スターゲイザー3
「やってらんないわ!まったく
ブツブツ ブツブツ
・・・
あっ!ユンおじさんおはよう!元気!」
「おっ、おおう、ホシリンじゃないか
どうした、なんかあったのか?」
「まあ、人生簡単なもんじゃないってね
ユン君はどうかね?順調かね」
「おっ、おお、おかげさまで」
「そうかねそうかね、ふん!」
「お嬢ちゃん、ほんとはいくつなんだい?
10歳児の言動じゃないぞ」
「まあいくつでもいいじゃない、
それじゃね、ギルドに戻んないと」
「何か用があったんじゃないのかい?」
「ユンおじさんの顔を見に来ただけだよ
なかなかイケメンでもてんじゃないの?
うりうり」
「なんか知らないけど、あんまり生き急ぐん
じゃないぞ、何事も潮目があるからな」
「・・・
う〜ん、なんか目の前に人参ぶら下げられて
踊らされるとか好きじゃないのよね
特に偉い人にそういうことされるのは
ムカツク」
「偉い人がそういうことするか?
・・・
そういえば師匠が言っていたな
人間、ズボラだから騙さないと動かないんだって
人参ぶら下げないと走らない馬、
誰も自らを変えようとしないんだと
周りに要求するだけでな
一歩踏み出せば自由をつかめるのに
今までの自分の環境にしがみついたり
今までの自分の考えにしがみついたり
自尊心に雁字搦めに縛られているから
ほんの先っぽほども変えられないんだとよ」
「う〜ん、どうすればいいのよ」
「だから師匠は弟子を甘言でだまして準備させて
いきなり逆境に放り込むんだとよ
何もしないと死ぬだけだぞっ!と脅してな
その絶体絶命の瞬間に
今までの自分が総決算されて
本当の自分が出てくるんだと
自尊心やその元の自己憐憫に囚われていない
どんな状況でも生き抜ける強靭な思考
アメーバから人間をここまで進化させた
環境適応力(旧皮質)がな」