表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お笑いネタ【コント・漫才】

コント「チャーターイーツ」

作者: 仄賀 万紘

ツ/ツッコミ   ボ/ボケ


ツ「あ~、腹減ったなぁ~。なんか食べに行くか?」


ボ「ん~……腹は減った気がするけど、出かけるのめんどくさい」


ツ「あ! それなら、あれ頼もうぜ。家まで配達してくれる、あのサービス!」


ボ「ん~? ああ、あれね。俺この間頼んだわ」


ツ「俺まだ使ったことないんだよな~。なぁなぁ! 昼それにしようぜ!」


ボ「いいよ。俺アプリ持ってる」


ツ「おっ! 見せて見せて!」


ボ「ほい」


ツ「んんっ? チャーターイーツ? そんな名前だったか? なんかもっと違う名前だったような……」


ボ「そう? 俺、それしか知らない」


ツ「まっ、色々やってるとこあるし、どこも似たようなもんか。へぇ~、たくさんあるな。海外料理多いな~。和食とか逆にほとんどねぇや」


ボ「ここのピザ、この間頼んだけど美味かったよ。超本格的」


ツ「いいじゃん。それにしようぜ」


ボ「おっけー。3種類くらい頼んどくな」


ツ「俺が言い出しっぺだし、俺が飯代持つから、お前配送料頼むわ」


ボ「おっけー。あ~、俺の財布からクレカ取ってくれ」


ツ「しゃあねぇ~な~。(ガサゴソ)何色のだー? うわっ、お前、金色のカードばっかじゃん!」


ボ「黒いやつ取って」


ツ「はいはい、黒ね……ほら」


ボ「サンキュ」


ツ「……なぁ」


ボ「んー?」


ツ「お前ってもしかして金持ち?」


ボ「うん」


ツ「え! マジで!? 俺、初めて知ったんだけど!」


ボ「聞かれなかったから」


ツ「いや、そりゃそうだけど」


【SE】決済音「ピンロンッ」


ボ「よし、完了っと」


ツ「……なあ」


ボ「どうした?」


ツ「やっぱり俺が配送料の方にしてもいい?」


ボ「いいよ?」


ツ「わりぃな~、今月ちょっとピンチでさ。配送料っていくら? 500円くらいだっけ? 1000円あれば足りるよな」


ボ「300万」


ツ「はぁ~? そういうのいいって。変なとこでボケんなよなぁ~。ボケるにしても桁違いすぎだから。で? 本当のとこいくらなの?」


ボ「だから、300万」


ツ「いや、もういいって。本当の額言ってくれよ」


ボ「300万」


ツ「おい……いい加減怒るぞ」


ボ「噓じゃない」


ツ「ふざけんな。そんなバカ高いわけないだろ! もういい。画面見せろ」


ボ「はい」


ツ「ったく……は? ガチじゃん……ガチでコンマ2つ入ってんじゃんっ! え? 何これ? 詐欺? 俺らこのアプリに騙されてるぞ!」


ボ「そうか? 妥当な金額じゃないか?」


ツ「はーー!! これだから金持ちはっ! はーー!? カモられてんだよ! 気づけよ! おバカさんめっ!!」


ボ「そんなことない」


ツ「金持ち専用アプリか? あぁっ……! キャンセルできねぇじゃねぇか、クソっ!」


ボ「やっぱり飯代の方負担にしとく?」


ツ「あったりめぇだろ! 300万なんて払えるかっ! あ~、とんだ災難だ。金持ちの娯楽に付き合わされた……」


ボ「まあまあ、頼んじゃったし、配送料は俺が払うからさ。お前は飯代の3000円払ってくれればいいよ」


ツ「なんで俺が譲歩されたみたいになってるわけ?」


ボ「楽しみだな~」


ツ「聞いてねぇし……。まあ、ブラックカード持ってるくらいの金持ちなんだ。300万くらい痛くも痒くもねぇんだろ。で、どれくらいで到着予定なんだ? 腹ペコペコなんだけど」


ボ「そうだな……大体12、3時間くらいじゃないか?」


ツ「(腹の底から響くような低い声で)…………は?」


ボ「え、聞こえなかった? 大体じゅう――」


ツ「(被せて)聞こえてるわ! 聞こえてた上で言ってんだよ! もうほんといいって。300万のときと同じノリいらなっ(ハッと気が付いて息を呑む)……い……から……」


ボ「急に止まってどうした」


ツ「おい」


ボ「はい?」


ツ「……まさかとは思うが、イタリアから来るとか言わねぇよな? ははっ、さすがにそれはねぇよな」


ボ「プラジェで来るよ」


ツ「プラジェ? なんだそれ」


ボ「プライベートジェット。言わない?」


ツ「言わないねぇ! 言う機会も使う機会もないねぇ!」


ボ「そうなのか」


ツ「(高音)あーー!! そうだよな。そうだよ! この流れ、わかってたよ! チャーターイーツってそういうことかよっ! 気付いちゃったね。気付きたくなかったよ!」


ボ「本場の味を味わうためだ。仕方ない」


ツ「待てるかー!! それに行った方が安いだろうが!」


【SE】指パチン


ボ「たしかに」


ツ「いちいち腹立つな!」


ボ「でも、俺らがイタリア行ったら、それはもうチャーターイーツじゃない。ただの旅行だ」


ツ「……俺冴えてるわ~って顔しないでくれる?」


ボ「わかったよ。それは夜飯にしよう。近くにおすすめの店あるから昼はそこに行こう」


ツ「結局出かけるんかいっ!! もう疲れた。なんでもいいから行こう。何料理の店なんだ?」


ボ「イタリアン」


ツ「俺、泣いていいよな?」


ボ「なんで? あ」


ツ「もう何を聞いても驚かない」


ボ「その店、テイクアウトもやってるよ」


ツ「最初からそこで良かったじゃねーか!!」


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