表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/158

速く強く早く


 六龍王が立つドライグの平原で、アガレスが再び戦いの表情を見せる。


「ダゴン。少しの間休んでいてくれ」

 アガレスが近づいてきた。

 ダゴンは六龍王と既に一時間以上互角に戦い、エナジィをかなり消耗していた。


「ふぅう、何しに来たアガレス。俺はまだ戦えるぜ?」

「それは分かっているさ。だが、おまえにはやってもらいたい事が残ってる。三人でな」

「三人? アガレス、おまえはその数に入ってないみたいだな。勇者がくるのか?」


「ああ。だからここは俺に任せて少し休め」

 アガレスの言葉に、ダゴンは槍を下ろして戦闘態勢を解いた。


「分かったぜアガレス。少しだけ休憩させてもらう。ただ、やり過ぎて俺たちの出番を無くさないでくれよ」

「ハハ、それは保証出来ないな。早くアイネの所へ行ってやれ、ダゴン」


 ダゴンは後ろを向き、アイネの方へと歩き出す。

「期待してるぜ、アガレス……死ぬなよ」

 自分の背後を離れていくダゴンに、軽く右手を挙げて答えるアガレス。


「ふん。今度はアガレスか。おまえ如きが何度やっても無駄だがな」

 六龍王の言葉にアガレスが笑った。

「衰えた俺にはダゴンのような戦いは出来ないと思っていた。だが、それは自分への甘えだったのかもしれん。息子のグレンの為に生きながらえる、そんなダークナイトとしては有り得ない心構え……。六龍王がいくら強大でも、勝負は最後までわからない」


 剣を構えるアガレス。その身体から漆黒のエナジィが溢れる。


「なるほど。全てを捨てて、俺を倒すという事か。フフ。では見せてもらおうか、かつてゴースで恐れられた、冷酷無比な剣士の真の力をな!」

「ああ、いいだろう。いくぞ!」


 両手で構えたソウルイータ人の魂を喰らう大剣を、六龍王へ打ち込むアガレス。

「ふん、こんな打ち込み軽すぎる」

 アガレスの斬撃を簡単にかわした六龍王がニヤリと笑う。


「その程度か、アガレス。昔のおまえは、もっと強く、もっと冷酷だったぞ」

 左手のとてつもない重い拳を、アガレスに打ち出す六龍王。

 大剣を素早く切り返し、六龍王の拳を弾くアガレス。


(もっとだ)


 今度は横から真一文字に六龍王を斬る。

 剣を後ろに飛んでかわす六龍王。そこへ飛び込んで、のど元への突きを入れるアガレス。


(もっとだ。もっと)


 剣を引き、数歩踏み込み、六龍王との距離を縮めて真上から剣を振り下ろす。

 アガレスが呟く。


(もっと、もっと、もっとだ。速く、そして強く、早く)


 一段、二段、三段と、速度と力を上げていくアガレス。

 ついにかわし切れなくなり、頭上で十字に組んだ両手でアガレスの剣を受け止める六龍王。


「どうやら気合が入ってきたようだな、アガレス!」


 剣を右肩に乗せたアガレスが、間をおかず六龍王へ漆黒のエナジィ纏って身体ごとぶつかる。その強烈な一撃で、ついに六龍王を捉えた。


「く、やるな、だがアガレス、これでしまいだ!」

 六龍王の手刀が、密着したアガレスの首を打った。手刀をまともに受けたアガレスの首から血が滴る。ニヤリと笑った六龍王は、右の拳に力を込めてアガレスの額に打ち込み、アガレスの兜が砕けた。輝くような長い金髪が風になびく。


「少しはやるようだが、今のおまえは昔のアガレスには及ばないな。さあ死ね!……なんだ!?」

 それは六龍王に冷気を感じさせるほど、尋常ではない、黒いエナジィだった。

(まさか!?)

 異変を感じたアーシラトが走り、六龍王へ近づく。


「王、このエナジィは、アナトが闇の王を倒した、狂気のエナジィです」

「狂気? まさか漆黒のエナジィか!?」

 チラっとアーシラトを見て、六龍王がアガレスに向った。

「なるほど、本当に俺を倒す事に命を賭けるか、アガレス? 漆黒のエナジィ、カオスドラゴンの力が自らを破滅に向わせるとしても!」


 フッと笑ったアガレス。


「おまえを倒し仲間を守れるなら、それでいいさ」

 アガレスの身体から湧き立つ漆黒のエナジィ。大剣ソウルイータを構えなおすアガレス。

「クク、おまえも新たな力を求めるのか、アガレス」

 強まっていくアガレスのエナジィに、思わず六龍王が呟く。

「クク、おまえも新たな力を求めるのか、アガレス」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