎に身を隠してそこから逃げる方法を考えよう」


柏木と島木は校舎の入り口から中に入る。


「島木、慎重にな」


「はい」


「柏木さん、あそこ見てください。ゾンビが…… その奥にも何匹かいますね」

 校舎の廊下にジャージを着たゾンビがうつむいて動かずジッとしている。

 そしてさらに奥の方、暗くてよく見えないが野球のユニフォームを着た2匹のゾンビが同じようにジッとして動かずにうつむいている。


「どうやらこの学校の教師のようだな。奥にいるのは生徒か…… 島木、始末できそうか?」


「とりあえず手前にいる奴はなんとか。でも、銃で撃てば倒れる音で奥にいるゾンビに気づかれるかもしれませんね。奥にいるゾンビどもが俺らに気づいたら一気に襲ってきますよ」


「確かになぁ。奥にいるゾンビどもは遠くて銃で撃っても当たるかどうか…… もう少し近づけば当てる自信はあるんだがな」


「どうします。あのゾンビども厄介ですね」


「よし俺に任せろ」


 そういうと柏木はしゃがみながら気配を消しゆっくりゾンビの方へ向かって歩き出した。

 柏木はジョージ姿のゾンビの後ろまでくると、腰から軍用ナイフをゆっくり取り出す。

 そしてそこから一気に立ち上がりゾンビの喉をかき切った。

 ゾンビは後ろを振り向いて柏木の襲いかかろうとした。ゾンビは喉を切ったぐらいでは死なない、頭を切り離すか潰すか以外に動きを止める方法はない。

 

 しかし、それを予測していた柏木は、ゾンビのこめかみにナイフを突き刺した。するとゾンビはピタッと動きを止めズルズルと崩れ落ちた。

 柏木はゾンビの体を支えながらゆっくりと仰向けに体を倒した。

 

 柏木は島木にこっちにくるよう合図する。

 

 島木が柏木の方へ向かった。

 

「柏木さん、流石ですね。まずゾンビの喉をかっ切って唸り声を上げさえないようにしてから始末するなんて」

 

「ああ、この方法なら奥のゾンビに気づかれずに始末できる」

 柏木はナイフを腰にしまうと、今度はハンドガンを取り出した。


「島木、この距離ならあそこにいるゾンビ撃てるな?」


「はい」

 柏木と島木は暗視スコープをつけてサイレンサーがついたハンドガンで奥にいるゾンビを撃つ。一瞬でバタバタと倒れていくゾンビ。


「とりあえずここにいるゾンビはこれだけか?」

 柏木が銃をしまいながら辺りを見回した。


「みたいっすね」


「外はどうだ?」


「ゾンビどもは中に入ってきてないですね。どうやら俺らの事は見失ったみてーっすよ」


「そうか、危なかったな。よし、裏門から出るぞ」


「了解っす。だけど、ワゴン車に武器を置いてきちゃいましたよ、武器は今持ってるだけです。どうします?」


「ああ、残念だがもう取りに戻れねーこのまま病院に行くぞ」


「そうっすか…… なんかヤバイかもしれないっすね」


「ああ、俺らの車に銃を撃ち込んだ奴らも気になるしな。まあ、とりあえず行くぞ」


「はい」

 柏木と島木が校舎の裏へと向かう。


「柏木さん、どうやらここは高校みたいですね。いや、イイすね駅の近くに高校があるなんて。登校が楽だったろうなぁ。あ〜なんか高校時代に戻りてーっすね」

 島木は自分を落ち着かせようとしているのか、いつものように軽口を始めた。


「お前、高校時代、楽しかったのかよ」

 柏木が軽く微笑みながら聞いた。


「ええ、毎日、勉強もしないで遊びまくってましたからねぇ」


「どーせ、ナンパとかしてたんだろ」

 

