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学校にある怪談  作者: 春日向楓
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真相……闇に蠢く者の正体

中3の夏。受験勉強真っ只中、毎日必死に勉強した。

最終追い込みに余念は無かったが……俺は緊張と不安で、精神的に不安定になっていた。

そして、ほんのちょっとの好奇心と、ストレス解消のつもりで、タバコを買って…この山の上に有る自然公園のトイレで吸った。

後ろめたい気持ちを押し殺し、1本目に火を付けた。思い切り吸ったら咳込んで、息が出来無くて苦しくて、慌てて消した。

少しして、もう1度火を付けて見た……今度はゆっくり少しだけ吸い込んだ……頭がくらっとしてふわふわした。

何か気持ちが落ち着いて、ほっとした。

煙を吐きながら、暫くそこでじっと、天井眺めてた。


ほんの少しだけど、不安も忘れて、俺はこれからも頑張れる。

そんな気持ちで……トイレの扉を開けた。


そこに……秋田川が立ってた。


付けられてるなんて……全然気付かなかった。


「君はうちの生徒だろう?」

俺は固まったまま、返事も出来ず、ただ立っていた。

やってしまった……見られてしまった。

焦りで頭の中が真っ白だった。


「タバコ……吸ったのか?」

「…………」

「そんな物!煙ったいだけで、美味くも何とも無いだろ」

「…………」

「興味本位でそんな物吸うな!」

「…………」

「残りを渡しなさい。今回は見逃してあげるから、2度とするんじゃ無いぞ!」

そう言っていきなり、俺の頭に拳骨して来た。

そして俺は解放された。


家に帰っても落ち着かない。

学校にバラされる、バラされたら受験が出来なくなる。

これ迄、何もかも犠牲にして頑張ってた来た物が、全て無駄になる。

親にバレたら、見放される。

どうしよう……って


だけど秋田川はバラさなかった。

その変わり俺を監視した。

いつも俺を見てた。

事あるごとに、俺に話し掛けて来た。

何から何まで俺のする事に、あいつは干渉して……

俺を…無言で脅し続けた。

俺はもう何も手に付かなくなって、

勉強も……もう……駄目になった。


秋田川は、俺がタバコを買う所を見て付けて来たんだ。そして、俺がタバコ吸うのを確認してから声をかけて来た。

最初から脅す為に……。



『違う……!』



翔太は桜の目を見た。

「…………?」

桜は首を傾げた。

「あの、母さん怖がるかな……って思って黙ってたんだけど…」

翔太は佐渡に聞こえない様に、小さな声で桜に話し掛けた。

「なに?」

「ガンコツ先生付いて来ちゃったみたいで……ずっとそこに居るんだけど……」

「居るの⁈」

「しっ!多分、宿直室入れ無くて……困って付いて来ちゃったんだ!良く有るんだ、こういう事。それに元々ここは、ガンコツ先生の家があった場所だからね。

来やすかったのかも……でね、先生が『違う』って言ってる」


「そこ‼︎何ゴチャゴチャ言ってんの⁈」


佐渡に怒鳴られ翔太は思わず

「先生が、違う!って……言ってる」


「あーん!何言ってんだお前」


「ガンコツ先生は、人前で注意したら佐渡先生を傷付けてしまうから、人気の無い所へ行ったら声掛けようと先生の後を追ってた。だけど、途中で見失ってしまって、公園内を探してたら、トイレでタバコを吸ってる先生を見つけたって」


