3話 彼女
「起きてた?」
「今」
「今って、今?」
「うん。さっき」
「……昼やで」
「知ってる」
「ごはん食べた?」
「食べた」
「えら」
「義務感はない」
「それ、えらくないやつ」
「かも」
少し間。
「今日は何するん?」
「外出る」
「ざっくりやな」
「一つだけ」
「前も聞いた」
「前も一つやった」
「成長せえへんな」
「してる方向が違う」
「どっち?」
「壊れない方」
また間。
「筋トレ?」
「今日はそっち」
「じゃあ夜は?」
「たぶん静か」
「私、入られへん?」
「今日は入れへん」
「正直やな」
「嘘つく意味がない」
「前はあった?」
「前は全部に意味持たせてた」
「今は?」
「意味なくてもいい」
彼女が笑う気配。
「楽そう」
「楽ではない」
「でも無理はしてない」
「それはしてない」
「前と、どっちが好き?」
少し長めの沈黙。
「今」
「即答やん」
「考えたら嘘になる」
「私のことは?」
「今日の一つに入ってない」
「冷た」
「でも、消えてない」
「難しい言い方」
「説明下手やから」
「知ってる」
また少し間。
「じゃあ、行ってくるわ」
「うん」
「終わったら連絡する」
「待ってる」
ドアの音。
一人になる。
部屋が静かになるのに、
さっきより孤独じゃない。




