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⑨専属騎士誕生(推し)


「サハリン様、本日より貴女様の警護を任されたロドリック・ブラウと申します。よろしくお願いいたします。至らない点などございましたら何でも仰ってください」


 あぁ、ついにこの日が来てしまったわ.....。本当に彼が私の騎士になってしまったのね。


「ブラウ様、わたくしシェリルお嬢様の専属メイドのヘレナと申します。今後行動を共にする機会も増えるかと思いますので、何かございましたら何でも仰ってください。私の事はどうぞヘレナと、私はロドリックさんとお呼びしますので」


 ヘレナと彼が言葉を交わしているのを不思議な感覚で眺めていると、早速ヘレナが切り込んだ。


「それはそうと、こちらでお嬢様の事をサハリンの姓で呼ばれますと紛らわしくもありますので、あなたもお嬢様の事は是非にも『シェリル』とお呼びください」


 んなっ!へ、ヘレナったらいきなりなんという事を!


「待ってちょうだい!そんな、いきなりなんて!せめてお嬢様を付けてちょうだい!」


「フッフフ、フフフッ。勿論承知しております、『シェリルお嬢様』これでどうでしょう?よろしいでしょうか?」



 公爵家の私の自室が一瞬で薔薇園となった.....。その衝撃たるや......私の名前が何倍にも輝き、特別な名前へと昇華したかに感じ、何やらソワソワと落ち着かない。


「お嬢様?照れて舞い上がっているところ申し訳ございませんが、お返事ぐらいはなさいませんとロドリックさんが困ってしまいますよ?」


「はっ!ええ、も、問題ないですわ......ロドリック様」


「お嬢様?乙女モードに突入してしまうのは仕方がない事かもしれませんが、私が『さん』呼びなのですよ?しっかりなさってください?ほら、頑張って!」


 ヘレナは相変わらず私に対して容赦がない。しかしそうなると......やはり(ゴクリ)


「......ロッ↑、ンン、ンッン......ロドリック、よろしくねロドリック、頼りにして......ます」


「まぁ、......及第点としましょう」


「あはははは!あっいや、すみません。フフ、よろしくお願いしますシェリル様。貴女のお名前をお呼びできるのも、貴女に自分の名を呼ばれる事もとても光栄です。なんだか俺の名前が特別に聞こえてしまいます、クセになりそうだ」


――パリーーーンッ――


 そりゃヘレナの辛口評価も吹き飛びますとも!かけてもいない眼鏡も割れてしまう勢いですとも!なんですの?何か色々なものが渋滞しているわ!ああ、朝日はとっくに入ってこない時間だというのに、彼が朝日を浴びているかのように眩しく輝いていて直視出来ないわ!



 こうしてロドリック・ブロウは無事公爵家の、それもシェリルの専属騎士となった。

 一方シェリルの暫定婚約者レイナード・アッザムは、帰城した国王に叱責されたのであった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「お城に行くのも一週間ぶりかしら?毎日通っていたのが噓みたいに昔に感じるわ」


「お嬢様?それは毎日が充実されているからではないですか?ロドリックさんが来てからというもの、お嬢様の表情も変わりとても可愛らしいとメイド達の間でも噂になっておりますよ?」


「またヘレナは!ロドリックを出せば私が慌てると思っているのでしょうけど、そうはいきませんからね?私だってもう慣れたわよ?これから城へ行ってレイナード様達と決着をつけるのですから、浮ついてはいられないわ」


「さすがシェリル様!嫌な事にもきちんと冷静に向き合われて、とても素晴らしいですね?ご褒美にこれが終ったら耳元で沢山褒めて差し上げますね」


「ゴッフゥッ!ゲェホッ!ゴホッゴホ!」


「お嬢様?咳込み方が......恋する乙女のそれとはかけ離れておりますが大丈夫ですか?」


「ゴホッゲホ!ケホッケホッケホッ(普通に大丈夫なのかと心配しなさいよ)」


「申し訳ありません!シェリル様!大丈夫ですか?調子に乗って余計な事を言ってしまいました」


「いいえ、大丈夫よ。ケホッケホッ、失礼、気にしないで。それよりも......ご褒美とは何のことかしら?」


「あーー、いやその......ヘレナさんからシェリルお嬢様が喜ばれる事をいくつか聞いていたので。あっ!最初は半信半疑だったのですが、私の声ごときでシェリル様が元気になられるならと思って......」


 なるほど、やはりヘレナの仕業ね?一体何をどこまでどの様に伝えているのかしら?......気になるわ。いいえ、今はそれよりも!しょんぼりしないでちょうだい!モソモソ話す声がより低音になってしまって、それだけで落ち着かなくなるのよ!これ以上私の主としての威厳をかき消すのはやめてほしいわ。


「勿論励ましてもらったり、努力を認められるのは嬉しい事よ、誰からであってもね?だから......まぁ、ご褒美というのが正しいかどうかはさて置き、この件が解決したらその......ご、ご褒美とやらをお願いしてもいいかしら?」


「勿論!シェリル様のお望みのままに!」


――パァーーーー!!――


 私の意識の端っこの方でヘレナが「出来るだけ小出しにと言ったでしょう!」なんてロドリックを注意していたけれど、私の耳を素通りしていた。なぜなら私の耳には、ロドリックのいつもより少し高くなった声しか残らなかったのだから。......。


 私はその声を反芻しながら城へと続く道を馬車に揺られて向かった。ロドリックがとても優しい瞳で私を見ている事など何も知らないままに......。



読んでいただきありがとうございます。

今後も応援よろしくお願いいたします。

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