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ごめん☆1

翌日、隆斗は何かが割れる物音で目を覚ました。

「な、何なんだいったい」

寝不足の目を擦りながら起きると星羅の姿は部屋に無かった。

部屋をでて階段に向かうと晶のヒステリックな声が聞えてきた。

下を見ると晶と星羅がもめていて足元には届いたばかりの昨日買い物した物が散乱していた。

「こんな物を買いに行ってたんだ! 隆斗と楽しそうに」

「セーラが来てからメチャメチャよ!」

「隆斗は死にそうになるし。私の隆斗を盗らないで!」

「姉様、ゴメンなさい。ゴメンなさい」

星羅が泣きながら晶に縋り付くように謝っていた。

そこに隆斗が慌てて割って入った。

「晶、話を聞いてくれ」

「嫌! 隆斗の話なんか信じられない」

「そんな事言わずに、ちゃんと説明するから」

「隆斗は誰でも良いんでしょ。私じゃなくても」

「いい加減にしろ!」

「ほら、それが本音なんだ。そんな怖い顔して殴りたいなら殴れば良いでしょ」

「ふざけるな!」

「隆斗なんか大嫌い!」

晶がありったけの力で隆斗に平手打ちした。

「気が済んだか? 星羅は何も悪い事はしていない。悪いのは全部俺だ」

「セーラが来たからこんなになったんじゃない」

「出て行って!」

「星羅はここに居ろ。俺が出て行く」

晶が近くにあった箱を星羅に投げ付けた。

咄嗟に隆斗が星羅を庇う。隆斗の目の横に箱が当たり、目の横が切れて血が流れた。

そこに昨日の事が心配になり美春が訪ねて来て隆斗と玄関で出くわした。

「り、隆斗、その怪我どうしたの?」

「何でもない、ぶつけただけだ。悪いけど星羅の荷物を片付けるのを手伝ってやってくれないか」

「うん、それは良いけれど。大丈夫なの? 血が流れているよ」

「唯のかすり傷だよ。それじゃ頼むぞ」

そう言い残して隆斗は家を出て行った。


美春が玄関から家の中を見ると箱や紙袋が散乱していて、床にはスタンドが落ちて割れていた。

「何でもない訳無いみたいだね。こんなに散らかして」

「美春には関係ない」

「そんな言い方はないんじゃない、晶ちゃん」

「美春さん、ゴメンなさい」

「星羅ちゃんが謝る事ないでしょ。さぁ片付けましょう。ああ、壊れちゃったんだこのスタンド」

「美春さん、そのスタンドが何か?」

「このステンドグラスのスタンドは隆斗のお母さんの手作りで隆斗の一番のお気に入りだったんだよ」

「ええ、兄様の……どうしよう。私が魔法で」

「星羅ちゃん、それは駄目」

「どうしてですか?」

「魔法で直しても、作った人の想いや思い出までは直らないでしょ。それにあんなに大事にしていたのに隆斗が何かスタンドの事を言ったの?」

「何も言わなかったです」

「当たり前だ、隆斗が悪いのだから」

「晶ちゃんは隆斗の話を聞いたの?」

「聞く必要は無い。隆斗が嘘をついたんだ」

「そうだね、でも理由があるんじゃないの? 隆斗はあまり人に言わないからね」

「理由が有れば嘘をついても構わないのか?」

「そんな、頭ごなしに言ってしまったら誰も何も言えなくなっちゃうじゃない。晶ちゃんは隆斗の事が信じられないの? 信じると言った言葉は嘘だったの?」

「そ、そうじゃないけれど……」

晶が少しクールダウンして美春から目を逸らした。

「ねえ、座って少しお話しよう。ほら星羅ちゃんもね」

「分かりました。美春姉様」

星羅が申し訳なさそうに頷いた。


美春と星羅がソファーに座ると晶も渋々ソファーに腰掛けた。

「もう、ヤキモチも良いけれどちゃんと相手の話も聞いてあげないと修復出来なくなっちゃう事もあるんだよ。隆斗は晶ちゃんと出会うまで誰も近づかせなかったんだから、あの感じだとまた元の隆斗に戻っちゃうかも。それに師範が言ってたんだけど隆斗が星羅ちゃんに何かを頼んだ御礼に2人で出掛けたんじゃないかって。隆斗は晶ちゃんにきちんと話そうとしていたんじゃないの?」

