表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/158

レべリオン最初の戦い

 

お姉さんの蹴りで後ろへ押された影から現れたのは獣人。


 人間に動物の姿を重ねた古代の戦の時に造られたと聞いた。

 教えてくれたのは獣王アスタルトで、ライオンと人間の姿を重ねた姿を持っている。

 俺の前に姿を表した獣人はオオカミと人を合わせた姿をしていた。


 獣人は首を振りながら再び近づいてきた。

「まったく、赤い物体の落下を調べにきてみれば、こんなに強いねーちゃんと会うとは」

 勇者の俺は完全無視で話が続くようだ。お姉さんが答える。

「これを探索に来たのですね。でも、それだけじゃないですよね?」


 ああ、頷きながら獣人は背から使い込まれたアックスを取り出し両手で握る。


「当然、これに乗っている者の確保。または殺害。そしておまえのように他国のスパイも捕獲……いや殺害の一択」


 獣人は斧を空中で何度か回転させた。

 一瞬、アックスの太刀筋が消えて獣人は一気にお姉さんに迫った。

「お姉さんあぶない!」

 俺が思わず叫ぶほどにアックスには、必殺のスキルが込められていた。

 殺意を察したお姉さんは剣を抜き、斧の攻撃の迎撃を試みる。


「あのね、お姉さんとか、おねーちゃんはやめてくれますか。気がそがれるから。私の名はアイネ・クラウン……アイネでいいすよ」


 獣人の空中でのアックスの軌道は、三つに分かれてアイネに襲い掛かった。

 しかしアイネはカウンターで正確に、剣を打ち出して尽く攻撃を打ち消してしまう。


「ほう、そんな細い剣で斧の重い攻撃スキルを止めるとは」

 獣人が感心しながら考える。

「それにアイネ・クラウンは聞いた名だな。さて、おねーちゃんが本物か試させてもらおうか」


 左手に持った細く長い剣は、アイネが動かすとしなやかに揺れた。

「この剣はぎりぎりの薄さでしなりが強いので、攻撃を受け止め曲がり、力を吸収します。この剣オリオンを持っていることが私の証ですよ」


「……そうかい。では」

 アイネは獣人の構えを見てため息をついた。


「また同じ技なのですか。まあ、あなたが最初に最大奥義をもってあたったのは賢いと思いますけど」

 クク、苦笑いをした獣人は構わず攻撃の体制をとる。

「ああ、これが俺の最大奥義だよ。ただし今度は四発だ!」


 飛び込んできた獣人は同じ軌道から四つの斬撃放つ。

 アイネを襲う強力な斬撃。迎撃に向かう彼女が呟いた。


「ふふ、四回攻撃とそれにパワーも倍ですね。最初の攻撃はジャブみたいなもので、距離感を掴むと同時に、私に軌道を覚えさせた。一流の剣士ならパターンを一度で読み解くと思ってね。だから強く打ち込んで私の剣に受け止めせた」

 空中で斧を旋回させ攻撃する獣人が答える。

「わかっているじゃないか……アイネ。その銀色のエナジィ(闘気)は本物。だからこそ自然に俺の攻撃を受け止めるだろ? 三撃は自慢の剣を狙った武器破壊だ。そして最後の一刀でおまえの首をはねる」


 戦斧は轟音を立てアイネの身体に叩き込まれた。

 1、2、3、4回、勇者の俺でも意識しているから見えた斬撃だった。


「どうだ! アイネ・クラウン……エール騎士団団長を切ったぞ」


「あら、私の事をよく知っているじゃないですか」

 背後からの女の声に驚いた獣人は、目の前から消えたアイネを追って後ろを振り向いた。


「お前……それ」

 アイネは右手と左手を交差させていて、その手に各々に剣が握られていた。

「アイネ……おまえは双剣の使い手だったのか」


「四回、いや五回の斬撃は良かったです。大したものですよ。私は今だと三回かな。残り2回は右手の剣で受けたましたよ。それにしても嘘つきですね。回数を誤魔化すなんて。結構上位の将軍でしょうか」

 信じられないと首を振る獣人に話を続けるアイネ。

「二刀はあえて教える必要がないので、普段は分からないように二本重ねて携えています。あとこれはダマスカス鋼で出来ているから、どんな力でも折るなんて無理ですね」


 へえ、俺は自分の剣の特性を教えてもらい感心した、ダマスカスの事も説明は不要なので綺麗なおねーさんのアイネは俺に教えてくれたのだろう。


 形相が変わった獣人は叫び声をあげて戦意を高める。

「アイネ……確かに強い。俺は赤龍騎士団(レべリオン)の百人隊長で名は……」

 今度は見過ごさないように集中した俺の目に、二人が重なり通り抜けた時に、六つの銀色の羽がアイネの左右に見えた。


『六翼刃撃』


 左右の長剣が三回ずつ六回もの円の軌道を見せた、素早く今度は獣人がカウンターを取りにいくが、霧のようにアイネは通り抜けた。


「二刀流で同じ速度で同じ威力の技を打ち出せるだって……おまえはやっぱりエールの……」

 ドサリ、崩れ落ちる獣人に振り返ったアイネ。


「うん、百人隊長だけありますね。これが私の必殺スキルですから。もう、聞こえていませんね。やはり名前は聞いておけばよかったかしら」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