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機械の巨人


 ラシャプの発したパスワード――OSが確認に入る。


「確認中……コード確認終了。これよりヘルダイバα全システムの、管理者権限をラシャプへ移行します。自動戦闘システムのラバーズタイプFを起動。敵の識別コードを入力してください」


 ラシャプが音声で答える。

「Stranger(みしらぬ人)」

 ラシャプは自分の知らない者、ほぼ世界の人々全部を攻撃目標にした。

「了解。地上の全人類を攻撃目標とします」


 闇の巨大な部屋で、巨人のマシン、ヘルダイバαが動き出す。

 耳を塞ぎたくなる巨大なノイズが響く。


 笑みを浮かべて、ヘルダイバαに騎乗したラシャプ。


 十六メートルを超える古の巨大な機械で、過去のオーバーテクノロジーである、戦闘機ヘルダイバα。

 闇の巨大な部屋を頭部から出る、赤外線の赤いサーチスコープ照らす。



 ラシャプを追い、グリモア城の地下を進んで、大きな部屋に出た、バアル達。


「なに? これは? あの機械の巨人は……天の神の遺産?」 

 ヘルダイバの赤い光に照らされた、アナトが思わず声を漏らした。


 機械の巨人から、ラシャプの声がした。


「勇者ご一行様の到着か。ちょうど良かった。こちらの準備も出来たところだ……熱烈に歓迎しよう」

 闇の王が騎乗するヘルダイバαの巨大さに、バアルが驚き呟いた。

「こんな巨大な機械が、遙か昔に使われていたなんて……」


 キュルルル。 黒い機械ヘルダイバαからモーターの起動音が聞こえる。

 神の時代の戦いに使われた機兵ヘルダイバαに、ラシャプが攻撃指示を伝える。


「ショルダー装甲オープン。光子レンズの焦点をワイドに。露出をライト。シャッターをハイスピードに設定」


 ヘルダイバαの両肩の装甲が上部へ移動して、はめ込まれた巨大な8つのレンズが現れた。


「バレットを設定中。攻撃方針はどうしますか?」

 ラシャプがラバーズFに返答する。

「攻撃大。防御小。移動少で設定」

「了解。攻撃力LV5。範囲LV3設定。防御LV2。移動LV1に設定。システムコンフィグの書き込み完了。戦闘パラメータ書き換え完了。ラバーズ再起動。これより攻撃を開始します」


 ヘルダイバαの肩の光子レンズが、光速で瞬いては暗くなるのを繰り返す。


 バスバスバス。目標に焦点が合った瞬間に光の弾が打ち出され、吹き飛ぶ城の床と壁。粉塵で一瞬、視界が無くなった。


「集まってください!」

 アイネのジャンプの魔法で攻撃レンジから離れた七人が戦闘陣形を組む。

 前衛にはバアルとグレン。中衛にアナト。後衛にイルとアイネ。


「さあいくぞ! みんな!」

 先頭に立つ勇者バアルが味方パーティに声をかけた。


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