「それは……星羅、何を隆斗は頼んだ?」

「姉様、ゴメンなさい。私、言えないです。兄様との約束したです。姉様には内緒にしてくれって…… でも、兄様言ってたです。裏切っているようで嫌だって、ちゃんと説明するからって……」

「星羅、私の頼みでも言えないの?」

「本当にゴメンなさいです、姉様。兄様は自分を殺そうとした私を許してくれて、あんなに優しくしてくれる兄様を裏切る様な事は……ないです……ゴメンなさい。私だって辛いです……」

星羅が小さな体を震わせながらポロポロと涙を零して泣きだすと晶が大きく溜息をついた。

「星羅ちゃんも隆斗の事が好きなんだね。晶ちゃん、星羅ちゃんを責めちゃ駄目だよ。でも隆斗の事が心配だなぁ」

「美春ちん、それはどう言う事?」

「いつもの晶ちゃんに戻ったね。隆斗は晶ちゃんと出会ってから心を少しずつだけど心を開き出したの、そして1人の女の子を好きになった。でもね、隆斗ってあんなでしょ。今までも何度と無くぶつかったんじゃないの?」

「それは、隆斗が酷い事を言うから」

「そうだね、隆斗は考えもせずにモノを言う所あるからね。でも隆斗はちゃんと晶ちゃんに向き合って来たんじゃないの? それに隆斗は決して自分の弱さを人に見せないの」

「隆斗は何でも出来て弱い所なんか無いんじゃ。それにお父様にだって向って行ったし」

「晶ちゃん、隆斗はね本当は弱虫で泣き虫な男の子だったの。今も根本的に変わって無いと思う。だって、晶ちゃんの両親が突然現れたて晶ちゃんが家から飛び出した時も、部屋で泣いていたんだよ。晶ちゃんが悪い訳じゃ無いけれど、どう向き合って良いか判らくって。子どもの頃に晶ちゃんに出会ったのを思い出して、魔族が原因でお母さんの事故が起きて、でも自分は晶ちゃんの事がって」

「隆斗が泣いていたなんて信じられない……」

「隆斗はいつも晶ちゃんの事を考えているんだよ。晶ちゃんが友達を家に連れて行った時も、皆の前には現れなかったんじゃない?」

「うん、屋根の上で寝てた。でもコーヒーを準備してくれた」

「それに緊急朝礼の後も隆斗は1人で屋上に居たしね」

「そうだったの?」

「その時、何て言ってたと思う?」

「えっ、隆斗が?」

「そう、『俺はどう思われようが構わないけれどな。俺のせいで晶が皆と仲良く出来ないのは嫌だ』って隆斗は言ったんだよ」

「隆斗がそんな事を考えてたなんて」

「それに隆斗は晶ちゃんを命懸けで守ったでしょ」

「うん」

「それでも好きだから回りが見えなくなっちゃうんだね」

「でも、隆斗が嘘をつくなんて」

「そうだね、でも隆斗と星羅ちゃんが2人っきりで出掛けると言ったら許したの?」

「それは、嫌。だって……」

「だからじゃないかなぁ、晶ちゃんが着いて来たら星羅ちゃんが気を使うと思ったんだと思うよ。それに、これは私が思った事なんだけれど、星羅ちゃんに頼んだ事って晶ちゃんや魔法に関する事だと思うんだ。だってわざわざ星羅ちゃんに頼むんだもの」

「私や魔法に関する事?」

「そう、師範が言ってたでしょ。隆斗は見栄っ張りだって、でもあれは見栄っ張りなんじゃなくて自分の弱さを見せないのと同じだと思う道場でも師範と二人きりでいつも修練してたもの」

