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手帳  作者: りば→す
2/2

道端


 いつからだっただろうか。

 こんな気持ちを抱くようになったのは。


 どうしてだろう。

 いつから、世界はこんなに汚くなった。



 努力は報われる。

 頑張った人こそが幸せをつかむことが出来る。

 未来は自分の手で切り開くんだ。


 物語の主人公たちはどんな苦難にぶつかったとしても、仲間にさせられて、最後には笑顔で幕を閉じる。

 でも、現実はそうではなくて。


 最近の世の中ではこんなことを言っても笑われる。

 そんなの、当たり前でしょ。

 今更何言ってんの。

 勝手に夢見て現実に絶望して、悲劇のヒロイン面しないでよ、って。


 確かにそう。

 私は現実に覚めた目を向けながら、心のどこかで希望を夢見ている偽善者でしかない。


 でも、どう言ったって私の自由でしょ。



 道行く人は多種多様。

 一人で俯いている人、手をつないで歩く親子、未来を語らう恋人達。


 どの人も平等に与えられた命だ。

 ただ、生まれた育った環境や、出会った人が違っていくだけで。

 こんなにも、人生に差が生まれるんだ。



 あぁ、ほら見て…。


 あんなに頑張って、食いしばって、身体を削って生きているというのに。

 彼を掴んで離さない人々は、骨の髄まで彼の全てを吸いつくして。


 あぁ、ほら見て…。


 必死に自分を保とうと震えているのに。

 壊れそうな彼を、我知らずと叩き潰そうとする人々を。



 誰として、助けることなど出来なくて……。

 ただ、見ていることしか出来なくて……。


 法も社会も無に等しい。

 誰が彼を守れるというのだろうか。



 道端で、今日も一人。

 私は冷めた目で道行く人を見つめている。



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