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魂の片割れ同士は離れられない  作者: 田鶴


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第4話 家出(*)

またもやヘンタイちっく場面がちょっとだけ入ります。苦手な方はご注意を。

 コンビニの買い物で母にもらったお金を崩した後、わたしは公衆電話から母が教えてくれた電話番号に電話をかけた。


「もしもし、わたし、空です。おばあちゃんですか?」

『まあ、空ちゃん! 本当に?! よく電話してくれたわね。元気だった?』


 祖母は涙声になり、色々聞きたがった。でも、お金がすごい勢いでガチャン、ガチャンと落ちていって手持ちの小銭がすぐになくなりそうで心配になった。


 わたしは、3人で家を出たいと本題を切り出した。(かい)はまだ賛成していないけど、必ず説得するから助けて欲しいと言ったら、祖母は言葉に詰まった。


「駄目ですか? わたし達が汚らわしいからですか?!」


 自分で言っていて悔しかった。


『違うわ。空ちゃんも海くんも久美も皆、かわいいの。だから助けてと言われたら、もちろん助けたいんだけど……』


 祖母は、はっきりと助けてくれると約束してくれなかった。わたしは、がっかりしてもう電話を切ろうと思った。


「じゃあ、もういいです」

『待って!』


 その翌日、学校帰りに祖母が寄こした人から携帯を受け取った。もちろん父には内緒だ。それで連絡を取り合って父がいない隙に家に迎えに来てもらうことになった。本当はどこか外で待ち合わせするほうが安全だと思ったのだが、ずっと家に閉じこもりさせられた母が子供達と3人での外出を不安がった。


 避難先に予定されていた場所は、祖父母の家ではなかった。祖父母は父に何らかの()()を握られていたので、わたし達が祖父母の家で暮らすとまずいことが起きると聞いた。わたし達は父の知らない祖父母の知人が助けられたことにされ、その人に預けられる計画となった。


 わたしが携帯をもらってから3日後、チャンスが訪れた。父の携帯に電話がかかってきて父が出掛けていったのだ。認めたくはなかったけど、父が家にいる時にかかってくる電話は、大抵、父が売りをしている相手の女性からの呼び出しのようだった。


 父が家を出て行ってからすぐわたしは祖母に電話をかけ、迎えを寄こしてもらうことになった。でも家出に渋々ながらも賛成してくれたはずの海は、また反対した。


「こんな計画、穴だらけだよ。父さんはどうせ知っていて泳がせているだけだと思うよ」

「どういうこと?」

「この家には盗聴器とか隠しカメラとか、ついているからね」

「そんな! 知ってるなら、どうして外してくれなかったの?」

「やったよ、最初の頃は。でも殴られ損。どうせまた新しいのを設置するんだから」


 貧乏なくせに盗聴器や隠しカメラを買ってまでして、父はわたし達(いや、母だけだろう)を監視していた。その分があったらもう少しまともな生活をできたのではないかと頭にきたけど、海が殴られていたのはもっとショックだった。


 父はクズで変態だけど、(母の尻を叩く以外の)暴力だけは振るわないと思っていた。なのに実際には、狡猾にも海の服の下になるところを殴っていた。いつもは私と一緒に入浴したがった海が、時々1人でお風呂に入っていたのはそういうことだった。わたしが知っていたら、父に抗議してわたしも殴られていたに違いない。海は、黙ってわたしを守っていた。


 結局、それでも家出を試してみる価値はあると海を何とか説得し、最終的には海も渋々ながら賛成してくれた。


 迎えに来てくれた車に3人一緒に乗り込もうとした時だった。目が据わった父がものすごい勢いで走ってきて、わたし達を車から引きずり下ろし、わたしを殴ろうとした。海と運転手さんが父を止めようとしたら、父は2人を殴った。母は泣きながら運転手さんに謝ってこのまま帰って欲しいと頼んだ。


 わたし達の家出は失敗に終わった。


 わたし達3人が父の後について家へトボトボと戻り、玄関に入った途端、わたしは父に張り倒された。わたしが計画の首謀者だと知っているようだった。


「俺がどんな思いであんなババア達に媚びていると思うんだ!」

「そんな汚らしいことをしないで働けばいいじゃない!」

「生意気言うな!」


 わたしが正論で父を非難したら、父は鬼のような様相でわたしを足蹴にしようとまでした。でも、海と母が必死に身体を張って間に入って守ってくれた。


「やめて! わたしが悪かったの! 子供達は悪くないわ!」

「ほう、じゃあ、ここで脱げ」

「何を言ってるの?!」


 父は、わたし達の目の前で母を押し倒し、服を破って無理矢理腰をねじ込んだ。


「いや! やめて! 空、海、お願い、見ないで! あっちへ行って!」

「駄目だ、お前達は母親が喘ぐところを見ろ!」


 だけど母と繋がって動いている父には、物理的にわたし達を抑えることができるはずもなかった。海は父の怒鳴り声を無視し、泣いているわたしを抱きかかえながら子供部屋に連れて行ってくれた。


 だが、子供部屋でも母の悲鳴からは逃れられなかった。どんなに耳を塞いでも、安普請のボロアパートでは、彼女の悲鳴は聞こえてしまった。でも聞こえてくる悲鳴は、そのうちに艶やかな喘ぎ声へ変わっていった。

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