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第24話 『自分磨き大作戦!その3』


 期末テストの結果が張り出される日、いつもなら「まぁまぁできればいいか」と軽く考えている俺だったが、今日は違った。


 紗良と一緒に計画を立てて勉強に励み、自分でも驚くほど努力してきた日々が、どんな結果を生むのかを知りたい気持ちが強かった。


「柊斗、一緒に見に行こう!」


「うん……」


「何クヨクヨしてるの!」


「なんかあんだけ頑張ったけど、もしあんまり良くなかったらって思うと少し怖くて……」


 そうやって少し弱音を吐くと、紗良が俺の目をしっかりとみてこう言った。


「大丈夫だよ、いい結果だとしても、もし万が一納得がいかない、悪い結果だったとしてもウチが、ウチだけは柊斗がみんなよりめちゃくちゃ頑張ってたってこと知ってるから、だから大丈夫」


「……」


 そんなことをいきなり言ってくれるものだからうちの彼女にはもうお手上げだ。最高だ。


「ありがとう、紗良行こっか」


「うん!楽しみだね!」


 紗良に手を引かれながら、張り出されている成績表の前まで向かう。

 彼女もテスト期間中ずっと一緒に励ましてくれたから、自分の結果をまず一番に彼女に見せたかった。


 成績表の前に着くと、自分の名前を探して目を凝らす。指で名前をなぞりながら順位を確認すると――


「えっ、こんなに上がってる……」


 思わず声が出てしまった。

 今までよりも大きく順位が上がっているのが目に見えてわかり、自分の努力が形になって現れたことに、胸がじんと熱くなる。


 隣で見ていた紗良が、笑顔で肩をポンと叩いてくれた。


「すごいじゃん、柊斗!やっぱり頑張った分だけ結果が出たんだよ」


「……うん、ありがとう」


 まっすぐに俺を見つめる紗良の言葉が、心に深く響く。

 彼女がずっと励まし続けてくれたおかげで、ここまで頑張ることができたんだと改めて思い知らされた。


 教室に戻ると、クラスメイトたちも成績表を見ていたらしく、俺がいつもと違う結果を残していたことに気づいてくれた。

 何人かが驚いた表情で近づいてきて、「お前、最近すごいな」と褒めてくれた。


「いや、まぁ、今回はちょっと頑張ってみたんだ」


 少し照れくさく返すと、クラスメイトたちは「頑張ったな!」と声をかけてくれて、俺の成長を素直に喜んでくれているのが伝わった。

 こんなふうに誰かに褒められたり、驚かれる経験なんてなかなかなかったから、嬉しさと自信が自然と湧いてくる。


 その日の昼休み、俺と紗良は教室でお弁当を食べながら、成績の話をしていた。

 紗良は何度も「すごいね!」と言ってくれて、その言葉が嬉しくて、何度も聞き返してしまいそうになる。


「紗良のおかげだよ。ずっと応援してくれたからさ……本当にありがとう」


 俺が感謝の言葉を伝えると、紗良はにこにこと笑いながら、


「ウチは何もしてないよ。柊斗が頑張ったから結果が出ただけだよ」

 

 と、そう言ってくれる。その謙虚な姿勢が、さらに俺の心を温かくしてくれる。


「でも、なんだか自分が少し変われた気がする」


 心からそう思えるのが、自分でも驚きだった。


 以前の俺なら、成績を気にすることも、ましてや周りの友人たちから注目を集めることも考えられなかった。

 でも今は、努力した結果が形になって現れ、自分にも少し自信が湧いてきた。


 放課後、紗良と一緒に帰り道を歩いていると、彼女がふいに話しかけてきた。


「柊斗、ほんとに変わったよね。なんか、見ててどんどんかっこよくなってるなって思うよ」


 紗良の言葉に、胸が高鳴るのを感じた。


 こんなふうに褒められることが、今の自分にとってどれほど大きな意味を持っているのかを痛感する。

 彼女の存在が、俺をどんどん前向きに変えてくれているんだ。


「ありがとう、紗良。俺、もっと頑張りたいって思えるんだ。これからも、もっと自分を高めていきたい」


「うん、ウチも応援してるからね!」


 紗良は俺の言葉に力強く頷き、手をぎゅっと握り返してくれた。


 その温かさが、俺の心にさらなる自信を与えてくれる。紗良が応援してくれている限り、きっとどんなことでも乗り越えていける気がしてきた。


 家に帰って、静かな部屋で一人になっても、紗良の言葉がずっと頭の中で繰り返されていた。


『柊斗なら、どんどん素敵になれるよ』


 あの前俺に言ってくれた紗良の一言が、まるで心の奥に刻まれていくような気がする。

 紗良のために、そして自分のために、これからももっと努力を続けていこう、俺はそう決意したのだった。

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