ノーチラス
ゴーンゴーン。空を飛ぶ船ノーチラスから重い金属製の音が響く。
ナチュラルを使うイルは思わず耳を塞ぐ。
その時に空中から声が聞こえた。
「みなさん、ご無事ですか?」
エンジェルナイトのフッラだった。
六龍王の軍勢との戦いで情報操作を一手に引き受けた、その高いデータ通信で解析能力で五人を探していた。
地上に降り立つエンジェルナイトのフッラ。
「みなさん! こちらへ!」
フッラの後を追い、走りながらバアルが聞いた。
「フッラ、あれはなんだ?」
フッラはバアルの問いには答えなかった。
「さあ早く、こちらから外へ脱出します」
「脱出? 戦わなくていいいのか?」
バアルの言葉にフッラが答えた。
「あれは……私たちが墜とします。それがマスティマの願いなのです。我が女王スユンとの約束でもあります……みなさんはこの後の戦いに備えてください」
みなは状況に納得できていないが、アイネが頷いた。
「夢の中でマスティマは言っていました。アークランドが破壊された後に、マスティマの居城であったグリモア城に向えと」
グレンがアイネの話を聞き疑問を聞く。
「アークランドを破壊する者が現れた。それが光の神の戦船ノーチラス……なぜ、光の船がここを攻撃するんだ? 確か天の神子の子孫が神人で、それを守るのがこの国アークランドではなかったか?」
みなの疑問には答えずに、フッラが全員を急がせた。
「急いでください。こっちです!」
地下通路のハッチを開けたフッラが中に入る。七人がその後を追った。
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「アークランド城壁の防御シールドをおろせ」
女王スユンの言葉がブロードバンドにより、エンジェルナイト達へ伝達された。
アークランドの城壁に光の壁が出現し、ノーチラスがそこに突っ込んだ。
ノーチラスの船首とシールドが重なり、光の衝撃が散る。
シールドを破ろうとする、アークランド軍による、神の船への攻撃が開始された。
地上から伸びる光の筋が、数十、数百、数千と増えていく。
この国の戦士である、多数のエンジェルナイトは高く舞い上がり、ノーチラスを眼下にしていた。
「エンジェルナイトに告げる。ノーチラスの迎撃を開始せよ」
女王スユンの命令で、ノーチラスへ向かって一斉にダイブする、数千のエンジェルナイト達。
ノーチラスを数千の光が貫き、強烈な輝きとなって、空を明るくした。