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第11話 ヒサメちゃん、怒るの巻 前編

肥満肉塊のくそd……ではなく、わが校の汚職教頭含めた数名の不正を摘発してから数週間後のこと。

私が別件のせいで深夜も深夜まで張り込みをして疲れて眠っていたら、ドアをノックする音が。その音で起きた私が時計を確認すると、時間は7時。いつの間にか朝になっていました。睡眠時間は驚異の2時間。普通なら肌荒れとか目の下にくまとかができるところでしょうけど、私はそうなりません。忍者なので。


おそらく、あのノックの音はおにいがしたんでしょう。窓を見れば、おにいが既に玄関から外に出ていました。ありゃ挨拶週間のせいで早く登校させられてますね……お疲れ。そして、時を同じくして幼馴染の夏帆ちゃんも向かいの家から出てくるところが見えました。私よりも2歳上のお姉さんで、めちゃくちゃ優しい。私といるとめっちゃ甘やかしてくれるので好き。特にあの寝心地のいい太ももがいいんですよね、うんうん。私? 多分硬いですよ。


こっそり二人に手を振って”いってらっしゃい”をした後、私も学校に行く準備を数分で済ましてしまう。こう、シュパパパパってやってドーンってやってガチャガチャする感じ? 行動に無駄をなくして早く手を動かせば身支度なんてすぐ終わります。同学年のギャルっぽい女子が「家出るときの準備めっちゃかかってやば~い」って言ってましたが……多分私ならその5分の1もかかりません。


髪のセットが終わったら、最高速でリビングに置いてある朝食めがけてダイブして、おいてあるトーストを一口。うん、おいしい。おそらく今日はお父さんが作りましたね。だっておにいのトーストよりも焼き加減上手いし。サラダもさっぱりしてておいしい。コーヒーは徹夜の張り込み明けに効くんじゃ……。


早く食べても身体に毒なだけなので、ゆっくり朝ごはんを食べたら、すぐに用意してあったカバンを持って学校へレッツゴー。少しまだ眠いですが、授業中に先生の隙をついて寝ることにしちゃいましょう。


  〇 〇 〇


「ただいま~」

「おかえり」

「氷雨ちゃん、おかえり~」

「あれ、夏帆ねえがいる」


その日の夜。私がバレー部の助っ人をして帰って来ると、家にはおにいと夏帆ちゃんがいました。二人が中学校に入ったくらいからあんまうちに夏帆ちゃんが来ることはなくなったから、今日は珍しい。もしかしてやることやっちゃったりしました? あら嬉しい、お赤飯たかなくっちゃ。


「何を想像してるんだお前は……っ!」

「そんなチョップあたりますか……って! う、結構重い」

「白羽取りすんな! あと、本当に変な事してねーからな!?」

「はいはーい」


あ、よくみたら机にめっちゃ勉強道具散らばってた。勉強を教えてもらいに来ただけっぽい? 多分? そっか。つまんないの。


「つまんないってなんだよ!?」

「さぁ……とりあえず部屋に荷物置いてきちゃお。夏帆ねえとたまにはおしゃべりしたいし」

「逃げたな」

「逃げるが勝ちです」


氷雨ちゃんは忍者なので。情報収集したら逃げるが勝ちです。ひとまずで部屋に駆けあがって荷物を置き、制服のままだとアレなので私服に着替えてから下に降りると、夏帆ねえはエプロン着て台所に立ってました。エプロン姿めっちゃ似合う。


「ごはんつくってってくれるのー?」

「ううん。今日は泊ってくの。今日はうちの両親が結婚記念日1か月前記念旅行! って言ってクルーズに行っちゃってるから」

「あー……」


夏帆ねえの家……住谷家の夫婦はここの近所でもおしどり”すぎる”夫婦として有名。うちもうちで大概だけど、向こうはもっとやばい。1月に1回は結婚記念日○か月前記念等といい、食事に行ったり、1か月前くらいになればプチ旅行を夫婦でし始める。夏帆ねえが小さい頃は一緒に行ってたそうだが、高校に入ってからは留守番できるでしょとのことで、ついていかなくなったそうな。


そして、今日は不覚にも色々な理由が重なって、この家に泊っていくそう。要因の1つは、寝坊して焦って家を出たから鍵を家に忘れたそうな。日直の日だったのに、アラームをいつもの時間にかけたから大変だったらしい。ドンマイ。


「っていうか、よかったね。今日が金曜日で。明日授業なら教科書とかが大変だったじゃん」

「うん、ホントそーだよぉ……」

「しっかり者の夏帆ねえにしては珍しいよねぇ。ねえ、おにい」

「ん、ああ。まあ、でもしょうがないっつうか、なんというか——」


そんな、どこか気が気でないようなおにいの空返事から始まったのは、夏帆ねえの身に今も起きている事件のお話。


まあ、おにいの説明は長いので割愛すると……要はストーカーにつけられているんだそうです。


……マジ?


「マジ」


えっ、うそ。


「ほんと。その相談込みでうちに泊まることになったんだっちゅーの」


え、許せない。


「それな」


許せない……私の夏帆ねえに……!


「いや、お前のではないぞ?」


よし、わかりました。今すぐぶち殺しましょう。そうですね、最初は拷問の肉剥がし刑にでもしてやりましょう! そうしましょ!


「お、おい氷雨……笑顔、怖い」

「大丈夫ですよ、大っぴらにキレると近所迷惑なので、感情押し殺して静かにキレてるだけだから」

「いや、だからそれが怖いんだって。オーラが”ぶっころ”って言ってるのよ」


だってそう思ってるからそりゃオーラに出ますよね。これが殺意ってやつです。ハハッ!


「もう、そこまで怒らなくたっていいよ~。多分宗ちゃんいてくれればそのうち諦めてくれるだろうし」

「おにい、責任重大ですね!」

「からかうなっての」

「ふふっ、頼りにしてるよー」


そういえば、私の担任のおばちゃん教師が”不審者増えてる”って朝礼で言ってたような。もしかしてそれ絡みですかね。まったく、どうしてこう変質者って一定数いるんですかね。私は……まあ、傍から見たら変質者(忍者)なんだけど。いや、不審者(忍者)か。


どっちでもいいですが……夏帆ねえのピンチとなれば、少し調べる必要がありですかね。



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