第7話 ヒロイン(仮)と誘拐? 1
長くなったので分けました。(前半)
登録した流れのまま、冒険者についての説明を受ける。
「冒険者にはランクというものがあり、登録したてだとみなさんFランクからのスタートとなります。 依頼にもランクがあって原則自分のランクのものまでしか受けられません。 自分のランクは依頼をこなしていくと上がっていくようになっていますが、指名依頼が解禁されるようになるBランクからはなるために面接などを受けなければいけなくなります。」
Bランクからは 特別な理由がない限り受けることになる 指名依頼という制度が解禁されるようだ。
面倒くさそうなのでCランクで止めておくことも考えておこう。
冒険者ギルドの規則は特に厳しいものはなかった。
冒険者同士の私闘は行き過ぎている場合は止めるが基本放置のようだった。
流れでおすすめの宿屋を聞いてみる。 異空間に入れば最高の寝床があるのだが誰かが訪ねてきたときに見つからないのではよろしくないだろう。
「宿でしたら私が使っている店があるのでそちらがおすすめです! 実は私の知り合いの宿でして、安くしてもらっているんですよ。 私の紹介なら安くしてもらえると思います。 あ、もう少しで仕事も終わるので案内しましょうか? 少しだけ待っていてもらうことになりますが…」
「ピークも過ぎたしもうあがっていいわよ。ちゃんと面倒見てあげなさい」
裏の方で書類をみていた性格がキツそうな女性がそう告げる。 見た目に似合わず優しいこと言うじゃないか。
「サブマスター! ではお言葉に甘えてお先に失礼しますね。 行きましょう、ソータさん」
サブマスターらしい。 仕事は出来そうだが腹黒そうな人だ。 でも言動は優しいというね。
というか話が勝手に進んで行ってしまった。 まあ案内してくれるらしいしラッキーだ。
ギルドをでて人通りが多い表通りを歩く。
少し気になったのでゴーグたちについて聞いてみた。
あの三人の評判はあまりよくないようだ。 もともとゴーグ以外の二人がこの街にいてやんちゃをしていたが、最近ゴーグがこの街へきてつるむようになったらしい。 噂は色々とあるが犯罪歴がない以上手出しができていない状況なのだという。 気になるのは被害者たちがなぜ名乗り出ないのかということだ。 報復が怖いのだろうか。
考えているとどこからか鐘の音が聞こえてきた。 音が聞こえてきた方を向く。
時計塔だ。 大きな時計塔があった。
「あれはこの街で一番古い建物なんですよ。 朝六時、昼十二時、夕方十八時の六時間おきに三回鐘がなるんです。便利ですよね。それに夜は魔道具でライトアップされていてとても綺麗なんですよ! 」
この世界の時間は元の世界と大体同じで一年は365日だし月は12か月あるし1日は24時間だ。
うるう年のようなものはない。
適当に相槌を打ちながら宿を目指す。
あまり時間を置かずに目的の宿へとついた。 3階建ての、この世界では一般的なランクの宿だった。
「いらっしゃいませー! あ! リタ。おかえりー!」
この子が知人だろう。 少し肉付きが悪く細く見えるが背が小さいので子どもにしか見えない。
この子のあだ名は 知人A としよう。 別にAカップだからというわけでは決してないので誤解はしないように!
健康的な肉体をしているリタとは対照的な感じだ。 胸と身長はどちらも大きいようには見えないが…。
仲睦まじく話している二人を観察しながらそんな失礼なことを考えていた。
「なんだ、お客さんかー。彼氏連れてきたのかと思ったー!」
リタの説明を聞いてそう呟いた知人A。 面白いほど狼狽えている彼女を楽しそうにみている。 確かにこんなに反応がいいとからかって遊びたくなるな。
「早く食堂へ行きましょう! 特別料金が終わっちゃいます!」
そうだ! と思い出したようにリタが食堂の方に歩いて行ってしまった。
「とりあえず一部屋10日間でお願いします」
1日銅貨2枚のところを10日で銅貨18枚にしてもらえた。 食事は別払いで食堂で食べられるらしい。
「鐘が鳴ってすぐはお客さんも少ないから少しだけ安くしてるの。 リタはいつも間に合うように帰ってきてるんだよ」
そういう事情らしい。 ギルド職員なのに宿暮らしだし節約したいのだろう。
でも特別料金なんて客が増えそうだけどな。
先に行ってしまったリタを追いかけて食堂に入ると、リタが手を振ってきた。
同席して同じものを注文する。魔物の肉に特製のソースを絡めて焼いたもので美味しそうだ。
「私明日お休みで1日中空いてるんですよ。 よかったら街を案内しましょうか?」
色々聞いていると街に興味があると思われたのかそう提案されて、じゃあお願いします。 と申し出を受ける。 これはギルド受付嬢ルートに入っているのか?
食事を済ませてリタと別れ、自分の部屋へと移動する。 ベッドは異空間のものに比べれば貧相なもので部屋もあまり広いとは言えないものだった。 あまり眠りたい気分でもなかったので朝までテキトーに時間をつぶすことにした。
感知魔法を最大範囲まで伸ばしてみる。
この街の端から端まですべてを感知できたが人の反応が多すぎて気持ち悪い。
蟻があめ玉に群がっているのをみている気分だ。 2週間ほどずっと一人でいたから余計に気分が悪くなっているのだろう。 街中などでは200mくらいに範囲を抑えようと思った。
デートだ。