せんそうとへいわ
この夏、年長児さん達に毎週一回、時間をとって絵本を何冊か読んでいます。
もちろん、日々の保育の中で絵本は欠かせないものですが、この取り組みはいつもの絵本読みとは分けて考えています。
これまで読んだ絵本は、
『はしれ、きかんしゃ ちからあし』小風サチ/文 藍澤ミミ子/絵 福音館書店
『もっとおおきなたいほうを』二見正直/作 福音館書店
『せんそうしない』谷川俊太郎/文 江頭路子/絵 講談社
『おはなし しましょう』谷川俊太郎/文 元永定正/絵 福音館書店
『へいわってすてきだね』安里有生/詩 長谷川義史/画 ブロンズ新社
そう。「せんそうとへいわ」について子ども達と考えたくて、この時間を作っています。
今日、『へいわってすてきだね』を読みました。読んでいる最中、普段集団の中ではあまり積極的に自分の意見を言葉にしないSくんが、自分の胸にそっと両手をあててうつむいていました。表情をうかがうと、ほんのり微笑んでいるようです。その時読んでいたのが
「やさしい こころが にじになる。
へいわっていいね。
へいわってすてきだね。
みんなのこころから、へいわが うまれるんだね」
という箇所でした。
あまり自分の思いを言葉に出して主張しないSくんの、言葉にならない思い。けれど、確かに何か感じるものがある。この胸の中にも何かがある。理屈でも言葉でもない何かが。
ほんの少しの間の、わずかな動作です。それでも、僕にはSくんの思いがありありと現れているように見えました。
「せんそうとへいわ」言葉にしてしまうとたった8文字の言葉です。僕たち大人はこの8文字の言葉を、どう扱いどう子ども達に手渡していくべきでしょうか。長年追いかけてきた問いの、ひとつの答えが見えた気がしました。
お読みいただき、ありがとうこざいます。
書きたい思いがうまく言葉にならず、スルスルと手からこぼれるような感覚です。Sくんのように、僕も胸に手をあててこぼれていく言葉をとどめたいです。