表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校にある怪談  作者: 春日向楓
9/16

再会……愛しき人

桜の合図で目を閉じた。

暗い闇の中から、人影が近付いて来る。それは徐々にはっきりと、姿形を現した。

「茜ちゃん?会いたかったー。わー変わって無いね〜。母さんはちょっと老けちゃってたけど……何か年上のお姉さんって感じで、こっちの茜ちゃんも好きだよ〜」

慎太郎は、満面の笑顔で両手を広げ茜に近付いて来た……が、見事に茜に避けられていた。

「茜ちゃ〜ん」

「変わって無い訳無いでしょ‼︎14年よ。それより、何かわたしに言う事あるんじゃないの?」


『うわっ!キツ‼︎母さん相変わらず…家の両親ってこんな感じなんだ…』


「あ、そうだ、ごめん‼︎迎えに行けなくて」

そう言って慎太郎は、茜の前で深々と頭を下げた。

茜は、それを横目で見ながら、

「空港で何時間待ったと思ってんの?5時間よ!5時間!空港の職員に言われたわよ。

『早目にホテルの予約取った方が良いですよ』って……それが…こんな年になる迄待たされるなんて……何であなただけそんなに若いのよ‼︎」

茜は悔しそうに、慎太郎を睨みつけた。


『って、母さん…そこ?…』


「ごめん。本当に……ごめ…ん。言葉が足りなかったばっかりに、君に僕の死を知らせる事が、こんなに遅くなってしまった。そのせいで辛い思いをさせてしまったね……」

慎太郎の声は震えていた。

「本当!馬鹿なんだから……死んだり何かして……」

茜の目頭も赤く染まっていた。

翔太は、そんな母を見るのは初めてで、何か…弱い母を見てしまった気がして、俯いてしまった。


「茜ちゃん……翔太を産んでくれてありがとう。これ迄育ててくれて……ありがとう。

手伝ってあげられなくて……ごめん……これからも一緒に居られなくてごめんね……」

もう1度、茜の前で頭を下げた慎太郎の目から溢れた涙が、一粒、二粒足元に落ちた。

そして、

「3人で生きて…行きたかった……」

と言った慎太郎の言葉に、翔太も必死に涙を堪えた。


「いつかあなたに会えるかもって……あなたの実家の跡地に、この家を建てたのよ…訳も分からず捨てられたって思ってたから…わたしも病んでたのね〜…」

「あーやっぱり!懐かしい感じがしたんだ」


『そうだったんだ。だからか…あんな事があってもここを離れなかったのは…』



「いくら思い出そうとしても…

どうしてあの事故が起きたのか?分からない。

事故を起す前の記憶が、全く無いんだ。

ショックで忘れてしまったのかもしれないけど…

気付いたら…崖の下で転がってる僕を…

眺めている僕がいた……」

「……死んでる自分を見てたの?」

興奮して翔太が聞いた。聞いてから、好奇心で話を遮ってしまった事に…少し恥ずかしかった。

「その時は、自分が死んでしまったなんて考えたくなくて……だけど、段々そうなのかな?って自覚したら、自分が消滅して行くのが分かった。眩しい光が身体中を包んだかと思ったら、光と一緒に自分の身体が弾けて粉々に散った……キラキラ輝いていてとても綺麗だった。見惚れてたら意識が無くなって、それっきり……」

「へー……」

「ふーん……」

茜と翔太が思わず漏らした。


「あの日、後輩の謙也と一緒で……途中、仮眠を取ろうと、運転を代わったんだ」

「謙也?」

「うん。大学時代の後輩で、彼も一緒にあの事故に……」

「あなたの事故の記事読んだわ。峠の道をスピードの出し過ぎで、横道に逸れ崖から落ちたって……そこにはあなた1人って事になってたけど?……」

茜は14年前の事故の記事を、図書館で調べていた。

「そんな筈無いよ!」

「その謙也って人が運転してたの?そもそもなんでその人あなたに付いて来たの?」


「それは…僕が車に荷物を積み込んでいた時。偶然謙也が、アパートの前を通りかかったんだ。彼女と喧嘩して、デートの途中で帰って来てしまったとかで…」

「彼女置いて来ちゃったんだ……」

翔太の心の声がつい漏れた。

ペチッ‼︎と、茜が翔太の後頭部を軽く叩いた。

慎太郎が苦笑いして話を続ける。

「空いた時間をブラブラ潰してたら、偶々アパートの前で僕を見つけて声を掛けて来たらしい。大学以来で久々だったんで、つい懐かしくて話込んでしまって…」

「大学?…わたしは全然知ら無いわね…」

「あー1度だけ紹介した事あったよ」

「そうだった?…上の名前は?」

茜は何気に、慎太郎の記憶を疑って聞いた。

「えーと……確か……あれ?何だっけ……」

「何それ!大して知ら無いんじゃないの?」

「えー……そうなのかな?」

慎太郎は、不安そうな顔をしている。

「まーいいわ。続けて」


桜は…ぼんやり茜と慎太郎の様子を見ていると…翔太の性格は、慎太郎に良く似てるな〜と思っていた。


「それで、これから婚約者を、親のいる北海道へ連れて行く予定だった事。だけど、急遽君は仕事で明日になった事。仕方無く僕だけ先に行く事……そんな話をしていたら……いきなり彼が、僕も連れてって下さいって」

「⁇……何それ‼︎何でそうなるの?」

「何か彼女と喧嘩してムシャクシャするから、北海道の大地を見て気持ちを切り替えたいって……」

「話出来過ぎじゃない?……それって、本当に偶然なのかな?」

茜にはとても、自然には思え無かった。

「えっ……そんなもんなのかな…って、その時は…」

「だいたい何故高速で行かなかったの?普通乗るでしょ」

「謙也が、運転慣れて無いから。下で行こうって…」


「結局!彼の遺体も未だに見つかって無いし……可笑しいわよね……これって、ただの事故じゃ無いんじゃない?」

「どう言う事?」

慎太郎には、茜の言ってる意味がまるで分から無い様子。

「桜…さん」

翔太は、桜にお願いする様に呼んだ。

「そうね。滝川さんの言ってた事も気になるし…少し踏み込んだ方が良さそうね……」


「なに?なになに?」

茜が興味津々に聞いて来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