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第23話 『自分磨き大作戦!その2』


 紗良と一緒に過ごす日々の中で、俺は少しずつ変わり始めていることに気づいていた。


 紗良が俺の趣味に共感し、支えてくれることで、自然と自分も「もっと頑張りたい」という気持ちが湧いてくる。

 外見の変化はもちろんだが、次第に「内面ももっと成長したい」と感じるようになっていた。


 ある日、次の定期テストの話題がクラスで持ち上がった。

 今までなら「まあ、そこそこ頑張ればいいか」と思っていたが、ふと紗良が隣で頑張っている姿が頭をよぎる。

 彼女はこう見えても根は真面目で学年上位の実力の持ち主だ。


 彼氏として彼女に見合うような、成績が直ぐに上がる、そんなことは無いけれど、努力する、ということに意味があると思う。


 そんなこんなで、次のテストに、もっと本気で向き合いたいという思いが湧いてきた。


 放課後、紗良と一緒に帰りながら、俺は意を決して彼女に話しかけた。


「紗良、次のテスト、俺も真面目に頑張ってみようかなって思ってるんだ」


 紗良は驚いたように目を丸くしたが、すぐに嬉しそうに微笑んでくれた。


「ほんと?それ、すごくいいと思う!私も一緒に頑張るよ!」


 彼女の明るい笑顔に、自然と自分も前向きな気持ちになれる。

 こんなふうに誰かと一緒に目標に向かって頑張ろうと思えるなんて、今までの自分にはなかったことだ。

 本当に彼女の存在には感謝しかない。




 ******



 


 翌日、俺は少し早く学校に来て、テスト勉強の計画を立ててみた。

 普段から勉強が得意というわけではないが、紗良と一緒なら頑張れる気がしていた。

 昼休みには紗良と教室で会い、一緒に勉強する約束をした。


「ねえ、ここ、どう解くんだっけ?」


 紗良が教科書を開きながら話しかけてきた。

 正直、俺もあまり得意な範囲ではなかったが、一緒に解き方を考えることで自然と頭に入りやすくなる。


「ここは……多分こうかな?」


 一緒に考えながら解いていくと、勉強も少しずつ分かりやすく、そして何よりも楽しく感じられてきた。


 互いに励まし合い、時には笑い合いながら、少しずつ進めていくその時間が新鮮で、勉強に対してポジティブな気持ちを持てるようになっていることに驚く。


 放課後、クラスメイトたちも俺の変化に気づき始めたらしく、「最近、頑張ってるよな」と声をかけてくれるようになった。


 以前は、勉強に力を入れるなんてあまり考えもしなかったが、今は紗良の存在が背中を押してくれているから、自然とモチベーションも上がっていた。


 クラスメイトの言葉に照れくささを感じながらも、どこか誇らしい気持ちが湧いてくる。


「いや、まあ……今回は、ちょっと頑張ってみようかなって思って」


 軽く返すと、彼らも「いいね、その調子で頑張れよ!」と応援してくれた。

 その言葉に、ますます頑張ろうという意欲が湧いてくる。

 ……俺のクラスメイトはいい人たちばっかりだ……。


 そして週末、俺と紗良は二人で近くの図書館で勉強することにした。


 紗良は、自分が得意な科目を教えてくれながら、俺の苦手な分野に手を貸してくれる。

 彼女の姿を見ていると、「自分もこんなふうに誰かを支えられる人になりたい」という気持ちが芽生えてくる。


 お互いの勉強が一段落し、休憩時間にすることにした。

 そうすると、紗良がふと話しかけてきた。


「柊斗、本当にすごく頑張ってるね。なんか、見ててかっこいいよ」


 その一言に、胸が熱くなった。

 紗良がそう言ってくれるだけで、何倍も頑張れる気がする。

 彼女は本当に俺を奮い立たせる天才だ。そう思った時にその気持ちを直ぐに真っ直ぐに俺にぶつけてくれる。

 とてもそれがありがたい。


「紗良が一緒にいてくれるから、俺もやる気が今までよりめちゃくちゃ出るんだよ」


 素直にそう伝えると、紗良は少し恥ずかしそうに微笑み、「これからも一緒に頑張ろうね!」と返してくれた。その言葉が、何よりも励ましになっている。


 その夜、家に帰った俺は、これからもっと勉強に向き合って、目標に向かって努力していこうと強く思った。


 紗良が隣にいてくれることで、少しずつ自信がついてきたし、何より彼女の存在が俺にとっての大きな支えになっていることを改めて実感していた。


「──もっと、頑張ろう」


 心の中でそう誓いながら、俺は新しい目標に向かって一歩ずつ歩み始めた。

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