表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/33

夏休み☆露天風呂

美春がガラの悪い暴走族風の男達に絡まれた事。

そして黒ずくめの男に助けられ。

その男に治癒魔法で傷の手当てをしてもらい星羅が人間の様になってしまった事を話した。

「そうじゃな、星羅ちゃんは少し様子を見て見ないと判らんじゃろうな」

「様子を見るって? 師範」

「大丈夫じゃよ、いざとなれば隆斗が居るじゃろう」

「でも、隆斗は魔法なんて」

「そうじゃな。まぁ、何とかなるじゃろうて」

「そんな隆斗みたいにいい加減な事言わないで下さいね。師範」

「それに、あの耳のままじゃ海で遊べんじゃろう」

「え? お爺様、海ってあの水に入って遊ぶの?」

星羅が隆斗に抱きついたまま不思議そうな顔をして聞いてきた。

「なんじゃ、星羅は海で遊んだ事無いのか?」

「うん、魔族の国には海なんてないし。それにお水は怖いです」

「じゃが大丈夫じゃよ。この数日は特別じゃからな、の、腹黒い隆斗や」

「誰が腹黒いって、爺」

「また出て来たです。特別って」

星羅の特別の言葉に反応して隆斗に抱きついていた晶が顔を上げて隆斗の顔を真っ直ぐに見た。

「そうだ、隆斗。特別な日って何? 美春ちんが隆斗本人から聞いた方が良いって」

「後で教えるよ」

「必ずだよ」

「ああ、約束するよ」

隆斗が晶の頭を撫でた。

「兄様、星羅の頭も撫でるです」

「はいはい、これで良いのか?」

隆斗が星羅の頭を撫でる。

「えへへ、嬉しいです。あれ? あの黒い人と同じ感じがするですよ」

「黒い人?」

「はい、助けてくれた人です。兄様と同じくらい優しくて温かい感じがしました」

「なぁ、何でも良いが。2人とも離れてくれないか? 暑いんだけど」

「嫌!」

「嫌です!」

「あのな、数時間だけ会わなかっただけだろうが」

「嫌!」

「嫌です!」

「ああ、うざ」

隆斗が徐に立ち上がった。

「ひ、酷いです」

「隆斗が……うざって言った」

「そんな捨てられた子犬みたいな目で見るな」

「兄様、どこに行くですか?」

「風呂だよ、露天風呂。お前たちのせいで、汗でベトベトだからな」

隆斗が部屋から出て2階にある露天風呂に向かった。


「そう言えば、ここの露天風呂は混浴じゃったな。確か」

「混浴? 何ですかそれは?」

「そうか、星羅ちゃんは知らんのか。男と女が一緒に入れるお風呂の事じゃよ」

「男と女の人が一緒? それじゃ兄様と一緒に入れるですか?」

「まぁ、そうじゃな」

「行くです! 星羅も露天風呂に!」

「ええ! 星羅。何を言っているか判ってるの?」

「はいです! 兄様と一緒にお風呂に入るです」

「あのね。は、裸を見られちゃうんだよ。星羅」

「兄様なら良いですよ。星羅は兄様大好きですから、大好きな兄様に見られても恥ずかしくないですから」

「もう、美春ちんからも何とか言ってよ」

「あのね、星羅ちゃん。露天風呂は他のお客さんもいるんだよ」

「でも、兄様とお風呂入りたいです。行くです」

星羅が部屋から飛び出そうとするを晶が引っ張り留めていた。

「しかし隆斗の奴は混浴じゃと知ってて行ったんじゃろうか?」

「え? それってどういう事? お爺ちゃん」

「見知らぬ女の子と……フォフォフォ」

「絶対に駄目! 美春ちん行くよ!」

「ええ! 晶ちゃん嫌だよ。師範もなんで煽る様な事を言うんですか!」

「美春ちん、早く行くよ!」

「わーぃ、兄様とお風呂です!」


星羅、晶、美春の3人は露天風呂にやって来ていた。

「晶ちゃん、本当に入るの?」

「ここまで来て何を言うかなぁ。星羅、大人しくしなきゃ駄目だよ」

「はーぃです」

美春も渋々2人と一緒に露天風呂に入る羽目になってしまった。

脱衣場を出るとそこには大きな湯船があり。

その向こうには海が広がっていてとても開放感のある露天風呂だった。

そして右手に大きな岩が男湯と女湯の間にありその先が繋がっていて混浴になっているようだった。

「うわぁ! すごい綺麗。姉様、見てみて」

「う、うん。すごい見晴らしが良いね」

「あれ? 晶ちゃんどうしたの?」

先ほどまで威勢の良かった晶が少し尻込みしてるように見えた。

「もう、ここまで連れて来た晶ちゃんが何を怖気づいているかなぁ」

「だって、隆斗が居るかと思うと……」

「ほら、行くよ。星羅ちゃんは行く気満々だよ」

「ま、待ってよ」

美春が星羅と先に歩いていってしまう、晶が追いかけた。

「お風呂に入る前に星羅ちゃんの長い髪の毛はアップにしないとね。それと入る前には必ず掛け湯をしてからね」

「はいです」

美春が星羅の髪の毛をまとめてヘアーゴムで留める。

「ありがとうです。美春姉様」

「ここのお湯は白いですね」

「そうだね」

「兄様は何処に居るですか?」

「この岩の向こうじゃないかな」

「姉様、行くですよ」

「う、うん」


「兄様、居たです」

「せ、星羅。駄目だってば」

