ラーニング
勝ち誇ったラシャプに、緊急で神の鎧のOSラバーズが報告する。
「ジャンプを確認。後方十メートル」
「何!? ジャンプだと? そんな力がアイネに残っていたのか?」
ラシャプの後方で、一瞬で蒼い光が集まり消えた、神の鎧の攻撃レンジ外へテレポートした勇者のパーティは、即座に攻撃態勢を取っていた。
勇者のパーティーの団結力と実力に、かつてこの世界を制していた魔王ラシャプがうなる。
「なるほど、勇者のパーティは侮れないな。だがアイネには、もうジャンプするエナジィは残っていない。これを凌げば勝てる!」
後ろを取られ、勇者のパーティに先制を許すラシャプが目に、蒼く光を放ち始めるアナトの姿が映る。
アナトの手に力の循環が始まり、魔法陣が描かれていく。
『全ての敵を打ち消せ ラ・シャイン』
アナトの撃魔法に続けて、アイネの右手に力の循環が始まる。
『鋭き氷の壁 ラ・フリーズバイト』
質量のある光の雨が、氷の欠片がラシャプへと降り注ぐ。
動きを止める神の鎧ブルーノヴァ。
そこへバアルとグレンの必殺の声が響いた。
『真竜ソニックブレード』
『アルカナブレード』
パーティが連携して打ち出した魔法と剣技は、合体魔法として威力を最高まであげ、強烈な衝撃波を叩き出す、ブルーノヴァの装甲が半数以上吹き飛ぶ。
最後の詠唱を開始したバアルが語りかけた。
「ラシャプ……何の咎めもないのに、その身を闇の国に封印された哀しみ……世界を滅ぼす事を望んだも仕方ないかも。でもな、人の大事なものを汚す事は許せない……アナトの父さんや六龍王、そして俺の姉のアーシラト。だからこの魔法で決着をつける……六龍王よその力を我が手に!」
トドメの一撃を放つバアルの額には、五つの角を持つ魔法陣が宿った。
立体的に表示された魔法陣は、縁取られ滲むように光を強め、龍の王の力が右手に宿ったバアルが六頭の龍に命じる。
『聖なる六竜が放て ヘキサグラムフォース』
六頭龍の血を引いた翠の龍、ドラゴニックオーラを放つ勇者バアル、アイネが使った龍の魔法とは威力が桁違いだった。
神の鎧ブルーノヴァへ六つの光の筋が飛ぶ、まともに受けて、全てのシールドを抜け装甲を突き抜けた六頭竜の魔法。
桁違いの「戦いへの意思」に弾き飛ばされたブルーノヴァは倒れて。機体からは蒸気のようにエナジィが洩れていく。
「ダメージによるエナジィ消失95%。防御シールド消滅。全ウェポン使用不可。第三装甲まで大破。システム稼働率5%……ラーニング完了」
機神オのOSラバーズの報告が闇の王に届き、笑い出す闇の王ラシャプ。
「フフ、そうか、ラーニング出来たか」