「まだ、隆斗が弱虫だったなんて思えないよ」

「晶ちゃんは隆斗と出会ってまだ何ヶ月かだもんね。隆斗は子どもの時に凄く辛い思いをしてそれから誰とも係わりを持たなくなったの。もう10年近くね」

「子どもの頃に辛い思い? 10年も?」

「思いじゃないなぁ、心が壊れたって言うのが本当かも。私は2度とあんな隆斗の姿見たくないから」

「心が壊れたって……」

「師範なら詳しい事を知っていると思う。私も子どもだったしね。でもそんな隆斗の心を開かせたのは晶ちゃんだった。私には出来なかった、悔しいけど。ずーと近くに居たのに……あれ? 何で涙が? あれ?……おかしいな」

美春の目からは涙がポロポロとこぼれていた。

「美春ちん、隆斗の事好きだったんだね」

「違うよ、ただの幼馴染で腐れ縁で……でも、いつも隆斗を見てた……隆斗も晶ちゃんも好き。2人を応援しているからね」

「ありがとう、美春ちゃん。私、隆斗を探してくる」

「たぶん、道場だと思う。こんな時は必ず道場の裏庭に居るから」

「うん、判った」

晶が家を飛び出して道場に向かった。

「さぁ、星羅ちゃん。片付けよう」

「は、はい。でも大丈夫ですか?」

「そうだね、隆斗がまた殻に篭っていたらどうなるか判らない」

「えっ、それじゃ……」

「星羅ちゃん、自分のせいだなんて考えちゃ駄目だよ。これは隆斗の問題なの、でも覚悟はしておいてね」

「覚悟って?」

「隆斗の心の傷はかなり深いの、だからどうなるか判らないの誰にも」


隆斗は家を出るとバイクで道場に向かった。

いつもなら直ぐに治る程度の傷なのに、道場に着いてもまだ血が流れていた。

「クソ、止まらねえ。何でだ?」

「おや? 隆斗か? その傷はどうしたんじゃ?」

爺さんが屋敷の中から声を掛けた。

「別に。構わないでくれ」

「そうは行かんじゃろうが。こっちに来るんじゃ」

「構うな!」

「良いから、良いから」

「クソ!」

隆斗が渋々縁側に座ると爺さんが隆斗の傷を見た。

「これは少し深いのう。いま手当てをするで待っておくんじゃぞ」

爺さんが屋敷の奥に救急箱を取りに行き、しばらくすると爺さんが戻ってきた。

「少し痛むぞ、我慢せい」

隆斗は微動だにせずに居た。爺さんが怪我の手当てをする。

「済んだぞ、まったく喧嘩でもしたのかの」

「関係ねえだろ」

「そうじゃ、晶と星羅はどうしてるかの?」

「家にいるんじゃねえのか」

「昔のお前に戻ってしまったようじゃの」

「俺は何も変わっちゃいねえよ」

隆斗が立ち上がり裏庭に向かった。

「やれやれ、困ったもんじゃのう。また殻に篭りよったわい、これは最悪な事にならんといいが」

爺さんが縁側で溜息をついた。


しばらくすると晶が道場にやって来た。

「はぁ、はぁ、はぁ……お爺ちゃん、隆斗は来てる?」

「どうしたんじゃ? そんなに慌てて、先程までここに居たがの」

「今は?」

「裏庭に行きよったが」

晶が辺りを見渡して裏庭に向かおうとした。

「待つんじゃ、晶」

「えっ? どうして」

「話があるんじゃ、ここに座りなさい」

「でも、私、隆斗に」

「隆斗の事で話があるんじゃが」

「う、うん。判った」

晶が縁側で胡坐をかいている爺さんの横に座った。

「お爺ちゃん、話って何?」

「晶、隆斗の様子がおかしかったが何かあったのかの? もしかして昨日の事で喧嘩でもしたのかの?」

「隆斗とは喧嘩して無いけれど、星羅とちょっと……」

「星羅ともめたと、そこに隆斗がなんじゃな」

「う、うん」

「そうか、どうしたもんかの」

「私、隆斗の話も聞かずに隆斗を怒らせて叩いちゃった」

「あの怪我はそれでかの」

「ううん、違う。私が切れて星羅に箱を投げたら隆斗が星羅を庇って、俺が出て行くって」

「相変わらず、女の子の気持ちの判らないニブチンじゃのう。しかしじゃ、厄介じゃぞこれは」

「どうして? 隆斗に何かあったの?」

「隆斗は決して誰かを責めるような事はしないと前に話したじゃろ。全部自分のせいだと自分を責めてしまうんじゃ。自分の至らなさにの。例えそれがどうしようもない事でもの」

