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荷物をまとめろ


 俺は心底に監獄暮らしに飽き飽きしていたし、エナジィも使えるようになった。エナジィは現代ではオーラーとか闘気にあたるものだが、もっと強く身体に力を与える。


 魔法や剣技などのスキルの効果をアップさせたり、身体の強化にも使えた。

 もともと俺は風の属性の翠のエナジィを持っていたが、この半年で一般人からも見える程に放出できるようになっていた。


「練習だけじゃ強くならないよアスタルト。腕試しをしながら、もう一人の勇者アナトを探しに行こうよ」

 深く考え込んでいた獣王は、やっと決心したようだ。


「わかった。荷物をまとめろ」

「お、やっとシャバに出られる!」


 喜んだ俺はさっそく、多くはない日常品を整理して箱にしまっていく。


「食料と馬車が必要だな。アガレスのところへ寄ってから行くか」


 俺はアガレスが嫌いだし怖かったので、心配を口にする。

「大丈夫なの獣王? 暗黒騎士にはいいイメージがわかないなあ」


 ふむ、獣王は心配ないと答える。

「アガレスはおまえが考えるような人間ではない。複雑な現状とクソ真面目な性格のせいで、望まぬ事をやっているだけだ」


「それなら、安心?」


 俺の問いには明快に答えは返ってこなかった。

「まあ、そう安心はできないな。世界とおまえを天秤にかけたら、アガレスは世界をとるだろうから」

 えーー、俺は悲鳴に近い声を出した。


「アスタルトはどうなのさ、世界と比べられて」


 愚問だなと獣王が鼻で笑う。

「例え誰かが俺や身内に害を出したら、うち滅ぼす。火の粉を払うのは当然だろう」

「……一応、俺も獣王の身内って事でよろしくお願いいたします」


 お願いする俺に任しておけと、胸を張るアスタルト。

「当然、おまえの為には戦うぞ。だが、今回の戦いはバアルおまえと、もう一人の勇者が大事なポイントになると見ている」


「はぁ? まあまあ強いだけの俺と、まだ会った事のない転生勇者なんか、あてにするより、各国の精鋭を集めればいいんじゃない? 例えばエールのアイネとか」


 顎に手をやり考えるアスタルト。


「それは最後の手段だな。七つの国が戦禍に巻き込まれる事になる。それと何度も言うがお前たち、現代からの転生勇者が大事なのは変わらない」


 戦力として足りるかわからないにに、俺ともう一人の勇者にこだわる獣王。


「だから俺たちじゃ役不足だから……」


 俺の言葉に首を振った獣王。


「俺と大魔王が望んだのは全力で戦える強敵だった。その者を呼び出す為に、魔王ラシャプとお前の姉アーシラトに策略を任せた。結果、どうも嫌な方向に進んでいるようだ」


 今度は俺が意味が分からないと首を振る。


「どういう意味? とんでもない者が出現するって事? なら、ますます俺なんか……一応エナジィは習得したけど」


 獣王は俺の顔をジッと見た。


「確かに今のおまえの力では及ばないだろう、もう一人の勇者の力を借りてもだ。だが、俺が想像している者はこの世界の外から現れる。そんなやつを倒せるのは異世界転生で、同じく外からきた勇者だと思っている」


 話に集中して旅の準備が進まない俺を見て、獣王が話をいったん切った。


「話過ぎたな。さあ、旅の準備をしろバアル。終わったらアガレスのところへ行くからな」


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