「いや、「どーせ」って…… まあ確かにしてましたけど」


「なんだ、お前、いま流行りのリア充ってやつかよ。な〜んか許せーねなぁ」


「え〜、柏木さんは違ったんですか? すげーイケメンで高身長だから俺以上にリア充だったんじゃねーすか?」


「俺は親が厳しかったから高校時代は勉強ばっかやってたよ。お前みたいにチャラチャラしてねーぞ。まあ、女にはモテたけどな」


「うわ〜、ひでぇ言い方。しかも、さりげなく自慢してるし」


 柏木がフッと笑いながら島木を横目で見た。しばらく歩いていると校舎の裏に出た。その先に裏門が見える。

「おしゃべりは終わりだ。行くぞ」


「へ〜い」


 柏木と島木が辺りを警戒した。


「どうやらこっちにはゾンビどもはいねーみてーっす」


「よし」


 柏木と島木が慎重に歩きながら裏門へと進む。すると突然、銃声が鳴る。


 柏木の足元で土煙があがった。


「島木、校舎に戻れ!」


 柏木と島木は急いで校舎に戻った。


「柏木さん、校舎の上の階から撃ってきてましたよ」


「ああ、島木、上へ上がるぞ! 撃ってきたやつを捕まえるんだ」


「ええ」


 柏木と島木が階段を登る。二階に着くと島木が階段からそっと廊下を見る。その瞬間、また銃声が鳴る。

 島木の近くの手すりに銃弾が当たる音が聞こえた。島木は慌てて顔を引っ込める。


「島木、援護しろ。お前が撃ったら俺が教室に入る。そして今度は俺が援護するから、お前も教室に入ってこい」


「わかりました」


 島木が廊下の手すりから顔を出す。するとまた銃声が聞こえた。島木は一旦顔を引っ込めるがすぐに撃ち返す。その瞬間、柏木が教室に向かって走っていった。

 柏木は素早く教室の扉を開け中に入ると、すぐさまハンドガンを撃った。そして、今度は島木が教室に向かって走った。島木はスライディングしながら教室に入った。


「よし、そこで援護しろ。俺は窓の外のひさしを通って様子を見てくる。上手くいけば挟み撃ちだ」


「頼んます」


 柏木が窓を開け外に出るとひさしの上を急いで歩いた。三つほど教室をすぎる、そして四つ目の教室を覗き込むと、迷彩服を着て武装した人間が三人いた。

 狙いをつけてハンドガンの引き金を引こうとした瞬間、三人のうち一人が柏木に気が付いた。

 

 引き金を引く柏木。


 柏木に気が付いた一人も撃ち返してきた。そして、残りの二人も撃ってきた。三人はアサルトライフルを持っていた。


 柏木と敵三人は交互に撃ち合う。


「くそ! 弾切れだ」

 

 柏木のハンドガンの弾が切れた。柏木はアサルトライフルのマガジンに弾が入っていることを確認し、今度はアサルトライフルで応戦した。すると、敵の一人が倒れる。どうやら足に命中したようだ。

 すかさず倒れた敵に狙いを定め、銃弾を打ち込むと弾は眉間に当たった。敵の一人が絶命した。

そして、残り二人の背後から銃声が聞こえた。島木だった。

 島木はアサルトライフルを敵に撃ちまくると残り二人も倒れる。


 柏木が窓から入ってくる。

「よくやった島木」


「柏木さん、やべーすよ。俺、弾切れです」


「俺もだ。こいつらの武器を奪え」


「はい」


 武器を奪った柏木は倒れた敵の調べるために敵を起こして仰向けにした。


「こいつらやっぱり、防弾チョッキを着てるな」


「ええ、ところでこれからどうします?」


「さっさと逃げるぞ」


「はい」


 柏木と島木が教室を出る。すると、階段からゾンビが五匹降りてきた。慌てて柏木と島木はゾンビを撃ち殺す。


「島木、降りるぞ」

 

 二人は階段を降りるとまたゾンビがいた。またも二人はゾンビを撃ち殺す。


「くそ! 結構いるな」

 柏木が廊下の奥の方からこっちに向かってくるゾンビを撃ちながら言う。


「こっちです。柏木さん」

 島木が廊下の窓を開けるとそこから飛び出した。それに柏木が続く。


「よし、裏門から逃げるぞ」

 柏木と島木が裏門に向かうと、ゾンビが裏門から大量に入ってきた。先ほどの銃声を聞きつけたようだ。


 ゾンビを撃ちまくる二人だったが、敵から入手した弾も尽きてしまった。


「だめだ島木、ゾンビがどんどん入ってくる。一旦、校舎に戻るぞ」


「了解です」


 二人は再び校舎に戻った。

 

「やべー 絶体絶命っす」


「島木、正門はどうだ?」


 島木が校舎に入り口に行き、正門の方を見に行く


「柏木さん、ダメっす。中には入ってきてませんが、正門や塀の周りにゾンビがウヨウヨいます。さっきの銃声で気づかれましたね」


「仕方ねー! 上に上がるぞ」


 二人は階段を登る。三階まで登ると教室から二匹ゾンビが出てきた。


「クソッタレ!」

 島木が毒づくとナイフと取り出しゾンビに向かっていった。柏木もナイフを取り出す、そして、島木に加勢しよとした。が、今度は後ろの方からゾンビが二匹、階段を登ってきた。


