アークランドの崩壊
大気を振動させながら、強烈な光の粒子の束がノーチラスを直撃した。
タイタンの超撃でアークランドの空が真っ白に染まった。
「現在、タイタンノ主砲ノ影響デ、センサーヲロスト。回復ハ90秒後」
間をおいて中央制御システムからの報告。
「センサー回復シマシタ。状況確認中……ノーチラス、ダメージ小」
「やはりだめか」
絶望を感じた女王にセントラムの緊急報告が届く。
「ノーチラスニエネルギー反応有リ。敵主砲ノ攻撃ト思ワレマス」
スユン女王が素早く指示を与えた。
「アークランドのシールドレベルを最大に!」
「了解。シールドレベル最大」
輝きを高める城のシールドに、間髪おかずにノーチラスの主砲が放たれ、防御は成功しシールドの上を滑るノーチラスの主砲。その巨大なエネルギーが再びアークランドの空を真っ白に染める。
「ノーチラス主砲ノ防御ニ成功」
「マスティマの予言は回避できるのか……我々は生き延びる事が出来るのか?」
女王が呟いたその時、アークランドの宮廷内部に再び警告が響く。
「ノーチラスガ、ジャンプシマシタ」
「何だと?」
女王スユンが座る玉座のある白く高き塔のすぐ横に、ノーチラスが出現した。
ゴーンゴーン、重低音を響かせながら旋回するノーチラス。
ノーチラスの主砲が再びエネルギー反応を示す。
それを見たスユン女王は玉座に崩れ落ち、力無く呟いた。
「シールドを通り抜けてジャンプするなんて……やはり運命は変えられないか……マスティマ」
ノーチラスの主砲から伸びた光が、塔の女王の間を直撃し、白く高き塔は光の中で崩壊した。
空から数千もの流星、制御を無くしたエンジェルナイトが地上に墜ち、光の筋を美しく残す。
女王スユンと白を無くし、エンジェルナイトは制御を失い、アークランド軍は沈黙した。
先の赤龍のレベリオンの戦いで、エール国、マスティマ国、ヤム・ナハル国、ドライグ国の軍勢は大きな痛手を負い、今、アークランドがノーチラスの攻撃により滅びようとしていた。もはやこのゴースには、大きな軍勢は存在しなくなった。
ノーチラスは無慈悲に地上の掃討を開始。
生き残ったエンジェルナイトが個別で防戦するも、指揮官である女王スユンを失った今、アークランドの壊滅は時間の問題だった。
燃えさかるアークランドを見て、アイネは静かに目を閉じた。