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異界探索行  作者: 詩月凍馬
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目覚めと混乱

 些か不適切な表現もするが、俺が目を覚ました(・・・・・・)のは見慣れたポッドの中だった。

 緑がかった青と言う不思議な色合いの液体越しに、こちらも見慣れた無機質な金属の天上が写る。

 そのどちらもが見慣れたものであった事が、なおの事俺の混乱に拍車をかけた。

 

 あぁ、確かに見慣れている。

 だがそれは、『ある意味で』と言う前提がついての事だ。

 

ヘッドマウントディスプレイ対応型MMORPG『○○○・○○○○○(ザッ、ザァァ・・・・)』――っぐ、なんだ?


 今、思考にノイズが走った気が・・・

 確か、ゲームの名前を思い出そうとしたんだよな?

 そう、『○○○・○・・・(ザザッ、ザァァ・・・)』

 っく、まただ・・。

 ゲームの名前を思い浮かべようとすると、まるで狙ったかの様にノイズが走った。


 その事にどうにも嫌な感覚を味わいながら、俺は取りあえず思考を進める事にする。


 まぁ、その件のゲームに置けるスタート地点――これはログインや所謂所の『死に戻り』も含む――にあたるバイタルポッドの中から見る光景だ。

 だからまぁ、『見慣れている』のは確かではある。

 あるんだが・・・だからこそおかしいとも言える。


 確かに昨今のVR技術の発展には目覚しいものがあるものの、小説などに出てくる様な全感覚リンク型のフルダイブMMOなんて代物は、まだその技術の足がかりすら得られていない。

 夢のまた夢、とでも謳って良いだろう。

 一ゲーマーとして憧れるものはあるが。

 現在の技術ではヘッドホン一体型のヘッドマウントディスプレイを被る事で臨場感を高める程度が精一杯、と言う所だ。


 とは言え、一昔前のPCの前に座り、モニター越しに眺めるよりは余程操作する自キャラとの一体感を得られるので、まぁ、これはこれで満足はしているのだが。


 と、それはさておくとして、現行のゲームであれば例えそれがどんな機種であろうが、視覚と聴覚以外にゲーム世界との接点がない、と言うのは事実。

 にも関わらず、今の俺は液体に漬かっていると言う感覚を感じているのだ。

 これはどう考えてもおかしいだろう。


 あのゲームをやり込んでいる以上、幾度と無くバイタルポッドで目覚める事はあったが、だからと言ってその中の一度として液体に漬かっている感覚を感じながら目覚めた事など、当然の事ながらあった例は無い。


 そんな機能自体が存在しないのだから、それが当たり前なのだ。

 にも関らず、今、事実として俺はバイタルポッド内に満ちているエリクシル――体組成細胞活性培養液の通称――に使っているのだと感じている。

 プールに潜った時などに感じるあの感覚だ。

 そしてそれを感じていると言う事は、俺の触覚が機能していると言う証拠でもある。


 当然ながら、ゲームの世界でそんなものがある筈がないので、ならばこれはリアルなのだと言うことになるのだが・・・。


――まぁ、何にせよまずはここから出る事、だな・・・。


 胸中で呟き、慣れ親しんだ操作を行う。

 とは言え、ゲーム本来の仕様であればディスプレイに浮かぶ文字郡を確認しながら『溶液排出』『開錠』『開放』の順に浮かぶコマンドにカーソルを合わせて決定を押す、と言う事になるのだが、現状のそれは少々勝手が違った。

 俺が目覚めると同時にコマンド・・・と言うか肉体の状態を示す画面自体は目の前に浮かんでいるのだが、それをどう操作したものか暫し迷う事になる。

 流石に今まで現実世界で握っていたコントローラを今も手にしているでもなく、かと言って目の前に浮かぶソレを押そうにもすり抜けてしまうだけで意味が無い。


 暫くあちらこちらと視線を動かし、両手の動く範囲を探った所で丁度右手の辺りに幾つかのボタンらしきものがあるのを探り当てた。

 生憎と体を起こして確認する訳にはいかない――そもそも、体を起こせる程にバイタルポッドは広い訳ではない――ので、それぞれ押して確かめるしかないかと覚悟を決めたのだが――


――・・・な、何だ? 俺はこれの操作法を知っている・・・?


