その手は。
視界の端に見えるのははやとの手…のはずなんだけど…
「どうしたの〜?」
と遠くから聞こえる声もはやとのもの。
声の聞こえた廊下の奥に目をこらすと、焦った様子の彼が走ってきた。
─────それじゃあ、この手は?
「!?」
後ろから髪を引っ張られた。
引っ張っているのは、その手…かな?
「おねーちゃん、動いたら殺すよ。」
耳元で、慣れない声が聞こえた。
声変わりをしていない、幼い声。
「ひっ…………」と息を呑み、またも硬直する。
その直後だった。
バン、と大きな音を立てて、走ってきた彼が私の背後にある掃除道具入れの扉を閉めたのは。
同時に、引っ張られていた髪はさらりと肩に落ちた。
──────私がへたり込んでいるのはたまにきずなんだけど、これって壁ドンってやつ?
「ほ……ほたる?」
「ななななななななな、なにがあったのかななななななな───」
「え、ちょっと…」
焦ったように肩を揺らす。
ちょっと滑舌が悪くなっちゃっただけで、別に大丈夫なんだけど。
「あああああ、大丈夫だからららら…。そそそれより、そそ掃除道具入れにはななななにががが」
「ええええええとね……」
はやとにもうつっちゃってるし。この口調。
本当面白い奴だな。
「──────僕もよく分かんなかったから、もいっかい開けようか。」
「なにゆうてん!?」
小説制限(詳細は活動報告)の隙間をぬって頑張って執筆いたしましたよ!
そのためいつもよりは短いです。
次こそは頑張るので…