「悪いのは全部俺だって」

「重症じゃのこれは。晶に聞きたいんじゃが覚悟はあるかの?」

「覚悟?」

「そうじゃ、隆斗の過去を知る覚悟、そしてどんな辛い事が起きても耐えられるかの?」

「大丈夫」

「たとえ隆斗を失う事になってもかの?」

「そんな事には絶対にしない」

「そうか、これだけは約束してくれんかの。もし晶の命に係わる事になった場合はわしに一任させてもらう良いかの?」

「ゴメンなさい。その約束は出来ないよ。だってそんなの覚悟じゃないもん。私はアキュラ姫、魔族の王の娘だもん、きっとお父様もお母様も判ってくれる」

「判った、着いて来なさい」

爺さんが立ち上がり裏庭に向かう、晶は後に着いて行った。


裏庭に行くとそこには隆斗の姿はもう既に無くバイクの音が遠くに聞えた。

「晶、この庭石をどう思う?」

「庭石? この黒い岩の事?」

晶が黒ずんで汚れている様にしか見えない岩を触る、すると何かが手についた。

「お爺ちゃん、これって血じゃないの?」

「隆斗の血じゃよ。隆斗がこの岩に拳を打ち込んだんじゃ」

「それじゃ、この黒ずんでいるのは……」

「総て隆斗の血じゃよ。隆斗は自分の不甲斐無さや情け無さをどうしようもない時にこの岩に叩きつけるんじゃ」

「そんな……何故?」

「あの事故があってからじゃな、隆斗が変わってしまったのは。両親が死んでしまって政府に半強制的に学園に入れられてしまったんじゃ。稀代の魔法使いの息子と言うだけでな。知っての通り隆斗は適性検査ゼロの人間じゃ、魔法が使えない子どもが魔法の学校に行けば当然虐められてしまう。そして母親が死んだのは自分が居たせいだと思っていたのが自分に力が無く何も出来なかったからだと考えが変わって行ったんじゃ。理由は判らんが子どもの言う事は時に残酷な物じゃからな。そして学園ではゼロ=無能と言われ続け己を責め続けたんじゃ、学園側も腫れ物を触る様な感じじゃったらからの」

「何故? 隆斗はあんなに優しいのに……腫れ物を触る様な感じに隆斗を……」

「隆斗の不思議な力じゃよ、魔法を跳ね返す力と強力な治癒力じゃ。多少の怪我なら見る見るうちに治っていたからの。人と言う物は大きな力や未知の力に対して畏怖を感じるからの」

晶は学園での緊急朝礼で言っていた隆斗の言葉を思い出していた。

「あの朝礼の時の言葉は……私たちと同じ様な事があったからだったんだ」

「そうじゃな、隆斗の強さの一旦はそんな辛い事を乗り越えてきた所にも有るんじゃろう。じゃが子どもの頃の隆斗の心は耐えられなかったんじゃ。ある日、隆斗の姿が見えなくなり探して居ると美春の悲鳴が裏庭から聞えたんじゃ。駆けつけてみると真っ赤に染まった岩の横に血だらけの隆斗が立っておって『壊れないよ、何で? 壊れないの?』と言いながら涙を流しヘラヘラと笑って居ったんじゃ。落ち着気を取り戻した美春に聞くと涙を流しながら笑って頭や拳を岩に叩き付けていたらしい。これはわしの憶測なんじゃが恐らく隆斗は自分を責め続け自分自身を傷付け様としたんじゃろう。じゃが自分の治癒力のせいでそれも出来ずに心が壊れてしまったんじゃないかと思うんじゃが」

