表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/158

赤龍王と魔女


……竜の国ドライグの古き神殿……


 漆黒の闇の中、一つの小さい光が進んでいく。

 揺れる小さな炎、それはロウソクの光であった。

 小さな光は階段を登り、その先にある通路の突き当りで止まった。

 この神殿の中で一番高い場所にある部屋「六竜の心臓」と呼ばれる小さな扉を開けた。


 部屋の中には、窓からの微かな月の明かりと、夜の匂いが入ってくる。

 探しているものが、窓の近くにいるのを、魔道士は気がついた。

 手を伸ばし軽く触れた。


 目を開け、身体を起こす赤龍王。

 肩に置かれた小さな細い手を握り、魔道士に言った。


「もう、こんな時間か……様子を見に来たのか?アーシラト」


 アーシラトと呼ばれた魔道士が頷いた。

「お帰りが遅いので……」

 一歩下がり壁の方を向いたアーシラト。

 身長は167センチ、ヨーロッパ人としては低いが日本人としては高め。

 ローブの下に着ている服はジプシーレッド色のドレス。


 アーシラトはロウソクの光を、背伸びをして部屋のランプに移す。

 ランプに手を伸ばす小さな魔道士に、窓から外を見ながら赤龍王が語りかける。


「こちらの世界で力を使うと、ダメージが思ったより大きい」

 アーシラトは自分が持っているロウソクを消して、赤龍王の側に立った。


「はい。王はまだ、完全な状態ではないので……エナジィを使うと体力も一緒に消耗してしまいます」

「ふむ……原始的で効率が悪いな。人間の身体は」

 赤龍王にアーシラトは頷く。


「はい……でも人間は計算上のパワーだけではなく、限界以上のエナジィを発揮する時があります。あり得ない現象です」


 今度は赤龍王がアーシラトに頷く。

「危険に遭遇したり愛する者が倒れた場合、限界を越えた力を出す。だから、オレはこの世界に戻ってきた。遥か昔もオレは王だった。そして無敵だと思っていた」


「はい。この世界の数次元上の世界で、神人と戦いました……でも」

 瞳を伏せて、そこで言葉を止めたアーシラト。

 その後は赤龍王が続けた。

「そうだ……神の身体でオレは負けた。だから今度は勝つこの竜の身体でな」


 アーシラトがクロークのフードを脱いだ。

 瞳はアンダルシアの色であるモスグリーン、髪は黒色で腰より長いがきっちりと束ねていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