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第5話 盗賊退治と都市マリオン

少し修正して再投稿しました。

外の世界に出るとあったのは墓と荒れた森。

そなえた花は枯れていたが、それ以外は何も変わっていないようにみえる。



(ここから街まではかなりの距離があるし、空を飛んでいこう)




感知系スキルを複数使い、周囲の状況を探りながら目的地を目指す。




空を飛んでいると、ふとある事に気が付く。魔物の気配が全くないのだ。


ステータスのせいもあり、結構な速さで飛んできているため相当遠くまで来たはずだ。


しかし、戦いの跡地からここまでまったく魔物がいない。




なぜだろう。



原因を考えていると一つの可能性に行き着いた。


跡地にはかなり大きな魔力溜まりが出来ていた。戦いから日はたっているが、それに怯えて魔物たちが逃げたのではないだろうか?




それならもっと進めば魔物と出会えるだろう。ここらにいた魔物もいるとしたら縄張り争いが激しくなっているはずだ。それに伴って冒険者の需要も増えていることだろう。街についたらすぐにでも冒険者になろう。



そんなことを考えながら飛び続ける。




太陽が南中するころ、感知スキルに反応があった。




「魔物同士で争っているのか」




近づいてみるとオーガと魔狼の群れが戦っているのが見えた。


構わず進んでいるとだんだん魔物の反応が増えてきた。


ほとんどの魔物がそれぞれここは譲れないとばかりに戦っていた。


どうやら推測は正しかったと思っていいだろう。




「ん? 魔物が集まってるな」




街まであと少しかといったところで魔狼と思われる群れが密集している場所を発見した。




「ちょうどいい。路銀にでもなってもらおうかね」



一部の街に入る時や冒険者登録をするときなど、お金がかかることに思い至り、手頃な魔物を探していたところだった。


群れを倒して素材を売ればきっとそれなりになるだろう。




魔物を狩るべく近づいていくと車軸が壊れた馬車や馬、数人の人影を確認できた。行商人だろうか?