 唐突に、脳裏に浮かび上がる情報。

 右手側に位置するボタンのどれをどう操作すればポッドを開ける事が出来るかは勿論、ポッド本来の目的である治療や肉体強化と言ったありとあらゆる操作の仕方が、頭の中に刷り込まれた。

 それも、まるで何年もの間に渡り扱い続けて来たような、そんな当たり前でごくごく自然な知識として、だ。

 日常的に扱っている箸の使い方、自転車の乗り方、と言った様な現実で慣れ親しんだそれらと殆ど同列の自然さで、このバイタルポッドの操作法を習得している感覚に戸惑いながらも、俺の体は滑らかな動作で溶液の排出操作を行っていた。


 体に負担をかけない速度でエリクシルが排出されていくに伴って、徐々に鮮明さを増していく天上を眺めながら、俺は心が妙に落ち着いていくのを感じていた。

 混乱が一週回ったことで、逆に冷静になれたのかも知れない。

 エリクシルの排出が終わった所で、流れる様に開錠と開放の操作を行う。


 今まで漬かっていたエリクシルという液体は、液中でも呼吸可能である上に肺腑にまで取り込んだそれを吐き出す必要も無いという不思議な液体だ。

 本来、肺と言う器官には液体を吸収する機能がないにも関らず、吸収されてしまうと言うのは奇妙な感じもするが、まぁ、そんなものなのだと納得するしかない。

 細かい成分がどうと言う所までは知りたいとは思わないし、知ったところでさほど出来が言い訳でもない俺の頭では恐らくは理解しきれないだろう。


 まぁ、ポッドの操作を当たり前の様に知っているか様に、脳裏に知識が浮かび上がった事を考えれば、もしかしたら当然の様に理解できてしまう可能性もないではないが、それに関しては後回しでも良いだろう。


 現状、まず優先すべきは何を置いても自分が置かれている状況である。


 そう思いながら、カバーが開くのを待って体を起こした俺を出迎えたのは、やはり見慣れた景色だった。

 無機質な金属の壁と床、そして整然と等間隔に5基ずつ四列に並んだ、合計20のバイタルポッド。

 唯一開いている俺のポッド以外のカバーはピッタリと閉じられ、非稼動状態を示す待機ランプが点っている。

 そんなポッドのカバーに刻まれているのは、これもまた見慣れた俺がマスターを勤めるギルドーーInvestigator(求道者を意味するラテン語)――のシンボルである王冠の前で交差する剣と杖のマーク。


 それを見て、何となく自分の今居る場所を理解した。

 あのゲーム内において所有しているマイシップと呼ばれる拠点、その中にあるバイタルポッドルーム――通称ポッドルームに居るらしい。


 と言うのは、あのゲームは妙にシビアと言うかリアルと言うか、セーブや回復出来る施設と言うのがマイシップにあるバイタルポッドのみだからだ。

 無論、回復に関して言えばアイテムや量子制御法――Quantum control methood。通称はQCM。所謂魔法だと思えば良い――でも可能だが、通常のゲームならあってもおかしくはない宿屋や教会、なんてものはなく、セーブする為には一々マイシップにまで戻らないといけない訳だ。


 宣伝の謳い文句に『リアルさを徹底追及!』なんて言っていたが、確かにその通りではあった訳だ。

 まぁ、不便かどうかと言われれば、満場一致で『不便だ!』と返ってくるだろうが、フィールドの何処にいてもセーブ可能、ログアウトOKです、なんてゲームよりはよりリアルな分面白い部分もあった為、差し引きゼロだろう。


