初めて引き金を引きました。
初めての投稿なので誤字とかもあるかもです…
「はぁ…」
凍える寒さの中、今日17歳になった私は何重にも着たコートの下、ボルトアクション式の銃を握る片手を離し手袋からを出し、ゆっくりと暖かい息を吐きかける。かじかんでいるその手に息がかかる感覚は、凍っていたものがピキっと音を立てひびが入るような、暖かいけれどどこか寒い中途半端な感覚だった。
まるでそれはこの雪降る白銀に覆われた世界の中、市長の命令によってクーデター鎮圧のために徴兵されの最前線に立つ私達を表しているようだった。
「くそっ…なんでこんな場所にいなきゃならないんだよ…」
木製のテーブルやドレッサーなどで作られた粗末なバリケードの中、私の隣に立ち銃を構える若い男が重い声で不満を漏らした。
「……」
男の声に応える者は誰もいない。だた重い沈黙が辺りに流れた。
「私だって…嫌ですよ…」
私は周りに聞こえないように小さな声で呟くように彼の気持ちに同意した。
お互い家族と一緒に居たいだけなのにこうして最前線に立たされている。
「え…?今君なんて…」
男は驚きの目で私の方を見ると何かを言おうする。が、次の瞬間バンという耳の鼓膜を揺らすような拳銃の発砲音と共に彼は力無くバリケードにもたれ落ちた。
「士気を落とすような事を言うな。阿保が」
銃声のした方を向くとそこには銃口から煙が上る一丁のリボルバーを手に握った大柄な男性が立っていた。
彼は顔こそ無表情に近いがこちらを見る目は確かに嫌悪、軽蔑の眼差しが感じ取れる。
「全員前だけを見ろ。馬鹿な真似をするとこいつのようになる。よく覚えておけ」
冷たく淡々と男が周りに言い放つ。
思わず私を含め全員の背筋が伸びた気がする。
銃を後ろから常に押しつけられているような状況。これさえなければ逃げ出そうと思えるのに。
「うっ…」
逃げる。
この三文字を一瞬頭に思い浮かべるが隣から徐々に視界に入ってくる赤色の雪を見た後にすぐに考えを改めた。
恐怖。
これほど人を簡単に操れる力はないだろう。
再び手袋をはめ直し銃口の先に目を向ける。
視界の先には一切中の人の気配が感じられないレンガ造りの民家と終わりの見えない雪を被った石畳の一本道。街の中枢機関が並ぶ中心街へ通じる道の一つだ。
「いいかクソどもよく聞け!」
ただ視界の先を見つめ方心状態だった私の後ろで先ほどの男が周りにいる全員に向かって怒鳴る。
急に真後ろで大声を出されたからか頭が少しクラクラする。
「現在クーデターの本体が中心街に通ずるこの道を進軍中との連絡が入った!」
男は言い終わると少し後ろに下がり、リボルバーに先ほど撃った弾丸を再装填する素振りを見せた。
弾丸を優しく握るその手とは裏腹に、彼の顔にはどこか狂気を帯びている笑顔があった。
「そのため我々はなんとしてもこの位置を死守する!なお無断で戦線離脱した者はその場で即刻撃つ!」
興奮するように先ほどとは明らかに違う声で高らかにそう宣言し終わるのと同時に私は銃口の先に人影が見え始めた。
「…!」
一秒一秒過ぎるごとに毎回倍近くにまで増えているような敵の数を前にし、私は自分で抱いていた生存の希望が儚く砕け散ったのが分かった。
「総員!構えー!」
絶望しか感じない心とは反対に体はまだ生き残る意思があるのか、指示通り銃をこちら側に向かってくる怒り狂う人々に向けて構え直した。
息が荒い。苦しい。怖い。嫌だ。殺したくない。撃ちたくない撃ちたくない撃ちたくない撃ちたくない。
「撃てー!」
バン!
こうして私は人生で初めて引き金を引いた。ただ従うだけしかできない、恐怖に支配されることしか出来なかった私が引いた。
「え…?」
私が生き残るために撃った弾丸は、私と同じぐらいの歳の女の子、私の親友の心臓を貫いた。
「あっ…あっ…」
何が起きたのか分からなかった。分かりたくもなかった。
だけど、血を胸から流し力無く地面に崩れ落ちる親友を見ながら、自分の握りしめる銃を見ながら分かった。
私が…私が殺したんだ。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
握りしめていた銃が金属音を放ち地面に落ちた。たった今自分が犯した過ちを許されざる罪を、涙を流し蹲りながら、私はただ叫んだ。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!」
楽になりたい。こんな場所から今すぐにでも逃げたい。
私は無様に泣き叫んだ。
「はぁ…たかが一人殺しただけでこれか。使えないにも程がある」
バン!
「あっ…」
見苦しいとでも言うように一言放った男の弾丸が正確に私の頭を捉える。
視界が赤く染まっていく。
これでようやく楽になれる。
私は…かいほうされ…る…
その後クーデターは鎮圧され、都市の約6割が処刑されたことにより、働き手の数が減った。街は今や放棄され廃墟になっている。
とりあえず暇潰し程度にでもなったら幸いです!