隆斗は浴槽のふちを枕代わりにして横になりながら空を見上げていた。

星羅が静かに隆斗に近づく、隆斗は頭にタオルを載せて目を瞑っていた。

「にいさ……」

「星羅か? 抱きつくなよ」

星羅が声を掛けて抱きつこうとすると隆斗が目も開けずに答えた。

「へぇ? 何で判るですか?」

「気配かな」

「凄いです」

「星羅だけなのか?」

「姉様も美春姉様も一緒ですよ」

「あの2人がよく混浴なんかに来たな」

「兄様は、知ってたんですか?」

「この辺は混浴の温泉が多いからな」

「隆斗は何とも思わないの?」

「美春、何がだよ」

「混浴だよ。混浴」

「馬鹿だな、ここは風呂だぞ。気にするから恥ずかしいんだよ」

「なんか大人な発言だな」

「そんなんじゃねえよ。毎年この辺の温泉には来ているからな」

「り、隆斗。毎年って?」

「晶、何を真っ赤になってるんだ?」

「だ、だって恥ずかしいじゃん」

「そんなに恥ずかしいのなら来なきゃ良いだろ。まぁ爺にでもからかわれて勢いで来たんだろうけどな」

隆斗がまるで見ていたかのように晶に言うと、晶が拗ねて口元まで湯に浸かった。

「隆斗の意地悪」

「ここの温泉は乳白色だからな見えたりはしねえよ」

「隆斗は興味ないんだそういうの」

「バーカ、気にするから恥ずかしいだけだって言っただろ。それに俺も一応男だからな、先に上がるぞ」

隆斗が腰にタオルを巻いて先に風呂から上がっていった。

「ふうん、気にならない訳じゃないんだ。まぁ、大好きな晶ちゃんが裸で直ぐ近くに居るんだもんね。晶ちゃん」

「晶ちゃん? 大丈夫?」

美春が晶を見ると真っ赤になりフラフラしていた。


急いで星羅と2人で晶を風呂から上げて浴衣に着替えさせて、晶を両脇から支えながら廊下に出る。

するとそこには隆斗が立っていた。

「隆斗? どうしたの?」

「晶がのぼせたんだろ。俺が部屋に連れて行くから、2人は風呂でも楽しんで来いよ。くれぐれものぼせたりするなよ。それとあんまり入ると湯疲れするから気を付けろな」

「どうして判ったの?」

「これだよ、これ」

そう言いながら隆斗は左手首の文様を触った。

そしてぐったりしている晶をお姫様抱っこして部屋に向かい歩き出した。

「なんだ、そっちも特別なんだ」

「え? 美春姉様。何が特別なんですか? 星羅には分からない事だらけです、特別って何ですか?」

「うふふ、そんな事より。晶ちゃんは隆斗が見てるって言うから温泉入りに行こう!」

美春が星羅の手を引っ張って走り出した。

「美春姉様、危ないです!」


隆斗は部屋で晶を寝かせてうちわで扇いでいた。

爺さんはもう一度風呂にでも入るかと出て行ってしまったのだ。

「クソ爺、また要らない気なんか使いやがって」

しばらくすると晶が目を覚ました。

「あれ? 隆斗、ここはどこ?」

「爺さんの部屋だよ。晶は風呂でのぼせて目を回したんだ」

「星羅達は?」

「美春と風呂だよ、ここのホテルには色んな風呂があるからな」

「ふうん、そうなんだ。えへへ」

「どうしたんだ?」

「隆斗の足枕だ。嬉しいな」

隆斗が胡坐をかきその足の上にタオルを敷いて晶の頭をのせていた。

「この方が扇ぎやすいだろ。ほら、水分でも補給しろ」

隆斗がペットボトルの冷たいポ○リスエットを渡す。

「うん、美味しい」

「もう大丈夫だな。晶、明日の朝食前に付き合って欲しい所があるんだけど構わないか?」

「うん、明日の朝だね。分かった」

「ロビーで待ち合わせだな」

そこに美春と星羅が風呂から戻ってきた。

「隆斗、晶ちゃんは……って、大丈夫みたいだね」

「ああ、姉様ずるいです」

「恋人と言うより、まるで夫婦みたいね」

「えへへ、気持ち良いな」

晶が隆斗の足に頭をのせたまま体を揺らしていた。

「ずるいです、星羅もするです」

星羅が駆け出し隆斗の腿に頭をのせて横になった。

「それじゃ、この際だから私もしてもらおうかなぁ」

美春が星羅の真似をしてもう片方の隆斗の腿に頭をのせて横になった。

「まったく、今度は美春までくっついて来るか。しょうがねえなぁ」

隆斗が2人に分からない様に晶の頭を触り起きる様に促す、晶が不思議そうな顔をして起き上がった。

「ゴン!」

「ドン!」

鈍い音がする。

晶が起き上がった瞬間、隆斗が立ち上がった。

「痛~」

「痛いです」

「さぁ、晩飯でも食いに行くか」

「隆斗!」

「兄様、酷いです」

「ベタベタくっ付いて来るからだ。ほら、晶行くぞ」

隆斗が手を差し出すと嬉しそうに晶が隆斗の手を握り立ち上がった。

「師範はどうするの? 隆斗」

「師範? 爺ならドアの外で中の様子を伺ってるよ。なぁ、爺」

「そんなはず……」

美春が何かを言おうとするとドアが開き爺さんが現れた。

「いやぁ、隆斗には敵わんわい」

「爺も飯食いに行くぞ」

「ほれ、美春も星羅もレストランで食事じゃぞ」

「わーい」

隆斗と晶の後を追いかけるように5人でレストランに向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