 セーブ――あのゲームではクローン・コードと言うが――がマイシップのポッドルームのみ、と言う背景には『死に戻りは勿論、現在の状態を記録させようすれば当然それ相応の施設が必要であり、極普通の宿屋や町の教会等にそんな機材があるのは少々不自然である』と言う運営側の意見・・・と言うか、ゲームの設定があるわけだが、言われてみればまぁ確かにと言う気もする。


 そう言う意味では、確かにリアルさを追求している訳だ。


 そして、それが嫌だと言うプレイヤーは、さっさとこのゲームに見切りをつけて別のゲームに移り、その面倒くささを含めて楽しめるプレイヤーが残る。

 俺もその一人だ。


 と、その辺りはまた折に触れるとして、このマイシップと言うのは最初から取得しているものはもっと小型のもので、星間移動兼大気圏内移動の際に使用するコントロール・ルームとバイタルポッドが一つのみのポッドルーム、プレイヤーの個室とも言える10畳程の宿泊室があるだけだ。

 これは一般的にソロシップと呼ばれる。


 対して、今俺が居るような大型艦はギルドシップと呼ばれるものだ。

 その名の通り、ギルドでの運用を前提に作られているだけあってかなり設備も充実しており、ポッドルームに置かれているバイタルポッドと同じ数の個室に加え、会議室、談話室、食堂、倉庫、さらには装備の修理や改造をする為の研究室とメンテナンスルームまで着いているのだから、その規模が凡そは想像できるだろうと思う。


 シップはそれぞれソロシップ、ギルドシップともに西洋で言う所の爵位に因んだ階級分けがされていており、俺が所有するギルドシップ『グリフォン』は伯爵級のもので、ある意味では一番ポピュラーなサイズのギルドシップであるとも言える。

 大型ギルド、なんて呼ばれる者たちの中には、それこそ大公級なんて言う化け物を所有している所もないではないが、そんなものは極少数だ。


 俺のギルド『求道者』のメンバー総数は俺を含め18人程度だし、例え20人を超える様なギルドであっても、普通は伯爵級ギルドシップ二隻、若しくは三隻といった具合であり、伯爵級以上のギルドシップと言うのは殆ど見ないと言っていい。


 理由としては大型イベントでも起きない限り、ギルドメンバー全員で移動する事など殆どない事と、もう一つ大きなものとして伯爵級を超えるギルドシップは値段が一気に跳ね上がると言う事もある。

 特に大公級なんぞ買おうものなら、フルチューンの伯爵級ギルドシップが丸々5台は買える額が吹っ飛ぶ事になる。

 それも、船体だけの値段で、だ。

 内装に必要なバイタルポッドや何かを――各個室は個々人に負担させるにしても――そろえる事を考えると、俺としては考えたくもない額になる。

 それ位なら、伯爵級を数買いした方が勝手が良い、と言うのが大半を占めている訳だ。


 閑話休題。


 兎も角、今居る場所がどうやらギルドシップ『グリフォン』の内部らしい事は解った。

 なぜココにいるのかと言った疑問は今は置いておくとして、まずしなければならない事がある。

 それは、服を着る事だ。

 ゲームの時であれば死に戻りだろうが、クローン・コード再生によるログインだろうが、服・・・と言うか装備はそのままだったのだが、今の俺は何故か裸だ。


 幸いと言うか、ギルドシップを始め各種操作に必要なリングと呼ばれる腕輪状の端末は左腕についているので、まずは艦内マップを表示して乗員の確認。


 リングによるストレージは個人用とギルドシップのものと両方にアクセス可能だが、服に関して言えば自室のクローゼットに仕舞ってある為、ここからでは引き出す事が出来ない。

