表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/158

神殿の守り人


 巨大な石の建造物の前に立つあたしにナメコが言った。

「着いたわ。ここが転移の神殿」

「どこから入るの」


 あたしの問いに、ナメコが心配そうな顔をした。


「このまま真っ直ぐに進むと中には入れる。行くのはアナトあなた一人」

「ええ? なんであたし一人なのよ?」

「転移の神殿を動かすには、多くのエナジィが必要なの」

「どうゆうこと?」

「エールに飛べるのは、あなた一人って事よ」


 意を決して奥へと進むと、神殿の入り口が見えてきた。

 アーチを描く神殿の入り口に手をかけて中に入る。

 神殿中は真っ暗だった、壁沿いに手をかけながら先へ進む。


 かなり進んだと思った時に、急に灯りが点いた。

 そして前方にうっすらと影がたち、どんどん濃度が上がっていく。


 神殿の守り人が現れた。その姿は人間と悪魔を掛け合わせた姿していた。

 アークデーモン、強力な魔法を操る上級に坐するモンスターだった。


「何の用だ?」

 アークデーモンの問いにあたしが答える。


「ここを使ってエールに行きたいのですが」

「ふむ。ここのジャンプを使うには、6000億エン必要だが」

「そんなの持ってないよ」

「では、使用許可は出せないな」


 あたしはナメコに教えられたように話を始めた。


「我こそは伝説の勇者アナト。この世界を救う為に急ぎエールに飛ばねばならない。さあ、勇者の証としてこの剣を良く見るがいい」


 背負っていた重い剣を必死に降ろして、よたよたしながら守り人へと渡した。

「……ふぅう」

 あたしのため息とヨタリ具合を見て、番人は巨大な角がある頭を傾げた。

「たしかにこれは勇者の剣である昴。だが持ち主にしてはふらふらじゃないか?」


「えーーと、ほら、そう簡単にその剣は使えない設定なの」

「使えない設定?」

「使う必要が無いじゃない? 中ボスとかじゃないとね」

「中ボス?」


「ほら、ゲームでも序盤は鉄の剣とかで十分だし」

「よく分らんが、勇者ならその剣を抜いてみろ」

「ええ!?」

「この昴は勇者専用の剣。おまえが本物の勇者なら抜けるはず」


「えーっと、それはどうでしょう?」

 アークデーモンは疑惑の目であたしをジッと見た。

「もし、この剣が抜けず、おまえが偽物の勇者なら……」

「もし抜けなかったら?」

「ここで……丸かじりかな」

「ええ! それは……食べるのは好きだけど、食べられるのは嫌!」


 焦りまくりのあたし、このままでは丸かじり決定、その時、あたしの背中から声が聞こえた。

「まったく、困った娘ね」


 あたしの背中につかまっていたナメコが、トンと地面に飛び降りた。

「ナメコ、いつの間に……」

「最初からよ……さて門番よ、あたしはエールの巫女である。お付きの者として証明しよう、この娘は勇者であると」


 ナメコの身体が輝き、白い光が神殿の中を照らした。

「おお、その白いエナジィは確かにエールの巫女の証。分った、ジャンプの準備をしよう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