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王とアーシラト


「アーシラト」

 魔女の名前を出した赤龍王は、穏やかな表情から戦いの表情に変った。


「軍団の方はどうだ?」

 アーシラトが即座に回答した。


「はい。すでに88%編成を完了しています……あとは……」


 赤龍王がアーシラトの手をそっと握った、少し驚いたアーシラトの言葉が止まる。

 アーシラトの瞳は王に仕える者というより、愛しき者を見る視線に変った。


 アーシラトに触れたままで王に魔女の言葉が乱れる。

「あ……はい。この世界の特異点である、大魔王と転生勇者については、元家族であり、動きは正確に補足していました……ゴースの内乱までは。もう一人の転生勇者アナトは驚くべき力を身につけました。勇者バアルは現在行方不明ですが……獣王アスタルトと暗黒騎士アガレスも同行しています。」


 赤龍王の顔を愛しそうに覗いるアーシラト。

「王の戦いで現れた騎士に救われたバアルは、現在はその者達と一緒にいると思われます……あ」

 

 立ち上がった赤龍王は、アーシラトの手を引きその身体を抱き寄せる。

 身を引きかけたアーシラトを、赤龍王はもっと強く引きせた。


「王……」

 その力強さに身を任せて、瞳を閉じたアーシラト。

「はるか昔に六頭龍のリーダーで世界を収め、神人とも戦った竜。貴方から見れば、私など星の塵と同じでしょうに」


 少し痛いくらいの力で、赤龍王は魔法使いを抱きしめる。

「お前が側に居てくれないと……オレが困る」

 アーシラトが、王の腕の中でフッと笑った。

「子供みたいですね」


 しばらくアーシラトは、王の顔を見ていた。包まれた頑丈な腕の中から……

 窓から入る月の青色が写る。アーシラトの腰まである髪。香りを嗅ぐ赤龍王。


 ゆっくりとした二人だけ時間が流れた。

 しかし、直ぐに二人は動き出すしかなかった。

 王の腕の中でアーシラトが言った。


「バアルの行方と、もう一人の勇者への接触を開始します」


 赤龍王はアーシラトから腕を放した。

「もう少し、こうしていたかったな。だが、戦いが待っている」


 アーシラトが後ろを向いた王に、真紅のインバネスコートを着せた

 背中には六竜が金色で刺繍されている。


「わたしもそうです……立ち止まるわけには行きません」


「アーシラト。おまえの優れた情報力を生かしてくれ。バアルを助けたものはエールの……」

 赤龍王の顔を見ながら、コクリとアーシラトは頷いた。

「はい。存じています。エール騎士団の元団長であるアイネ・クラウン。まずはエールに行こうと思ってます」


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