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5つの小さな詩

これらの詩は2022年5月23日に、雨の粥さん、小冨百さんと一緒に連歌を詠み合った時の歌のイメージから、空想を広げて作ったものです。


当時の連歌を、「あとがき」のスペースに載せています。そちらも併せてお楽しみください。


お二人に、感謝を込めて。

① 【人魚の溜まり場】


紅い傘をさして 驟雨しゅううの中をいく


溢れ出す水たまりから 聴こえてくるのは

人魚サイレーンたちの歌声


ぬるぬる てらてら つやめく尾ひれが 輪になって 


「イラッシャイヨ」と私を誘う


fin






② 【真夜中のマネキン】



深夜。吐息。

マロニエ通り。


月影。陰影いんえい

マネキンの横貌よこがお


その眼が見るのは、天の国。


ショウウインドウの内側で、

人目を忍びて、祈りを捧ぐ。


fin





③ 【前世の記憶】



淡くてやわい 記憶の中で

咲いているのはアマリリス


黄色と碧の光のたまに照らされて


みみずが踊る 肥沃ひよくな土を

私は素手で 掘り返していた


指先を真っ黒にし 額に水玉を浮かべて


きっと何かを探していたんだ


fin




④ 【海の底には天国が】



もぐらの船員 エッサホイサ

土のお船で 出航だ


沈むあぶくに 揺らぐヒゲ


潜水探検 エッサホイサ


海の底には 古代の文明

光もかげも届かぬ国にゃ


顔のない王 首なし大臣

ミイラの棺桶 からの音


fin



⑤ 【リリスの葬送】



さよなら、リリス


蛇にまれて 恍惚のままに死んだ

もう二度と 動かないきみ


真珠の肌は 赤くかれてしまった


僕はきみの寝台ベッド

むらさき色の竜胆りんどうで埋めよう


花に埋もれて、溺れて、沈んで

きみは夜の女神になる


fin




【完】


出典元として、当時の連歌を以下に記します。

(雨)=雨の粥さん/(小)=小冨百さん/(ゆ)=ゆにお


-----------

【小冨連歌20220523】(Twitter上にて)


小 : 濡れ場色 水溜みずたまりの中 人魚の巣 

雨 : 月影揺れる マネキンの顔 

ゆ : 覗き込む あなたを海に 引き込んで

ゆ : 土の船 もぐらの船員 旅立ちや

雨 : かげなき国のこえ金字塔ピラミッド

小 : 私のお墓は どこでしょう

雨 : 薄れゆく 記憶のなみよ アマリリス

小 : 赫い身 リリス さらばかな

ゆ : 花に埋もれる 夜の女神よ


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