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六枚の打剣

 傷ついた俺はチャンスを待っていた、もう一太刀浴びせられれば。

 赤龍王が両手を胸の上で組んで、俺ではなくアイネを見つめた。

 ここまで天才ぶりを見せている者の本気の力を待っていた。

 赤龍王の様子を見て戦いは避けられないと、覚悟した。


「めんどうですが……しょうがないですね」

 アイネが呟き、光る刀身はみるみる白い光で包まれていく。

「これはこれは……白いエナジィによる刀身の強化? 白の色はエールの巫女にしか使えないはずだが……面白い! この力と大胆さ……本当におまえは人間か? クク」

 赤龍王が感心する中、アイネは力強く踏み込んだ。


「赤龍王! ご要望に応えます!」

 不敵な表情を見せたアイネは、白く輝くオリオンを、左右に払い必殺の構えをとる。俺は前の戦いを思い出し言葉にしてしまう。

「あれだ! アイネがロケットから降りた時に、獣人に使った技だ」


 アイネの銀色のエナジィがはっきりと見えた。

 俺にもわかる、先日の戦いとは違い、これがアイネの本気だと。


 アイネのが素早く前に出ると、左右に六枚の羽根が描かれた。

 双剣によるほぼ同時の六回攻撃。


 赤龍王とアイネの間で火花が散った。

 強烈なアイネの一撃は、まさに一流剣士の技だった。


「魔法も剣も超一流だと?」


 赤龍王の右手にはアイネの六撃を、受け止めた大剣ブルトガング。

 古代の戦争に使われた、灼熱に燃える人間には扱えない炎の竜剣。


「俺は魔法が使えん。だから剣士としては団長、おまえに負けられん」

 宣言したが、アイネの剣は確実に赤龍王を捕えていた。

 右手で傷を拭う、でもアイネの必殺技でも赤龍王を倒すことはできなかった。


 ふん! 気合いを込めて、一気にブルトガングを振る赤龍王。

 その気迫と力は凄まじく、オリオンを交差して王の剣を受けたアイネの身体ごと振り払ってしまう。


 弾かれて吹き飛んだアイネは、両脚と剣で地面を掴む。

 数メートル先まで地面を削り、やっと止まったアイネに赤龍王が猛然と近づく。


 体制を立て直すアイネ。

 チャンスが回ってきた……

 赤龍王からは完全に死角になった、俺の必殺の声が響いた。


『真竜ソニックブレード』


 俺の剣が生み出す衝撃波に、この国で得た翠竜のエナジィを乗せた奥義が発動。

 翠色の衝撃波は目前の地面ごと、赤龍王を吹き飛ばす。

 俺はすぐに赤龍王への、追撃体制に入るがアイネが止めてきた。


「やめなさい。バアル」

 アイネが俺と赤龍王との間に割って入る。


「なぜ? なぜ邪魔をする!」

 赤龍王への追撃のチャンスを制された俺が不満を表す。

 アイネは俺の問いには答えず、スペルの詠唱を開始する。

 手の甲で魔方陣が廻り始め、反応するように胸のペンダントのクリスタルが光り始める。


「強制離脱 ラ・リターン」


「なにい!」赤龍王と俺が同時に叫んだ。

 二人の声が草原に響き渡り、アイネと俺は転移魔法によりその場から消えた。


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