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太陽☆魔法樹

魔法炉の暴走から数週間が過ぎようとしていた。

この事件は全国に知れ渡り。

そして他の3つの学園にも当然、事の顛末が報告されていた。

「なぁ、誠司。どうしたら良いだらぁ」

「しかし、本当に死神が死んだのか?」

「たわけ! 隆君が死ぬはず無いじゃんね」

里美が誠司を力一杯叩いた。

「そんなに叩く事なか。死神の住所も判らんのやったら学園に直接行こう」

「ほうだらぁ、誠司もたまには良い事言うじゃんね」

水月里美は隆斗の安否が気になり東都に来ていた。

しかし隆斗の住所も判らず途方に暮れていたのだ。

そして誠司の提案で東都マギ・マナ総合大学付属高等学園に誠司のバイクで向かっていた。


学園に着くと生徒達が文化祭の準備をしているのが見えた。

「皆、平気なん?」

「仕方が無いだろ、被害も全く無くって死神だけが行方知れずなんだから」

「そんなん、哀しいじゃんね」

しばらく正門から校庭を見ていると見覚えのある生徒が歩いていた。

「美春さん!」

里美が走り出した。

「あれ? 里美ちゃん? どうしたの?」

「どうしたの? って有り得ん!!」

「ごめんね、そうじゃないの普通にしていないと辛くって……」

美春が隆斗が最後に立っていた山の方を見上げた。

「み、美春さん。あの山が……」

「そう、隆斗が最後に居た場所だよ」

隆斗のお気に入りの場所があった山は頂上から3分の1が抉り取られる様に無くなっていた。

「どえりゃ、おどけるなぁ」

誠司が驚いて後ずさりした。

「あれ? とうもろこしの人」

「うん、頼んで連れて来てもらったじゃんね。両親にはちゃんと許可貰っただら」

「でも、里美ちゃん学園は?」

「隆君が心配でじっとして居れんに」

「そうだよね。そうだ私の家に泊まれば良いよ、それと学園はしばらくこっちで勉強出来るように頼んでみよう」

「ええ、そんな事出来るん?」

「師範に頼んであげる。師範は東ママの代表だから」

「ありがとう。それとその……」

「晶ちゃんと星羅ちゃんでしょ。星羅ちゃんは時々学園に顔を出すよ。晶ちゃんの報告を兼ねてね、でも……晶ちゃんは宮殿の自分の部屋に篭りきりみたいなんだ」

「最愛の人が居なくなったんじゃんね。そりゃ、ショックだら私なら生きていけんもん」

里美が今にも泣き出しそうな顔をした。

「でも、私は隆斗が何処かに居る気がするんだ。理由は判らないけれどフラッと顔を出すような気がして。それに隆斗は約束は絶対に守る男だったからね」

「ほうだら、私も隆君と約束したじゃんね。私も信じる隆君はきっと生きてるじゃんね」

「それじゃ、師範にお願いしに行こうか?」

「美春さん学園は?」

「どうせ文化祭の準備だし隆斗が居ないと詰まらないから行こう」

「うん」

3人は爺さんの居る道場向かった。


宮殿ではアキュラが何事も無かったように過ごしていた。

ただ、心を閉ざしたまま。

「姫、公爵が姫にお目通りを願い出ていますが」

「セラン、お会いしましょう」

「それでは、直ぐに準備を」

セランがアキュラの部屋を後にするとセーラが不思議そうにアキュラに問いた。

「姉様、何で会うのですか?」

「セーラ、私の仕事だもの当然でしょ」

「でも、皆。姉様のご機嫌を伺いに来るんだよ」

「何がいけないの? 私の事を思って会いに来てくださるんだもの。会わないと失礼でしょ」

「それじゃ! 兄様……」

セーラが隆斗の事を蔑ろにしているのか問い質そうとした時、セーラの足元を白い何かが走りぬけた。

「クックックッ」と白い鼬の様な生き物が鳴きアキュラの肩に飛び乗った。

「あら、可愛い。オコジョかしらそれともフェレットかしらね。あらあら可愛い紐を首に付けて」

それは隆斗がいつも右腕に付けていたミサンガだった。

「姉様は酷すぎます。もう忘れたですね……」

そう言いながらセーラがアキュラの部屋を後にする。

セーラと入れ違いにセランがアキュラを呼びに来た。

「姫、準備が整いました」

「ありがとう、セラン」

アキュラがセランと謁見の間に向かう、そこにはレオンとラウラそして公爵が席についていた。

「これはアキュラ姫、ご機嫌麗しゅう御座います。黒いドレスがまた素敵ですね、よくお似合いですよ」

「ありがとう」

2人は和やかに会話をしていたがレオンとラウラの顔は曇りがちだった。

そして公爵がアキュラの手を触ろうとした時に白い鼬が公爵に牙を向いた。

「シャーーーーーァ!」


原初の森ではミィーがシルフを探していた。

「シルフ! どこに居るの? おかしいな今まで居たのに」

「ミィーや、どうしたのかの?」

「あっ長老。シルフが見当たらないの」

「シルフがの?」

「はい」

「そろそろかのう」

長老が森を見渡して呟いた。

「長老?」

「シルフの主が最後にした命令はなんだったかの?」

「うんと、アキュラ姫を守護せよ……あっそうか。宮殿だ」

ミィーが宮殿へ向かい駆け出した。

その時、風が変わった。

「長老、何だか変。胸がザワザワするよ」

「ミィーよ、姫君を魔法樹の丘に連れてくるのじゃ。よいかの」

「えっ? どうして?」

「ミィーは主に会いたくないのかの?」

「会いたいよ。でもリュートは光の粒になって」

「魔法樹の丘は別名なんじゃったかの?」

「希望の丘」

「そうじゃ、魔法の始まり、そして魔法樹は皆の願いを叶える樹じゃ」

「それじゃ」

「姫には悟られるなよ、迷いは禁物じゃ」

「うん」

少し離れた魔法樹からシャラシャラといつになく強い音が聴こえていた。


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