アークランドの女王
アークランドに建つ、白く高き塔が太陽の光を受けて神々しく輝く。
大陸でも謎が多い国アークランド。
神人が住むゴットパレスは、このアークランドに入口があると言われている。
アナトとバアル達はアークランドのフッラに会うためにここまで来た。
銀の列車が高速で走り、固められた地表。家々は天に届くかのように、高く空に伸びていた。人々はみな同じように整った顔、均整のとれた体をしている。
そして一番不思議なのは、男がいない事だ。
「ここならうちの男子もモテそうね。バアルにグレン?」
神殿騎士フッラを訪ねた五人は、アークランドの宮廷に通されていた。
高い窓から外を見下ろしていたアナト。
行き交うアークランドの人々は、まるで機械の様で人間らしさが感じられない。
「お待たせしました。準備が出来ましたので、こちらへどうぞ」
一人のエンジェルナイトが五人に言った。
エンジェルナイトは白い整った顔立ち、プロポーションで、天使のような翼と、高い戦闘能力を持つ、ゴースでも恐れられる戦士達。
全員がコピーのように容姿も感情も極めて似ている。
迎えに来たエンジェルナイトの後を着いていくと、アークランドの女王スユンが玉座でアイネ達を待っていた。
アイネは夢で見たフッラと、マスティマ女王の宇宙での戦い、そして大魔王が絶望的な敵が現れると言った事を伝えた。
「アイネの夢。それは多分壊れた、マスティマの機械が発信したシグナルだろう。それと大魔王の予言した敵はもうすぐ現れる……しかし」
大きな白い椅子の背に頭を預け考え込む、女王スユン。
「敵は強大。天の神子の遺産……勝てるのか。この大陸全ての力を合わせても」
全てを知っているような女王の振る舞いに、アイネが一歩前に出る。
「女王教えてください! 何が起こるのというのですか?」
アイネを見つめたスユン。
「お前達は……行かなければならない」
「どこへですか?」
アイネが女王へ問いかけるのと同時にアナトが口を開いた。
「神人をやりにいけばいいの?」
女王スユンは目を閉じた。
「違う。かつての都……マスティマのグリモア城に」
アイネはスユン女王言葉に頷いた。
「分かりました。急いで出発します」
アイネの答えに首を振った女王スユン。
「違う。今ではない」
「じゃあ、いつなのよ!?」
要領を得られずイライラしているアナトに、ゆっくりと女王が言った。
「我が国……アークランドが滅んだ時に」
「ええ!?」
七人が一斉に女王を見た。女王は表情を変えずに続ける。
「その時はすぐに訪れる。おまえたちはそれまで、ここに留まるがよい。十分に準備をするのだ」