表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

第7話 幼馴染の悩み事 1

なんか私幼馴染キャラ好きじゃね?

ってかほとんどの作品におるくね?


学校の教頭が逮捕され大騒ぎになってから少し経った5月の終わりごろ、朝から生徒会の仕事があった俺が氷雨よりも早くに家を出ると……斜め向かいの家から、俺の通う学校の制服を着た女性が同時に家のドアを閉めていた。


「あれ、夏帆じゃないか」

「あ、宗ちゃん。おはよ!」

「お、おう。おはよう。早いな」

「今日日直なの!」


俺を見た途端、こちらに寄って来て元気よく話し出すのは住谷夏帆。幼稚園の時から一緒にいて、小・中・高と共に学校生活を送っている幼馴染である、昔っから明るく元気で、家事がめっちゃできるいい子である。ただし、氷雨と同じで勉強はそこまでできない。たまーに俺に半泣きで教えてと言ってくるところがかわいい。


「そうだ、久しぶりに一緒に学校行こうよ?」

「ん、ああ。いいぞ」

「いつも宗ちゃんは生徒会のせいで早く学校に行って遅くに帰って来るから、なかなかタイミングあわないんだよねぇ」

「それは本当にすまん」


まあ、確かに挨拶運動とかの時は早く登校するし、今回もそのせいで早いんだが。どっちかというと、夏帆が寝坊して遅刻ギリギリに突っ込んでくるからな気もしなくもないが。いや、絶対そうだろ。


そんなことを思っていると、俺の横で歩く彼女は右を向いて左を向いて、前を一瞬見たら今度は後ろを注視したりと、何かが気になるようなそぶりを繰り返している。本人曰くチャームポイントである赤い髪留めもそのたびに視界の中で動くので嫌でも気になる。


「どうかしたのか?」

「うーん、なんでもないよ」

「いや、そこまでキョロキョロしてたらなんかあるだろ」

「違います―、忘れ物してないか心配になっただけです~」


俺が指摘してみると、夏帆は若干思案するような、困ったような顔をした後にそうはぐらかす。実際に彼女は肝心な時に限って忘れ物をすることがあるが、それでも忘れ物はほとんどないし、むしろ俺が何か忘れたら予備を出してくれるくらいに気が利く。だからそれははっきりと嘘とわかった。


こちとら何年一緒に過ごしてると思っとんじゃコラ。


「ほんっとうになんかあったら俺に言えよ」

「わかってる~。いざとなったら頼るから大丈夫だよー」


わかってるとは言えど、こいつはこっちからはっきり言ってやらないと相談もしてこないし、一人で抱え込むことを俺は知っている。これも長年こいつと過ごしてきてわかっている傾向だ。


今度、氷雨にも話るか。


 〇 〇 〇


結局、その後は学校に着くまで雑談をし、俺は生徒会の挨拶運動があるため夏帆とはそこで別れることに。徐々に暑くなっていく気候の中で立ちっぱなしの刑から解放されたのは、彼女と別れてから30分後のことだった。


赤井先生からスポドリを貰い、それを飲みながら教室まで歩いていけば、既に朝礼が始まっている最中だった。俺が何をやっていたかを理解している担任の先生は、遅刻の時間なのに堂々と入ってくる俺には何も言わず、淡々とお知らせを読み上げていた。


「最近、県内で不審者が大量発生しているという情報があります。県内に住んでる人は特にだけど、他県からの来ている人も十分注意するように。あと、今日の5限目の数学Bは、講師の先生がぎっくり腰で泡吹いて倒れたそうなので、自習です」


自習と聞いた途端、クラス全体がわっと盛り上がる。高校生というものは自習というものが大好き。まあ、自習と言えども雑談ができるフリータイムだから好きってだけなのだが。当然、俺も自習になってくれて嬉しい。だって生徒会の書類仕事堂々とできるから。


そんなこんなで、イレギュラーな1日を過ごして昼休み。次は自習の数学Bになるからと思い、生徒会室に資料を取りに行こうとしたところ、廊下で隣のクラスの有名なギャルに絡まれた。


「へーいふくかいちょ~、ちょっとヨロ~?」

「なんだ? 用事あるからなるべく早くしてくれたら嬉しい」

「うっわー、ふくかいちょ―めっちゃストイック~」

「いや、マジで早くしてくれ」


早くしてくれないとさぁ、俺の昼食の時間が減るだろ? ただでさえ購買でなんか買う時間を削って資料取りに行くんだからさぁ。わかる? 俺今日購買の自販機で売れ残ったかっすかすの甘いパンしか食えないんだぞ?


