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買い物・謀☆2

翌日の日曜日は家でゆっくり過ごそうと思っていたがそうはいなかった。

百貨店で買い物した荷物が朝から届いたからだ。

「しかし、どれだけ買ったんだ。片付けるだけで1日掛かりそうだな」

両親が使っていた部屋をアキュラの部屋にして荷物を運んで2人で片付けをする。

アキュラは楽しそうに片付けをしていた。

自分の部屋が出来たにもかかわらず、何故か寝る時は隆斗の部屋にやって来た。

「アキュラ。自分の部屋で寝てくれないか?」

「嫌だ。怖い」

「ここは安全だと言っただろう。初めて会った時の威勢の良さは何処に行ったんだ?」

「ふぇぇぇん」

「泣くなよ! 面倒くせぇなぁ! 好きなだけここで寝ろ」

「うん!」

アキュラが直ぐ笑顔になった。

「お前、嘘泣きしただろう」

「してないもん」

「明日は朝早いんだ。寝るぞ」

「うん」

アキュラが隆斗のベッドに潜り込んだ。


月曜日の朝はいつもより1時間早く起きて爺の道場に向かう。

昨夜、爺から電話があり必ず道場に来るように言われたのだ。

約束どおりに道場に行きアキュラを預けてそのまま隆斗は学校に向かい、教室の自分の机で寝ていた。

クラスメイトが次々と教室にやってくる。

「うわ、今日は隆斗がもう居るよ」

「何があったんだ? いつもギリギリにしか来ないのに」

「触らぬ星に祟り無しだ」

遅刻しても早く来てもこの有様で、クラスメイト達は隆斗を起こさないように静かにしていた。

ホームルームが始まる。

担任が転校生の紹介をしているのが聞えてきた。

「今日から、当学園に転校して来た。(ほし) (あきら)さんだ」

「すげぇ! 美人」

「可愛い!」

クラスが騒然となる。

クラスメイトの声で目を覚ました隆斗は未だ寝ぼけていた。

「星 晶?」

「何でも星の義理の妹さんだそうだ。それと魔法に関しても特異体質らしいが仲良くするように」

「ええ! この超可愛い子が隆斗の義理の妹?」

全員の視線が隆斗に集まる。

「誰が、俺の義妹だって?」

隆斗が目を開け飛び起きるとクラス全員が自分を見ている事に気が付いた。

「何だ? 俺が何かしたか?」

教壇の方に目を向けると見覚えのある顔が学園の緑のブレザーを着てチェックのスカートを穿いている。

そして襟には2年生の赤いリボンをしていた。

「あ、アキュラ?」

「隆斗!」

アキュラが嬉しそうに隆斗に向かって手を振った。

「うぉぉぉぉぉーー」

「クソ爺に填められた……」

クラス中がどよめき、隆斗は机に倒れこんだ。


休み時間になるとアキュラの周りには人だかりが出来た。

「晶ちゃんって何処に住んでいるの?」

「隆斗のお家だよ」

「それって1つ屋根の下でなの?」

「1つ屋根の下?」

「ああ、同じ家に住んでるのて事だよ」

「うん、一緒」

「信じられない。隆斗と同じ家に住んでいるなんて」

「そう言えば隆斗の家ってどこなんだ」

「あいつの事だから汚い部屋なんじゃないのか?」

「凄く綺麗なお家だよ。毎日隆斗が掃除してるし、ご飯も作ってくれるし」

「ええっ? 在り得なくない」

隆斗があまり人と係わりを持たなかった為にクラスメイトでさえ隆斗の事をよく知らなかった。

「なぁ、隆斗。晶ちゃんの事教えてくれよ」

「一緒に住んでいるって本当なのか?」

クラスメイトの男子が隆斗に色々と聞いてくる。

「ああ、もう。俺に構うな!」

隆斗が立ち上がり教室を出ようとする。

「隆斗、何処に?」

アキュラが悲しそうに言うとクラスの女子の冷たい視線が隆斗に突き刺さった。

