訪問者
三百年間破られた事のがない正門。
王の言葉とは裏腹に正門の振動は、益々大きくなり、外部からの侵入者の力が強まるのが分かる。
強力な外部の力にあがなうように、絶対防御の魔法シールドは白き光に包まれる。
高まる振動とまばゆいまで光……正門を見たていたバアルが、エール王に率直な意見を述べた。
「三百年破られていない結界ですが……このままでは」言葉が詰まるバアル。
横目でバアルを見て察したエール王が頷く。
「確かにこのままでは結界は破られそうじゃな……信じられない強い力じゃ。正面から神の盾をこじ開けるなど神にもあがなう、力を有した強者みたいじゃの」
三百年間に一度も破られなかったこの国を守る結界。
それが今破られるかも知れない。
しかし、王の顔には緊張感はなく、何かを期待するような表情を見せている。
バアルが不思議に思いながら周りを見ると、アイネもイルも嬉しそうに、にやついている。
バアルが王に状況と考えか方について聞いた。
「えーっと、今って緊急事態ですよね?」
「うん? あ、ああ、そうじゃな」と門から視線を外して、バアルを見たエール王。
「三人ともとても楽しそうに見えますが?」
バアルの疑問に答えるエール王。
「そうか、楽しそうに見えるか……三百年も平和だとイベントが少なくてな。こういう事があると……ワクワクしてしまうのじゃ」
え? 心境を理解できないバアル。その時にまたも警告が響く。
「第二百七七層のシールド破られました。メインゲートが開きます」
本当に嬉しそうなエール王が髭に手をやった。
「さてさて……鬼か出るか蛇が出るか……大いに楽しみだの」
ギ、ギギ、門が少しずつ開き始め……そして、ついに……
ガガン、門は完全に開いた。
そこには巨大なエナジィが立っていた。
門を開けた強烈なエナジィを持つものは、心配と外部の冷たい風を温暖な宮殿都市へと引き込む。
エナジィの輝きと、吹き込む強い風に視界を奪われ人々。
その者が門をくぐり、都市の内部一歩入る、門は閉まり風もエナジィも止んだ。
身長は167センチ、ヨーロッパ人としては低いが日本人としては高め。
それもシューズはフラメンコシューズで硬質で高いヒールがついている。
着ている服はジプシーレッド色のドレス。
瞳はアンダルシアの色であるモスグリーン、髪は黒色で腰より長いがきっちりと束ねている。
突然の訪問にイルの表情が変わった。
「アーシラト……ゴースの魔女」