 つまり、ココから最低自室までは裸で闊歩せざるを得ない訳で、露出嗜好がある訳でもない俺としては、乗員の確認は必須事項。

 もし乗員が居るようなら本気で大問題である。

 何しろ、ギルドメンバーの中には女性も居る訳で、出くわしでもすればその時点で変態の烙印は確実だ。


 ちなみに、このゲームは基本がボイスチャットな上に、音声変換系の外部接続機器の類が対応されない為、ネカマ及びネナベプレイと言うのは難しい事は明記しておく。

 ついでに言うとQCMの発動は勿論、量子制御武装(QCW)――つまりは武器だ――にも音声が始動キーとして必要な為、声を封じてネカマプレイをしようとすれば、武器も魔法も使えずに生身の体で戦う事になる訳で、そこまでして女を演じるメリットはまず無いだろう。


 ゲームが発売されだした当時はそれこそ、それを知らずに女キャラを作ったネカマプレイヤーも居たが、見目麗しき女性の口から野太い男の声で女言葉が紡ぎだされると言うある種の地獄絵図が広がったものである。


 とは言え、識別要素が声だけなので、今でもネカマがゼロだとは言い切れないのは確かだが。


 まぁ、いずれにせよ、それが外見女なだけの野郎だろうが、本物の女性プレイヤーだろうが、素っ裸の状態で出くわすのは御免である。

 無論、男性プレイヤーだったとしても女性よりはまだマシと言うだけで、裸で出会いたくはないが。


 兎にも角にも、確認した結果、艦内にプレイヤーを示す生体反応は1つ・・・つまりは俺だけだと言う事が判明した。


 不幸中の幸い、と言う奴だろうか?


 そんな事を考えながらも、俺は足早にポッドルームを後にすると、艦内にある自室を目指して足を進める。

 ゲームとしてであれば幾度と無く歩いた筈の道ではあるのだが、こうして自身の目と耳で確認し、感覚を持って歩くとどうにも奇妙な感覚が付き纏う。


 最も、一番奇妙なのは生身の体で歩くのは始めてである筈なのに、どうにも慣れを感じていると言うその一点こそが奇妙なのは確かだ。

 車の窓から見慣れた道であっても、実際に歩けばやはりそこには新鮮さがついて回るものなのだが、俺にとっては新鮮さよりも慣れ親しんだ光景への安心感が先に立つ。

 繰り返し言うが、生身で歩くのは始めてにも関わらず、だ。

 なんとも不可思議極まる感覚である。


 と、そんな奇妙な感覚と感慨を覚えつつ、到着したエレベーターに乗り込んで居住区がある階層を指定。

 到着と同時に開いたドアを潜って真っ直ぐに伸びた通路を進めば、その突き当りが俺の自室に当たる。

 自然、早くなる足取りを自覚しつつ、辿り着いた自室ドアの横にある識別装置に左腕の端末を翳して開錠。

 小さな圧縮空気の音と共に開いたドアを潜り、自室へと入る。


 当然と言えば当然だが、やはりここも見慣れた艦内の自室である。

 日本式・・・と言うと少々あれだが、俺の部屋は靴を脱いで入る形式をとっており、たたきから床の部分が一段高くなっている。

 最も、廊下を挟まずにリビングと直結しているので、玄関と言うには少々御幣があるのは確かだ。


 普段――と言うより、ゲーム中であれば靴装備を解除するのだが、現在の俺は裸であり裸足。

 仕方が無いのでそのまま上がりこむ。


 艦内はオートクリーンシステムが働いている為、それこそ泥だらけのままで闊歩しようと、即座に清浄な状態に戻り綺麗なままではあるのだが、これは身についた日本人としての性分・・・もしくは拘りだ。

 土足のままに部屋に上がるというのは、例えゲーム中であってもあまり慣れない、と言う訳だ。

 無論、ゲーム的にそう言った靴を脱ぐ、なんてシステムが適応されないものであるのなら、仕方ないと割り切りはするが。


 兎も角、上がってすぐのリビングは約10畳の広さで、大き目のガラステーブルが中央に、それをコの字に囲むように黒皮のソファーを配置し、その対面に当たる壁に大き目のモニターが付けられている。