「そっちの二匹は任せる。俺は後ろのゾンビどもを倒す!」


「任せてください」


 柏木が走ってくるゾンビに向かっていく。


 ゾンビが二匹同時に島木に襲いかかってくる。それでも若干、左から来るゾンビの方が早く攻撃してくるとみた島木はまず左からくるゾンビに向かっていく。左のゾンビが島木に殴りかかってくる。

 それをしゃがんで避けるとゾンビに体当たりした。すると右のソンビにぶつかり二匹は倒れる。

すかさず島木は一匹目のゾンビの頭にナイフを突き刺す。

 

 そして、もう一匹のゾンビにもナイフを突き立てようとした瞬間、教室からもう一匹ゾンビが出てきて島木の顔面にパンチを入れた。


 吹っ飛ぶ島木。


 一瞬、意識を失った島木だったが、すぐに意識を取り戻し立ち上がった。しかし、先ほど殴りつけたゾンビが島木に襲いかかり首を絞める。


「島木!」


 それを見た柏木は二匹のゾンビの攻撃を交わしながら自分が持っていた軍用ナイフを島木の首を締めているゾンビに投げつけた。ナイフはゾンビの頭に刺さると、ゾンビはそのまま崩れ落ちた。

 島木は咳き込みながらもゾンビの頭に刺さっているナイフを抜き取ると、それを柏木を襲っているゾンビに投げつけた。ナイフはゾンビの頭に刺さる。


 そして今度は柏木がそのナイフをゾンビの頭から抜き、もう一匹のゾンビのこめかみに刺した。


 先ほど島木に襲いかかってきた右側のゾンビが立ち上がり再び襲いかかる。島木は冷静にそのゾンビのパンチを交わし足を引っ掛ける。ゾンビは仰向けに倒れると島木は頭にナイフを突き刺した。


「島木、大丈夫か?」


「ええ…… 大丈夫です。助かりました」


 柏木が島木に駆け寄ると、下の階からゾンビの唸り声が聞こえた。

 

「くそが! 仕方がねー。屋上に行くぞ!」


 柏木と島木は階段を登り屋上へと向かう。


「柏木さん、万策尽きたっすかね? 俺ら終わりですか?」


「まあ万策は尽きたがな。だが島木、諦めるな、俺らはこんな所で死なねーよ!」


 柏木が屋上への扉を開け屋上へと出る.


すると二人は驚きで目を見張る。


 なんと銃を構えた人間が複数いて柏木と島木に銃口を向けていたのだ。全員、迷彩服を着ていた。


 そして先頭に立って銃を構えていた一人が柏木と島木に声をかけた。


「終わりだ。柏木、島木」


 柏木と島木は両手を上げる。


「お前ら…… 何者だ?」


 島木が訪ねたが男は何も言わなかった。そして二人に声を掛けた男が無線で連絡をする。


「予定通りに柏木と島木を捕まえた。こっちにきて拾ってくれ」


 無線から了解という声が聞こえた。


「柏木さん……」


 島木がこいつらの正体を知りたそうな顔で柏木を見た。柏木は知らないといった感じで首を左右に振る。

 そして、1分もしないうちに大型の軍用ヘリコプターが飛んできた。

 ヘリコプターから縄梯子が降りてくる。


「登れ」


 男は柏木と島木に命令した。二人は言われるまま縄梯子を登り始める。


「よし、全員乗るんだ」


 そういうと屋上にいた男達も縄梯子を登り始めた。全員が席に着くと、島木がまた男に質問をした。

 

「俺たちをどこに連れて行く気だ」


 男は先ほどは島木の質問を無視をしていたが、今度は不敵な笑みを浮かべながら答えた


「安心しろ、元々行くはずだった所だよ」


「何?どこだ?」

 島木は男を睨みつける。


 そして、再び不敵な笑みを浮かべ男は答えた。

「そんな怖い顔で見るな。――おい!出発しろ!」


 男がヘリコプターの操縦者に指示をするとヘリコプターが動き始めた。そして男は不敵な笑みを浮かべたまま二人を見ていた。

 柏木と島木はお互いの顔を見合わせると柏木は何もするなといった感じで軽く頷いた。


 島木は逃げることを諦めると下を見た。するとゾンビが学校の正門を壊して校庭に入ってきていた。


「まあ、とりあえずはここから脱出できただけ良しとするか」

 島木はゾンビが校庭に入ってくる光景を見ながら、またいつもの調子で呑気に言うと、疲れたのか目を瞑った。

 それを見た柏木は軽く笑って同じように目を瞑った。

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