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短編集

転生したらまた会おう!

作者:

初作品よっつめです。短いです。

「もうお別れみたい…僕のこと、忘れないで…」


 僕は目を閉じて永遠の眠りにつく。享年29歳。まだやりたいことがいっぱいあった。なにより彼女をしばらく1人にしてしまうことがつらい。


 昔から体が弱くてよく病院のお世話になっていた。でも大人になるにつれ、倒れることも少なくなって体が強くなったんだと思っていた。念願の彼女もできて、そろそろ結婚しようかなって考えていた。そんな矢先に癌が見つかった。末期だった。最近、病院に行くこともなかったから発見が遅れた。

 正直言うと、結婚前に見つかって良かったと思った。結婚する前ならきっと彼女は立ち直って新しい彼氏もできると思ったから。さすがに忘れられたりなんとも思われていなかったら悲しいので忘れないで欲しいけど、前向きな彼女なら幸せな人生を歩めると思うんだ。まぁ僕のただの願望でしかないけど。




 それにしてもなんで僕は考えることができてるんだろう。僕の周りは暗い。ここは死後の世界なんだろうか。

 試しにちょっと体を動かしてみる。真っ暗でわからないけど、体がある感触だ。とりあえず走ってみた。体が軽い!最近はずっと寝たきりで体なんてまともに動かなかったから感動する。



 闇雲に走っていると明かりが見えた。明かりに向かって走り続けた。急に視界が広くなり一瞬目が見えなくなったけど、よく見ると見知った光景だった。



 ここは僕が最期を迎えた病院だ!でも全ての物が大きくなっている、いや、僕が小さくなったんだ!

 これはもしかして小動物かなにかに転生したのか?あぁ、そんなことはどうでもいい!彼女にもう一度会えるんだ!


 僕は彼女の一人暮らしのアパートに向けて走り出した。彼女に会えても、ごめん、ありがとう、好きだって言えないけれど、彼女を見守ることができる。

 はやる心をおさえながら彼女のアパートの扉前に立った。郵便受けの隙間から部屋に入る。部屋は真っ暗だ、彼女は寝ているみたいだ。彼女の寝顔を見ると涙の跡があった。僕のことで泣かせてしまってごめんね、でもありがとう。




 好きだよ。寝てる彼女に寄り添い頬に触れる。





 次の瞬間、起き上がり僕を振り払い立ち去る彼女。






 しばらくして帰ってきた彼女は僕に催涙スプレーのようなものをかける。

(やめてくれ!息ができない!僕だよ!うぁ、グッ、苦しい、せっかく会えたのに…)





 僕の二度目の命はあっけなく終わってしまった。











「嫌だよ、怖いよぉー、でっかいゴキブリに顔触られた!気持ち悪いよぅ、泣きそう」




 ゴキブリに転生したとは知らなかった僕は彼女にこてんぱんにされた。


お読みいただきありがとうございました。

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