「そんな辛すぎる。隆斗がそんな辛い思いをしていたなんて」

晶の目から涙が零れ落ちた。

「それからじゃの。隆斗が人との関係を持たなくなったのは。そして魔法と言う力を手に入れられなかった分、武術の力や知識と言う力を貪欲に吸収したんじゃろう人知れずにな。まぁ武術の力はわしによる所が大きいが体が動かなくなるまで1人で鍛錬をしておったよ。そして晶に出逢い思い通りにならない自分の魔法の力を再認識させられたんじゃろう」

「私は隆斗が魔法を使えようが使えまいが構わない」

「じゃが隆斗はそうは思っていないようじゃな。仮にも晶は魔族の姫君じゃ、姫君の相手と言う事はどんな意味が有るのかの? 晶」

「……次期魔族の王」

「そうじゃな、魔法もろくに使えない王に誰が従うかの?」

「でも、隆斗はソーレ一族の血を受け継いでいる」

「しかしじゃ、どう証明するのかの?」

「でも、隆斗は何とかなるだろうって。今は考えてもしょうがないって」

「それはたぶん、少しだけでも魔法の使い方を思い出したからじゃろう。茉莉亜は隆斗が幼い頃、魔法の使い方も教えなかったし使う事も禁じておったからの」

「何故? 隆斗のお母さんはそんな事を」

「星羅の話では一族は皆殺しにあったと言う事じゃ。古の一族の末裔が生きていると知られれば恐らく隆斗も消されてしまうと思ったんじゃろう」

「学園で魔法の事を覚えられなかったの? お爺ちゃん」

「学園は魔法が使える事が前提じゃ、魔法が使えない者を使えるようにする所では無いんじゃよ」

「それじゃ、隆斗はこれ以上魔法を使う事は出来ないんじゃ」

「隆斗はそうは思っていないみたいじゃがな。魔法の事を知ろうとしていたみたいじゃからな」

「知ろうとしていた? どうやって?」

「星羅から何も聞かなんだか?」

「星羅は隆斗との約束だからって、何も言おうとしなかった。知っているなら教えてお爺ちゃん」

「隆斗の口から聞いた方が良いんじゃないのかのう」

「たぶん今の隆斗じゃ教えてくれないよ」

「仕方が無いの。魔法の基礎と歴史の本を星羅に持って来てもらったんじゃよ、魔族の宮殿から」

「魔法の基礎と歴史って……それじゃ」

「自分自身でどうにかしようとしたんじゃな、晶と歩いて行く為にの」

「それなのに私は隆斗や星羅にあんな事を……どうしよう」

「自分を責めるでない、元は隆斗の至らなさが原因じゃ。何でも1人で抱えよって。晶、かなり厳しい事になるが本当に大丈夫かの?」

「大丈夫、私は隆斗を愛してる」

「そうか、それじゃ晶に任せよう。じゃがこれだけは言っておくからの。隆斗はわしの孫のようなものじゃ、その孫の恋人もわしの孫同様じゃからな。もし何かあればわしは心を鬼にしてでも守り抜くからの、それが例え恨まれる事になろうともじゃ」

「お爺ちゃん、それはどう言う意味なの?」

「わしが契約の事を何も知らんとでも思って居るのかの? 隆斗には話していない様じゃが」

「なぜ、そんな事を知っているの?」

「年の功じゃよ、ふぉふぉふぉふぉ」

「お爺ちゃん、1つ聞いても良い? 何で魔法なんかうんざりだって言ってた隆斗が私の事を」

「運命か……いや、(えにし)かのう。隆斗の父親も見ず知らずの魔族のマリアをいきなり連れて来て一緒に暮らし始めたからの。父親譲りの何かがあるのかも知れんな」

「そうなんだ、お爺ちゃんお願いがあるの。私の事はお爺ちゃんに預ける、もしもの時はおじいちゃんの考えているようにして構わない。でもその時は私の記憶を消して欲しいの隆斗じゃない人なんて考えられないから。お爺ちゃんなら出来るんでしょそのくらい」

「買いかぶり過ぎじゃよ。出来る事はしよう、隆斗を頼んだぞ」

「うん」


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