 周囲を見渡せば壁際に置かれた子棚やそこに飾られた十数本に及ぶ酒瓶とクリスタルグラス等も見えるのだが、現在は無視して通り過ぎる。

 入り口から見て正面の壁の右隅に位置する扉を抜けて廊下に出ると、そのままの足でまずは風呂場へと向かう。


 感覚を共有できるフルダイブでもないにも関わらず、風呂場、なんてものが作れる背景には、やはり『リアルの追求』を謳った開発スタッフの妙な拘りがある。


 ゲーム内ではそれこそ泥の中を転げまわろうが、四足のモンスターの足元に潜り込んでから腹を切り裂こうが、キャラクターに汚れがつく事は無い。

 現実で考えれば、明らかに泥まみれ、血まみれ間違いなしだが、まぁ、そこはゲーム。

 一々泥汚れやら返り血やらで汚れた姿よりは、綺麗なままのキャラクターで描写した方が良いのは確かだろう。


 当然、本来ならついて回る泥やら血やら、果ては汗なんかの臭いも存在しないし、もし存在したとしても現実で操作する俺達には感じられない。


 だからだろうが、ゲーム発売当初、風呂、なんてものは全く見向きもされずにただただモンスターの討伐やクエストの消化に勤しむプレイヤーで溢れていた。

 これは、女性キャラクターにおいても変わらなかったのだが、その内、妙な事が噂されだした。


 俺を含む極少数派のプレイヤー――つまり、クエストから戻るとシャワーなり風呂なりで体を清め、装備――服系装備であればクリーニング・鎧系なら清掃整備を行っているプレイヤーに対して、風呂に入っていないプレイヤーは獣系モンスター等に発見されやすいと言うものだ。


 まさかと思い、色々試した結果、真実ではあったが・・・。


 まぁ、詰まる所俺達が感じられないだけで『臭い』と言うのは隠しステータス扱いで存在し、風呂やシャワーで汚れを落とし、装備の清掃も行う事で『体臭を極力低くした』キャラクターに比べ、強い体臭がモンスターを引き付けていた、と言う事である。

 理屈としては解るが、どうにも妙な所でリアルだと呆れ混じりに関心したのが懐かしい。


 ともあれ、そう言った背景ではあるが、今の俺には風呂があるのは正直な所ありがたい。


 ゲームであれば幾度と無く漬かったエリクシルではあるが、生身として浸かったのは初めてである為、無害と解っていても体を洗い流したくて仕方がないのだ。

 そんな訳でさっさと脱衣所の扉を潜り、風呂場へ入る。

 妙な所で凝り性と言われる俺の性格のせいではあるが、一時期ルームクリエイトに嵌ったお陰で俺の部屋の風呂はかなり広い。

 大柄な男性であっても5人は一度に寛げるだろう広さは確保している。


 ・・まぁ、その為に一時期、空間拡張装置の位階を上げる為の素材を求めて、高レベルモンスターを駆り続けた日々は今でもハッキリと思い出せる訳だが。


 そんな益体もない事を思い出しつつ、洗い場のシャワーで体を流し、消臭成分配合のボディーシャンプーで体を、同じく消臭成分配合のシャンプーでさっさと頭を洗い流し、浴槽に浸かる。

 相も変わらずリアルすぎる水の感触を感じながら、ある程度温まった所で浴槽を後にした。


 体を拭いて脱衣所に添え付きの端末から衣服を呼び出し、着替える。

 クエストに出る訳でもないので、下はブルージーンズ、上は黒の長袖シャツとラフな物だが、服を身に着けた事で漸く人心地がついた。

 知らず、深々と吐いた溜息がそれを物語っていると言えよう。

 何にせよ、リビングに戻って思考を進める事にしようか。

 


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