表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/158

最終目的


「大きな黒い扉が奥に見えるな」

 バアルが優れた竜の目で見た詳細を告げる。


「扉は開いている。門の奥に黒い宮殿があり、微かな光が入口から漏れている」

「ふ~ん」

 アイネが軽めに聞きながす。


「アイネは何にも興味がないのねぇ。闇の神殿かぁ。みんな初めて来た感じ?」

 アナトはアイネを見ながら続けた。

「……それにしても設定がベタすぎない? まさか闇の王とか出てくるみたいな?」

 アーシラトが頷く。

「そうよ。でも分かりやすくていいでしょう? まずは王道で攻めてみる事が大事よ」


 バアルがアーシラトを見た。

「アーシラト、おまえの計画通りに進んだようだな」

「いいえ」

 キッパリと否定したアーシラト。

「力ある者集める。その力を見極め弱点を克服させる。ここまでは計画通りだったわ。でも、パーティの構成により総合力がここまで跳ね上がるなんて、予想していなかったわ」


 バアルが闇の神殿を見た。

「つまり、俺たちは強い……闇の王と戦えるほどに。そういうことか?」

「そうね。その資格は有しているわね。でも……」

 不安そうな表情を見せたアーシラト。


「話は簡単にしてよね」

 元気を取り戻したイルが話を結論づけた。

「つまり、アーシラトが求めていたのは「この戦い」私たちの弱点を克服させる為に。私の弱点は精神力だったのかな。最後にこの中の奴をぶっ飛ばすと目的は完結して、地上へ帰れるって事ね。それでいいよね?」


「そういう事ね」

 アーシラトはイルの言葉を肯定すると、五人に聞く。

「さあ、最初は誰が行く?」

 バアルがアーシラトに聞き直す。

「最初だと?」

「そう。闇の王が既にお待ちかねよ。」


 アーシラトの言葉で、フッと周りが暗くなった。


 辺りは果てしない砂漠が広がる風景へと変化していく。闇の神殿も消え、見渡す限り何も無い。

 空は紫と黒が溶けあう分厚い雲が、早い速度で動いていた。


「閉ざされた空間でバトル? ボスを倒すまでここを出られない設定なのかな?」

 アナトが肩をすくめた。


「勇者は気に入らないのかい?」

 声がした方を見る六人。


「え?」


 バアル、アナト、ダゴン、ラシャプ、イルは小さい驚きを漏らす。

 百メートルほど上空に浮かび上がる真紅の椅子に、悠然と座る細身な若い男。


「ようこそ、我が居城に! 人間の勇者よ」

 男は、腰まではあるであろうシルバーグレイの長髪を綺麗に梳かしつけ、後ろで一つに結わえ、耳のあたりにはピアスだろうか、貝殻のような飾りをつけている。

 吸血鬼のような黒のタキシードを着て、黒い、裏地が真紅のマントを羽織っていた。


「僕が闇の王ラシャプ。ふーん、なかなかいいじゃないか、君達」

 椅子の片袖に肘をついた闇の王は、六人を空中から見下ろし、満足そうに微笑んだ。

「ラシャプ! おまえがこの戦争の引き金かよ!」

 バアルがかつて、母である大魔王の側近を務めていた魔王を睨む。


「あれって……」

 イルが不思議そうに上空を見上げる。

「なんで、空中に浮いていられるのかなあ?」

 どんな仕組みなのか椅子と共に宙に浮いている闇の王。


 目をこらすと椅子と闇の王の周辺にだけ、細かくキラキラと光る何かが見えるようにも思えるのだが、ここからでは何が反射しているのか分からない。


 ただ、椅子には他にも何か仕掛けがありそうに見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