「トイレだよ。トイレ」


隆斗が廊下に出るとちょうど美春が歩いてきた。

「ああ、またそんな機嫌悪そうな顔して」

「うるせえなぁ」

「何があったの?」

「教室の中を見れば判るだろ」

不機嫌そうに投げやりに言い放って隆斗が歩き出す。

「隆斗、何処に行くの? 帰るんじゃないでしょうね」

「帰れるか。トイレだ」

「帰れるか? 何で?」

美春が教室を覗いて納得した。

「アキュラちゃん?」

美春がアキュラに声を掛けた。

「アキュラちゃん? えっ晶ちゃんでしょ」

「ああ、美春ちんだぁ」

隆斗のクラスの女子が不思議な顔をしたが、美春が良い感じに間に入り話をしてくれた様だった。

その後は何事も無く放課後になった。

アキュラは美春と一緒に爺に用事があるとかで道場に行った。


隆斗は疲れきった表情でバイト先のARIAに向かった。

「おはようございます」

「おお、来た、来た。おはよう、星」

「何が来たんですか?」

「今日からここでバイトする事になった晶です。宜しくお願いします」

見慣れない女の子がオーナーの後ろから出てきて隆斗に挨拶をした。

「新しいバイトの子すか? 宜しくって? 今、晶って……」

女の子が頭を上げる。

良く見ると真っ白いシャツに青いベストを着て黒いミニスカートを穿いているアキュラが笑顔で立っていた。

「オーナー、目眩がするので帰っていいですか?」

「しかし、星にこんな可愛い義妹が居たなんてなぁ。何で隠していたんだ?」

「別に隠してなんかいないですよ。それより何でこいつが此処に居るんですか?」

「お前が休んでいる時に、お爺さんが見えてな。何でも帰国子女で日本の生活を教えたいからバイトをさせてくれないかと晶ちゃんの履歴書を持ってきたんだよ。まぁ、星の義理の妹だしそれに何て言っても超可愛いからな看板娘にと思って即決したんだよ。これでお前と晶ちゃんで売り上げ倍増だぞ」

「あの……晶はともかく何で俺が売り上げに貢献しているんですか?」

「知らないのか? お前の隠れファン多いんだぞ」

「……お先に失礼します」

「ほら、星も着替えて仕事、仕事」

「ちーす」

隆斗が店に入ると晶が嬉しそうに腕を組んできた。

「晶、離れろ。良いか、店で俺にベタベタしたら辞めさせるからな」

「ふぇぇぇ……」

「泣き真似も禁止!」

「えへへ、ばれたか」

「当たり前だ。オーナーの言う事をちゃんと聞いて仕事しろよ」

「うん」

隆斗に言われ晶がオーナーの方に歩いて行った。

「クソ爺にまんまと填められた」

隆斗はあの時の爺の嫌な笑い顔を思い出していた。

これで四六時中2人は一緒に居る事になってしまった。

爺の策略とは言えアキュラにとって最善の方法なのだろう。

いつ魔法力が切れそうになるか分からない訳だし。

今、アキュラが襲われる様な事があれば確実に危険だからだ。


そしてこの日からアキュラは星 晶として生活する事になったのだが隆斗にとって色々と問題が……

「ねぇ、隆斗良いでしょ?」

「何がだよ」

「だから、今度のお休みにお家に友達呼んで良いでしょ」

「晶、お前その意味が判ってて言っているのか?」

「皆が遊びに来たいって」

「そうじゃなくってだな、お前と俺の事に興味津々なんだよ。皆」

「お友達が来たいって言ってるのに。ケチ」

晶が膨れ面をする。

「ああ、せっかくお友達が出来たのになぁ」

「勝手にしろ。俺は相手しないからな」

「それは良いって事なの?」

「好きにしろ」


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