生命感知スキルに反応はない。死んでいるのだろう。




装備していたなんでも斬れーる君で魔狼たちの首を落としていく。


群れの大部分を倒すと生き残っている魔狼たちは散っていったので、魔狼を解体しアイテムボックスに放り込む。


作業が終わり、死んでいる人間たちの方へ意識を向ける。




名前 マルコス  年齢 28



種族 人間  職業 商人



lv5



ステータス 



生命力 0/48  死亡

魔力 24/24

   ・

   ・

   ・






もしかして現金を持っているのではないだろうか。


そう思って観察するとある事に気付く。




「盗賊の仕業か」




最初は街道ではない森の中へ入り、魔狼に襲われて死んでいったのだと思っていたが違ったようだ。


この商人たちの死体には刃物で切られたような跡があったのだ。


よく見てみると馬は足に矢を受けているし、なにより金目のものがほとんどなくなっている。




魔狼たちに食べられていないところを見ると殺されてさほど時間は立っていないのだろう。




感知系スキルを最大限に使い、感知できる範囲をのばしていく。


通常では半径三キロほどまでしか探っていないが全力で使えば十キロほどの範囲を探れる。




「見つけた」




ここから五キロほどいったところに複数の人間の反応を見つけた。


死体を 土魔法 で掘った穴に埋め、反応に向かって飛ぶ。




正義感で行動しているわけではない。


金が必要だから動いている。基本的に盗賊が持っている金や宝は倒したものに所有権があるはずだ。


手っ取り早く稼ぐにはいい手段ではないか。


というか初めての異世界人が盗賊かよ。



すぐに追いつく。




Lv14 盗賊




犯罪歴 強姦 強盗 殺人




一番強いので Lv14 か。 弱いな。


犯罪歴はみな同じようなものだったが、ひとりだけ 詐欺 のみのやつがいる。


きっとこいつが騙して獲物を連れてくる役だったのだろう。




盗賊たちに接触する前にもう一度感知スキルを全力で使う。


更に数キロ進んだ先に二十人ほどの反応がある。


なるほど。 アジトはあそこか。




とりあえず空から舞い降りて、商人を襲った盗賊をひとり残して首ちょんぱした。




残したのは詐欺の犯罪歴を持つ盗賊。




盗賊の死体から金品を回収しつつ、突然の仲間の死に驚愕し困惑している詐欺野郎に話しかける。




「よお。お前の仲間は殺したけどお前も死んでみる?」




あまりの恐怖に声も出せないのか首を勢い良く横に振る 詐欺野郎。


そんなこいつに問いかける。




「ならお前たちの拠点の場所教えな! おとなしく教えるなら見逃してやるし、そうだ。これもやるよ」




「これは?」



生への希望が見えたからか震えた声ながらも絞り出して尋ねる。




「魔物除けの香だ。俺が見逃しても魔物に襲われて死んでしまうだろ?」




それを聞いてすぐにアジトの方を示す詐欺野郎。


そこは嘘つかないのかよ。




「よし、行っていいぞ」




はじかれたように逃げていくのを見送り、アジトへと向かう。




「うわぁぁぁぁあ!!」




後ろからそんな悲鳴が聞こえてきた。香を焚いたのだろう。




()()()の香を。




騙されて死んでいくなんて詐欺野郎に相応しい最期ではないか。




~~



アジトに到着すると同時に見張りの首を撥ねた。


もちろん犯罪歴も確認済みである。




アジトは洞窟のようになっていて、非常に入り組んでいて天然の要塞のようになっている。


感知スキルを使っているので迷わず進める。


盗賊にであっては首を切り落とし、次の盗賊のもとへ進む。




あらかた倒して最後に大広間のような場所にいきつく。そこには四人の盗賊とボロ雑巾のようになっている女性がいた。




「お頭、この女も壊れちまいやしたね。処分しやすか?」




「ガハハハッ 恋人の前で犯して目の前で恋人を殺されたらなあ。 最後まで男の名前呼んで抵抗してたんだッ 泣ける話じゃねーかッ 他のやつらにもまわしていらなくなったら処分だなッ!」




「こんな状態なら奴隷商にも売れやせんからね。他のやつら呼んできやす!」




胸糞悪い会話だな。




どこかへ行こうとしている盗賊を 風魔法 をまとわせて飛ばした斬撃で切り刻む。


何事かと困惑している盗賊達をお頭を残して一瞬のうちにバラバラにする。


目を見開いて驚いているお頭に隷属魔法を無理やりかけ、動けないように身体を麻痺させた。




すみで転がされている女性に回復魔法をかけながら近づいて声をかける。




「生きてるか?」



身体の傷やだるさが一瞬でなくなった女性は自分の身体の異変に気付き、ゆっくりと顔をあげた。


女性がこちらを観察する。彼女の眼は闇を映していた。人が絶望した時の眼だ。


恋人の前で犯され恋人を殺されて、それでも一途に思い続けて、限界まで抗い続けて、心を闇の中に落としてしまったのだろう。




女性に紫色の短剣を渡す。




女性はよろよろと立ち上がり、麻痺して動けなくなっているお頭の前にいき、胸を刺す。腹を刺す。喉を刺す。何度も何度も繰り返し刺す。一回一回に最大限の憎しみを込めながら。


お頭から聞こえる悲鳴すら笑いをもって返す。彼女の眼に宿るのは狂気と憎しみ。


誰も邪魔するものはない、最高の復讐だ。




彼女に渡した短剣は強制的に刺した相手の限界まで、力を引き出すという呪いをもったもの。


簡単には死なせない。最後まで苦しめ。




ついに動かなくなったお頭を前に、女性はただ呆然と立ち尽くしていた。




「記憶を消してもう一度生きてみるか? 当分の間、働かずに生きていける位の金はやる」


そんな言葉にも彼女は首を振る。その眼には未だ絶望が宿っている。




「彼がいない世界で、生きていくつもりはない」




凍えるように冷たく、それでいて美しい声で、そう呟いた。






「なら、何を望む」






「彼のもとに行くこと」






素晴らしいの一言に尽きた。 とても綺麗で見事な愛だった。 だからこそ、願いを叶えてあげたいと思った。






「ありがとう」








その日、初めて罪のない人間を殺した。



―――――――――――――――――――



近くの丘に女性の墓を建て、供養も終わったころになると、もう太陽が傾きかけていた。




街までは飛べばすぐという距離なので街道からすこし離れたところを飛行する。




街が見えてきた。 街の名前はマリオンそこまで大きくはないが小さくもない、といった大きさの街だ。何が有名な街なのか、といった詳しいことは記憶にはなかった。

異世界っぽい何かがあるといいな。




一応人に見られないように森の中で地面に降り立ち、門まで走る。


門には衛兵がいて、冒険者や商人と思しき人々が衛兵にカードのようなものを見せ、街へと入っていく。


ギルドカードのようなものだろう。




それよりこの街に入るのは無料のようだ。カードがない人たちは水晶のような球に触れて、青く光ったのを見て衛兵が頷き、中へ入っている。テンプレから言えば間違いなく犯罪歴を確認しているのだろう。




魔道具を鑑定してみる。




名前 犯罪歴確認球  等級 上級




説明 触れたものの犯罪歴を調べることができる。 青がなし 赤が犯罪歴あり


   普通スキル 〔隠蔽〕Lv6 までを破って調べることができる。






俺が持っているスキルはもっと上位のスキルだ。問題なく隠せるだろう。




とくに怪しまれることもなく球をクリアできた。やはり大丈夫だったようだ。


衛兵に冒険者ギルドの場所を聞いて街の中へ入る。




「ようこそ! 都市 マリオン へ!」




衛兵からそんな言葉がかけられる。なかなか親切な人だ。


普通の人に会えただけで寂しさもすこし紛れるというものだ。




まずは冒険者ギルドだ!


バカな冒険者に絡まれるというお約束は体験できるだろうか?




様々な思いを胸にギルドを目指した。

名前 ソータ  年齢 17歳


   ・

   ・

   ・


犯罪歴 なし (殺人)

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