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2つの卵の詩

卵にまつわる詩を2つ書きました。

それぞれの冒頭に、5・7・5もつけています。

■ともぐいに あらずや女 らん



【人魚の産卵】


人魚と交わるにはどうすればいいか


まずは尾鰭おひれに口づけてみるといい

それから目を閉じて

うろこに舌を這わせ その連なりを感じてみるといい


排卵口は 脇腹の下にある

生臭く 熱いあな


満月の夜に月を

幾日も、幾日もかけて

肚の中の紅色の海の底で

熟し増えてく 赤い無数の真珠玉


人魚が苦しみ悶えて

ぴちぴちと暴れ回っても

決して決して尾鰭おひれから 口を離さぬように

しかし 噛み切らぬように


痙攣けいれんする穴から やがて零れる赤いたま


人魚は気を失い

はらを見せつつ 海面にあがっていくだろう


ぷかぷか漂う 魚のかたちの影の下で

きみの精を らんにかけてやればいい


fin




からぐ 中身は心臓ばかりなり



【脈打つらん


たまごの中から

何かが生まれるのではなくて

たまご自体が 生命体なんだよ」


君はそう言って、

震えるたまごをシンクに打ちつけた。


ひび割れた中身には

肉色の心臓が詰まっていた。


丁寧に殻を剥がされたあとも 

心臓それしばらく脈打っていたけれど

やがて動きは弱々しくなり、ついに息絶えた。


「信じないなら、

もう一個割ってみせようか?」


君はたまご

つかんで大きく振りかぶる。


fin


お読み下さり、ありがとうございました!

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