「へー……お前見えるんだ。

あーそれで…来栖川と良いコンビな訳ね」


「翔ちゃん?……何が見えてるのかな?」

茜が恐る恐る聞いた。

「茜さん、大丈夫ですよ。慎太郎さんのお父さんです」

桜が、茜が怖がらない様に、優しく説明した。

「え?……へ、へー……」

茜には大丈夫の意味が分からなかった。

ただ茜にも、今はそれどころで無い事は分かっていたので、それ以上聞かないでいようと思った。


「何々、そこに居る訳?丁度いいや、居るなら聞いててよ。全くお前等は好きだな〜そう言うの……まーいいや、付き合ってやるよ」


「ガンコツ先生は、脅すつもりなんか無かったと思います」


「全くあんた等親子は、孫迄俺に関わって来るとは思いませんでしたよ!」

佐渡は大袈裟に溜息をついた。


「当然‼︎あなたの思惑通り、高校受験は散々でしたよ。親にも見放され、落ちこぼれ扱い。

お情けで、行きたくも無い大学通わされて……

あんな事が無けりゃ、今頃は……輝かしい人生送ってた筈なのに……お蔭さんで急転直下、俺の人生奈落の底ですよ」


「それって、逆怨みの何物でも無いでしょ」

桜が我慢出来ず、つい言葉が漏れる。



あの時も……

滑り止めの高校に入学して、暫くは親の言いなりに通ってはいたけど…

どいつもこいつも馬鹿ばっかりで

どうにも気が晴れなかった……

その根源は…あの北星中学!

俺の中では、日に日に闇が育って行った。

抑えれば抑える程、行き場の無い憎しみや不満、嫉妬、焦りが膨れあがり、どんどん大きくなって行く。

いつか大爆発するのも時間の問題だ。

捌け口を探して、夜中に学校に忍び込んでは学校を破壊しまくった。

校舎が悲鳴を上げる。

俺に逆らう物は居ない、俺が1番だって……実感した。

『鬼子参上』

俺にピッタリじゃないですか?先生!



だけど……その時は、晴れた気がした心も……暫くすると……また曇より濁って来る。

そんな事繰り返してたある晩……

暴走族に1人で立ち向う、あんたを見かけた。

見ものでしたよ。面白かった〜

バイクに突っ込まれて、ぶっ倒れた姿は、もうマジテンション上がったね〜

人形みたいに動かないあんたを、暴走族が抱えて宿直室に運んで行った……腹抱えて笑っちゃいました。


先生、俺を捕まえる為、学校に泊まり込んでんだって、その時初めて知って……受けたなー

それで、気付いちゃったんですよ〜

俺の負の根源は北星中学よりも……あんた!だって

あんたを殺せば俺の気持ちもスッキリ晴れる……筈ってね。

暴走族が帰るのを待って、あんたの気絶してる宿直室に向かった。そしたら、ビックリ!気絶してる筈のあんたと、廊下で鉢合わせ…今でも、思い出しますよ。あの、1年の教室前の廊下。あそこ通ると……ゾクゾクする。

それでね。話戻すけど、慌てちゃってさ〜

取り敢えず持っていたバットを、思いっきり振り下ろた。

大当たり〜…あれ以来、曇よりする事は無くなった。

あんたの頭にバットを振り下ろした快感が……今でも忘れられませんよ。


『やはり君か……』


「先生……分かってたの?」

翔太は以外の秋田川の言葉に驚いた。


『私だけで無く、慎太郎までも手に掛けていたのか……なんと悍ましい』


「あーん!何だって?」

佐渡は、秋田川と話す翔太に苛立った。

「こっちにも分かる様に話せ!」


「先生はあなたの思ってる様な人じゃ無い!」


「そうよ!全部自業自得!逆怨みじゃ無い‼︎息子に詫びながら、尽くして来た生徒がこんな奴だった何て、先生も慎太郎さんも浮かばれ無いわ!」


「慎太郎のお父さんも、あなたが殺したの?……」

茜は、もう話に付いて行けなかった。



身内だからね、君達は……庇う気持ちもわかるよ。

俺の親父も色々やってくれたよ。

血だらけで帰って来た俺を見た親父が、あっちこっち手を回した……

俺の親父は、キャリアでね。

当時は順風満帆、本店の幹部候補に名を連ねてた。息子のせいで、そのチャンスをみすみす捨てる訳には行かなかったんだな……

息子の為って言うより、自分の保身の為だ。

次の日新聞見たら、事故扱いになってた。

気の毒に……たかが中学教師!

結局そんな扱いですよ。

ざまぁー見ろだ!


「酷い‼︎許せない……」

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