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手帳  作者: りば→す
1/2


 目が覚めた時、まず感じたのは気持ち悪いほどの寒さ。

 そして、白い息。


 時計を見ればAM5:47。

 ここで二度寝をすれば確実に寝過ごす。

 かといって布団の外には出たくない。

 どうしよう……。

 毛布をかぶってたら寒くないかな。

 まだ牛乳も残ってたし、熱めのココアでも作ろうかな。

 ……よし、ココア飲も。



 毛布をかぶりながらココアをすする。

 ふぅーと吐き出した息はさっきよりも白くなった。

 まだ太陽は昇っていないようで、電気を消すと周囲は一気に闇に包まれる。


 ふとカーテンを開けてみた。

 特に理由はない。

 ただ、無性に何かが気になって。


 少しずつ明るくなっていく空の中に見えたのはたくさんの白い粒。

 大嫌いな季節の中で許せるものの1つ、雪。

 この様子だときっとすぐ止んじゃうんだろうな。

 同じ寒いなら雨よりも雪が降ってほしいと常々思う。

 この雪が万が一積もったら、小さな雪だるまでも作ろうかな。

 上手に出来たら、あの人は褒めてくれるだろうか。

 あの笑顔で、優しく頭を撫でてくれるだろうか。



 空になったマグカップ。

 身体はすっかり温まった。

 けどすぐに朝の準備をする気になれない。


 ……一旦布団に戻ろ。

 二度寝しないように頑張らなきゃ。



 「もしかしてココア飲んだ?」


 布団に戻るや否や、隣から眠たそうな声。


 「さっきまで飲んでた」

 「いいなー。身体温まった?」

 「ぬくぬくですぞ」


 私が自慢げにそう言うなり、身体がココアとは違うぬくもりに包まれる。


 「どしたん?」

 「ゆたんぽ」


 私を抱きしめる手に力がこもる。


 「二度寝しちゃったら起きれなくなるんですけど」


 返事はなく、ただ安らかな寝息が聞こえるだけ。

 しょうがないなぁ。

 そう思う私も、案外まんざらでもない。



 大嫌いな季節に大好きな人に包まれる、大好きな瞬間。

 今日だけは、今だけは、どうか許してもらえますように。


 もっとこの人のぬくもりに包まれたくて、もっと触れていたくて。

 私はそっと、少しだけ彼に身体を寄せた。



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