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滅びの名


 巨大なエナジィを持った魔法使いが頭を下げた。

「エール王に初めてご挨拶いたします。私はアーシラトと申します」

 

 バアルの現代での姉で、竜の国ドライグの古き神殿で赤龍王と一緒にいた魔女。

 アーシラトが今エール宮殿都市の正門に立つ。


「おまえがアーシラト。名は聞いた事がある」

 エール王がうなずく。


「王様、あの女は危険です! 前にわたしは身体を奪われました。エナジィを奪われキノコに!」

「この野郎に!」アーシラトを指さすイル。


「え? そんな事有りましたか? 私はまったく記憶にないのですが?」

 柔らかい声で答えるアーシラトに切れる寸前のイル。

 どっちが悪者なのか周りの人には区別がつかない。

 悪者感が出ているイルはますますエキサイトする。


「て、えめえ、本気でそんな事行ってるのか? よし、今度はわたしがあんたを、キノコに変えてやる!」

 アーシラトに近づこうとするイルをアイネが止めた。


「もし、まちなさいイル、先に王様が話をするから……イテ、こら! 噛みつかないの!」

 あやつだけは許せん! アイネの腕の中でも大暴れのイル。


「コッホン」エール王が咳払いをすると、イルは「しょうがない」やっと暴れるのを止めた。


 それを見た王はアーシラトに問う。


「さて、アーシラトとやら。何が望みでここへ参った? 荒き事なら……熱烈歓迎するぞ」

 ニヤリと笑ったエール王に、アーシラトは首を振った。


「いえ……私は、エール宮殿や騎士団との戦いを望んでおりません」

「しかし、先ほど、うちの巫女に害を加えたと聞いたが? 人間の勇者を計ったとか?」

「フフ、躾けです王。そこの巫女も、人間の勇者も優れた力を持っている。その事はエール王もお分かりでしょう。だからこそ謙虚に生きる事を悟らせました」


「なんだと! てめえ、ふざけた事言うな! あれが躾けなわけないだろ!?」

 大声を出し暴れ出すとイルをチラリと見たエール王。


「確かに躾けは必要かもしれんな。それはさておき、アーシラトおまえの目的を教えてくれないか」

「私が望むのは、滅びです。名は……モート」

 モートの名を聞きエール王が「ふむ」懐かしそうに空を見た。


「そなたがモートを倒すと言うのか? そなたとモート、つまり赤龍王とは親しい間柄であろう?」

 バアルとイルが驚くが……アイネは「何驚いているの二人とも?」


「なぬぅう? なんでアイネは驚かないの!?」

 イルがアイネの首をギュウギュウ絞める。

「く、くるしいい……アケロンが見える……カローンが手招きしている」

 慌ててイルを止めるバアル。

「あ、あぶないって! また地獄の渡し船に乗りそうになってる……それに今は大事な話し中!」


「もう、しょうがないなあ」

 アイネの首への力を抜いたイル。エール王へとびきりの笑顔。

「うふ、王様! 続き……どぞ!」


 イルの笑顔にポリポリと頬を掻いた王は、アーシラトへ話を続けた。

「赤龍王の側に随行する強力な魔法使いがいると聞く。そなたの強大なエナジィ……その者に違いないと推測するが?」


「はい、ご推測の通りです」あっさりとアーシラトが認めた。


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