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妄想のその先  作者: 睡眠欲
序章
1/3

学校にテロリストがやってくる妄想

学校にテロリストが入ってくる妄想。

それを自分が撃退して、みんなにチヤホヤされる妄想。

銃を持った人間に生身で勝てるわけがないとか、そう言った現実的なものは知らない、無垢な妄想。

少年少女の大半が通る道だ。

そんな道を歩いていた僕も、もう中学生になった。


クラスカースト二軍上位。

クラスではいつも同じメンバーとつるみ、たまに一軍男子と話す。

授業のグループ活動でもなければ、滅多に女子とは話さない。

他のクラスの人からは、顔は知られているけど、名前までは知られていない。

それが僕だ。

世間的に見たら、一応、勝ち組に属している。

歴代の皇族の他、一流企業や財閥の御曹司が通う由緒正しき学園、学藝院大学附属中学校の二軍。

二軍とはいえ、平民でカースト上位に入っている。

この先の将来は有名大学に進学して、そのまま一流企業に就職する、勝ち組だ。

それでも、僕はテロリストに勝てるはずもない、つまらない中学生だ。

あの頃の理想にかすりもしない、つまらない中学生だ。


「そろそろ時間だ」

「そうだね。もう終わりか。嬉しいやら寂しいやら」

中学校一年生の夏休みが終わった。

同じ学年のカーストが決まり、夏休みの合宿を経て部活の先輩とも仲良くなってくる頃。

小学生の頃の記憶が思い出となって美化される頃。

そんな時期だ。

それでも、僕はあの頃を思い出話にしたくはない。


始業式への道は、とても憂鬱だ。

楽しかった夏休みが終わり、学校の日々が始まる。

それはまあいいとして、嫌なのはその前だ。

校長先生の長話。

他の学校は知らないが、うちの学校の校長は二十分くらい喋る。

短いって?

わかってないなあ。

その後に理事長の話があるんだよ。

これも二十分。

まだまだこんなもんじゃないぞ?

うちの学校は部活がとても優秀だから、夏に賞状もらうレベルのことをポンポン達成する。

表彰状が読まれるわけだ。

しかも、表彰式でありがちの「以下同文です。おめでとうございます」がないんだ。

努力して偉業を成し遂げた個人の成果を軽んじているとかどーたらこーたら。

個人を優先して全体の時止めてんじゃねーよ。

前で先生が喋っている時に散々注意してくるのはお前らだろーが。


こんな事情があって、始業式の日は不人気だ。

当然、足も重くなる。

僕たちはまだいいが、それでもこれから起こる惨劇を知っている分、違う意味で足が重くなる。

でも、もう決めたことだ。

いまさら止まるわけにはいかない。


生徒会長であり次期天皇、暎仁様が挨拶を始める。

「これより、学藝院大学附属中学校の始業式を始めます。まず初めに、校長先生のお言葉です」

「皆さん、おはようございます。今日は、原点回帰という言葉について話したいと思いま……」


ドゴオォォン!!


「来たね」

「うん」


突如、校長が話している後ろの壁が壊れた。

生徒教師関係なくパニックを起こす。

校長は恐怖を顔に浮かべているが、足がすくんで動けない。

当然だ。

自分の近くには銃を持った人間が何十人といるのだから。


「ここは俺たちが占拠した!一歩も動くなよ!殺すぞ!」

リーダーのガタイのいい金髪が声を発した。

とても通る声だ。

阿鼻叫喚の嵐だった体育館が一瞬で静けさを取り戻した。

まあ、あいつなら当然か。


金髪の大男が僕に近づいてきた。


「久しぶりだな!ハーミット!ジャスティス!」

「おう!お前は変わらんな。パワー!」


周囲の生徒が僕に視線を向けている。

興味、不信、期待……。

色々な感情が混じった、心地よい目線を。


「早速始めるぞ!天皇のガキはどこだ!」

「何処だも何も、さっきお前が素通りして行ったよ」

「何?まさかあいつか!?」

「そーだよ」

「マジかよ!」

そう言い終わる前に、パワーはもう走り出していた。

真っ先に暎仁様……いや、暎仁のクソ野郎を殴り殺した。

そう、殴り殺した。

助走をつけて殴るだけで頭蓋が爆散したのだ。


「革命を始めるぞォ!」


学校にテロリストが入ってくる妄想。

それを自分が撃退して、みんなにチヤホヤされる妄想。

少年少女の妄想は、大抵はここで止まる。

だが、その一段先。

「妄想のその先」を知りたくないか。


「実は自分がテロリスト側のスパイで、これから世界を変える存在だ」

なんていう妄想を。


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