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第9話 ヒロインと本気

ステータスは結構テキトーです。

リタ を助けに行くため、走り出した俺だったが少し考えてみてほしい。

街中を超ステータスの俺が走り抜けたとき、周りへの被害はどうなるだろうか。

当然全部吹っ飛んでしまう。


だが一刻も早く駆け付けたい。そんなときどうするか。

空を飛ぶ? 目的地までの直線上にはまだ夕方なのにライトアップされた時計塔がある。

そんなことをすればいらぬ混乱を招き、めんどくさいことになりそうだ。


答えは 転移 である。近くの路地裏に駆け込む。

はたから見れば勢いよく宿屋から飛び出してきて、となりの路地裏に駆け込む。 相当挙動不審な奴に見えるがこの際気にしない。 見栄えよりも実利優先である。



ゴーグたちの気配はまだ動いていない。 二日酔いでもしているのか昨日よりも気配が弱まっている。

事件はまだ起こっていないと考えていいだろう。


近くまで転移して入り組んだ裏路地を駆けていく。


どう助ければかっこよく見えてなにを言えば惚れてくれるだろう。

奴隷商で出会いがなかった以上、一番ヒロインっぽいのは彼女だろう。

冒険者ギルドの受付嬢と実は超すごい新人冒険者。 よくありそうな話だ。 

お金には靡きそうになかった。 ということは顔だろうか。

残念ながら普通の顔立ちの俺である。 それでは攻められないだろう。

だとするとやっぱりヒロインのピンチからかっこよく助けるしかないだろう。



そんなことを考えながら一般人並みの速さで走る。






到着はすぐだった。 状況が目に飛び込んでくる。




事件は起こっていないものだと思っていた。

先ほどからまったくと言っていいほど気配が動いていなかったから。




不思議な点はいくつかあった。

これから襲われそうだというのに声も上げないリタ。

リタを取り囲んでいるわけでもないのに動かなかったゴーグたちの反応。

そして何より、昨日より弱まっていたゴーグたちの気配だ。



「あれ? ソータさん! なんでこんなところに?」



気絶している三人の冒険者の姿と俺の登場におどろいているヒロインの姿が、そこにはあった。



「リタさんの帰りが遅いので探していたらそれらしき人を見たという方がいて、慌てて来たんです」


助けたとき用に考えていたセリフが口からこぼれた。


「そうでしたか。実はあの後用事を済ませていたらこの三人に絡まれてしまいまして。流石にこれは見過ごせませんでしたから。衛兵に突き出そうかと」


「でもよくCランク冒険者を相手に勝てましたね」


「えへへ。私こう見えても実はBランク冒険者の資格ももっているんですよ!」




名前 リタ  年齢 18歳


種族 人間  職業 冒険者ギルド受付嬢 


Lv43


ステータス


生命力 380/380

魔力 93/100

腕力 180

精神力 80

耐久力 150

魔法抵抗 70

器用 80

体力 140

素早さ 140

魅力 80

運 40



〔スキル〕


普通スキル


体術 lv6

短剣術 Lv3

気配感知 Lv4

身体強化 lv5

生活魔法 Lv4



加護 なし


犯罪歴 なし





先ほどから心臓の鼓動がうるさい。

少し自慢するように先輩風を吹かせている姿から目が離せなくなってしまう。


(久しぶりに深く関わった人だからだろう)

(リタはきっとただの親切心で優しくしてくれているんだろう。勘違いしてはいけない)

(もっと早くちゃんとステータスを見ていればこんなことにはならなかった)

(この気持ちは一時の気の迷いでしかないのだ、すぐに消えてくれるだろう)



「何か言ってくださいよ! 恥ずかしいじゃないですか!」


ドクドクドクドク――――。


頭では分かっているのにどうしてだろう。


彼女の声が心地いい。


胸がさらに高鳴るのを感じる。 ああ、もう認めるしかあるまい。


俺は今、生まれて初めての本気の恋をしてしまったようだ。



太陽はすでにおちて、闇があたりをつつんでいる。

遠くから人々の楽し気な声が響いてくる。


よかった。 

真っ赤に染まった顔を、見られずにすんだから。



―――――――――――――


「衛兵はリタさんを見かけた方に頼んで呼んでもらっているので俺が見張っておきます」

と言って彼女を先に宿へ帰した。


なかなか帰ろうとしない彼女に、「特別料金で食べれなくなってしまいますよ」といって無理矢理帰ってもらったという方が正しいか。

特別料金がいつまでかなんて知らない。 食堂はもう混み始めている頃だろう。 

でもおそらくリタは特別料金で食べられるだろうな。

本当に特別料金が混んでない時間限定と決められているならむしろその時間帯の方が混んでしまうだろう。

そうなっていないのは特別料金がいわゆる友達料金だからというわけだ。


遠ざかっていくリタの気配を感じながらこの感情について考える。

異世界ならもしかしてと思ってはいたが本当にこうなるとは思わなかったな。


好きになるのに理由なんていらない、という人がいる。

しかしそれは間違っているのだと思う。

好きになる()()の理由は確かに要らないが、好きになった理由は必ずある。

ただその理由は複雑に絡まりあっていてうまく表現できないことがほとんどなのだろう。


俺もなぜリタに恋をしたのかはっきりとは分からない。

何が原因かと言われれば、それはひとえに俺自身の怠慢や驕りのせいだろう。


もっとはやく街へきていれば、

もっとちゃんとステータスをみていれば、

もっとはやくゴーグたちをつぶしていれば、

こんな気持ちにはならなかったのではないかと思う。


主人公最強ものの話では主人公の怠慢によって度々事件が発生していた。

主人公が動いていれば助けられたのに、といったこともあった。 それを見るたびにバカだなと思っていた。でも俺にも驕りがあって同じようなことをしそうになっていた。

自分が嫌っていた物語のようにならないように、油断は排除していこう。


自分の怠慢が招いたこととはいえ本気で人を好きになってしまった。

初めてのことなので少し動揺してしまったが、これからやることは決まっている。


(リタに俺を好きになってもらおう)


俺の人生のヒロインが決まったのだ。 

ぐずぐずしている暇はない。 全力で手に入れるし全力で惚れてもらおう。



俺はリタを手に入れるための行動を開始した。

主人公はギャップ萌え攻撃を食らった。

惚れさせられてしまったようだ。

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