「えっとね~、カホちんが~、ふくかいちょーに相談したいことあるって~」

「わかった。今は時間がないから放課後に俺のとこに来るように言っといてくれ」

「は~い」


ふむ……相談か。夏帆の方から相談を持ち掛けてくるのはだいぶ久しぶりな気がする。なんせ中学に上がってからは、お互い思春期でそんなにいつでもべったり一緒にいて話さなくなったからだが。あいつって色々ため込むことあるからなぁ……ちょっと気になる。


「……なんだろな:


あまりにも気になる相談事の内容予想選手権が頭の中で始まり、あーでもないこーでもないと考えながら、ゆっくりと歩いていく。その後結論は出ず、資料は持ち出されており、さらに購買のパンが売り切れという踏んだり蹴ったりな結果に俺は崩れ落ちるのだった。


 〇 〇 〇


放課後。わざとゆっくり帰宅の準備をしていると、人がまばらになった教室の入り口から一人の女子生徒が首だけクラスの中に入れてくる。どうやら人探しをしているような彼女は、一瞬俺と目があうと、まるで探し物を見つけた子供のような顔をしたあとでこちらに歩いてきた。


「遅くね?」

「ごめんね~。日直だったから」

「あ、そういやそうだったわ」

「待っててくれてありがとー」


そうじゃん、なんで朝早くに夏帆と一緒に登校してたかと言えば、こいつが日直だからだったわ。頭回ってねーなー……昼飯食ってないからかぁ?


「んで、相談事って何?」

「ここだとまだクラスの人とかもいるから、帰りながら話そうよ」

「おー、そうするか。ヒサメはどうする?」

「ひーちゃんはいつも友達と帰ってるの見てるからいいんじゃない?」


そういやあいつ地味に友達多いよな。というか基本的に女子ってめっちゃ塊でいるよなぁ。どうしてなんだろうか。男性同士だと一緒に帰らなかったり帰ったりと日によって違うんだが……女子のグループっていつも一緒に行動しているイメージ。なんでだろ。多分生きている世界が違うんだと思う。


そんな永遠の謎を感じながら教室を出た俺は、学校の校門を目指しながら夏帆の相談を聞くことに。ほんで? 何があったんです、お嬢さん。


「もー、お嬢さんだんて思ってないくせにぃ。まあ、簡潔に離すと……今日が何日? ってお話から始まるんだけどね」

「今日? 25日だろ? 25……25……あっ、おじさんとおばさんの結婚記念日的なやつか」

「そう。1か月前記念だからって二人で旅行に行ってるんだけど~……そのー……家に、鍵置いてきちゃったみたいで?」


は?


「ほら、朝日直だったじゃん? だけど私、いつもの時間でアラームかけちゃってね。それで慌てて出てきたから鍵を自分の部屋に置いてきちゃってて……」

「おいおいおい……スペアキーとかねえの?」

「ないない! だって私が学校に持ってく時に使ってるのがスペアキーだもん!」

「あっ」


要約。住谷夏帆は帰れない。


こんなライトノベルのタイトルありそうだな。


というか普通に洒落にならないな……1か月前で旅行ってことは、少なくとも日曜までは帰ってこないだろう。そんで、おじさんとおばさんの実家……つまりは夏帆のお爺さんとお婆さんの家だが……父方は北海道の中標津町。母方は沖縄の石垣島。うーん、対極。ここは神奈川だからどっちも死ぬほど遠い。え、じゃあ行くアテないじゃん。ネカフェで寝泊まりする金もないじゃろ?


「だから~、そのー……宗ちゃんの家に泊らせてほしいんだけどー……ダメかな」

「いいぞ」

「あはは……相変わらずあっさりだね」

「いや、そりゃあ夏帆だからな。あんま話さんクラスメートならアレだが、幼馴染は別だろ。氷雨も喜ぶだろうし」


氷雨は昔から夏帆が大好きだからなぁ……会うたびに膝枕してもらって、口元を緩めながらデレデレしているところを見る。おっさんかよと思う。曰く、「夏帆ねえの太ももは最高なのです! 柔らかくて寝心地いいし、そもそも形がいいから身体にフィットするし!」だそう。俺はやってもらったことは一回もないから知らん。あんま知ってても問題だと思うが。


なんかちょっと顔を赤くしながらお礼を言ってきた夏帆は、夜ご飯どうする? そもそもお父さんたち帰ってkるうの? と聞いてくる。なんかちょっと照れ隠しみたいな言動は可愛い。そこは昔から変わってない。


親父は……帰ってくんのかなぁ。えらく俺の家がフランクなのは親父のせいなところがあるが……どんな人かって? フランクすぎてフランクルフルトみたいな人さ。いや、マジで。心の広さがフランクフルト。

で、母さんは……1月前に帰ってきたが、段ボールを車に積んでたから、ありゃ当分帰ってこねえな。やり手すぎるOLだから、どうせ地方か海外で事業を1つおこしてくる気だろう。


「じゃあ夜ご飯は3人分でいっか! 帰りにスーパーでかってこ!」

「作ってくれるのか?」

「泊めてくれるお礼に家事からいやるよ~!」

「お、そりゃ頼もしい」


いつも親父がいない時に夜はヒサメが作ってくれるのだが……あいつ鍋とか男焼きの肉とかしか出さねーからなぁ。対して夏帆は料理上手でめっちゃ美味いが作れる。今夜はいい思いで寝れそうな予感。どこかから「失礼な!」と声が聞こえた気がするが、無視することにしよう。


「あ、それと……もう一つ相談が……」

「ん? どした?」

「実はね……かくかくしかじかこういうことが」



ほうほう。ふむ。


ストーカーされてる? めっちゃ怖い?


なるほど? 


なるほど。


そうですか。


おいおいおいおいおい。


YU☆RU☆SA☆N

Q:幼馴染キャラ好きですよね?

A:多分好き(アマガミの桜井梨穂子とか好き)

Q:なんで?

A:多分中学卒業してからリアルで幼馴染と会ってないから

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