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第14話 リリの成長

時間が空くと話の流れを忘れてしまいますね。

大斧がくるくると空を飛び、魔物をなぎ倒す。魔物をなぎ倒した後の大斧はブーメランのように弧を描きながら投げた本人の手元へと吸い込まれる。大斧を投げた少女はその細い腕でまるでその大斧が発泡スチロールで出来ているかのように軽々とキャッチしてみせた。

俺が見ていたことに気付いてこちらに向かって優雅に一礼して見せるその少女、リリ。

少女に大斧、ミスマッチさが加速しているのは思惑通りだ。


「あんまり時間は経っていないけどよくそんなに大斧の扱いが上手くなったな?」


自分の体の一部みたいにテクニカルに扱っていた。


「はい! 何だか今なら何でも出来そうな気がするんです!」


「ソータくん、リリちゃんのステータス、上がり方が少しおかしいの…」


リタに言われてすぐに鑑定してみる。

別れた時には既に150を超えていたが今は200まで上がっていた。


どこがおかしいんだろう。

そう思ってステータスをじっくり見ていく。



名前 リリ 年齢 19歳


種族 人間  職業 奴隷ソータ


Lv200


ステータス


生命力 23000/23000

魔力 15000/20000

腕力 8000

精神力 9500

耐久力 8000

魔法抵抗 9000

器用 100000

体力 8500

素早さ 12000

魅力 100

運 50



〔スキル〕


神級スキル


擬似神眼 (加護)

擬似全耐性 極 (加護)

   ・

   ・

   ・


加護 ソータの加護 (スキル付与、必要経験値減少、獲得経験値上昇、成長自由化)





「器用の伸びが異常だな…! これのせいだったのか」


俺と別れた時はそこまで気にするくらいの上がり幅ではなかったので別れてから急に上がり始めたのだろう。


「冒険者の中にも特定のステータスだけが多く伸びる人もいるんだけど…」


「それにしてもおかしいくらい伸びたね」


ほんとに桁が違うっていうくらいの伸びだ。

こくっと苦笑いしながら頷くリタ。


「ソータくんの加護のせいなのかな?」


「たぶん。みんながある程度強くなってからはその人が望むようにステータスが伸びるみたいな効果も追加してたから。……でもこんなに伸びるってことは元々素質があったんだろうね」



「そういえばリリちゃん、裁縫が得意って言ってたよね?」


「うん! 裁縫がいちばん得意だと思う!」


「リリは心の中でもっと裁縫をしたい、もっと上手くなりたいって思っていたってことね」


恐らくそういうことなんだろう。


それと、リリとサラの2人と敬語なしで話すくらい仲良くなったみたいだ。歳も近いしリタの話し相手になってくれそうで嬉しい。


「それで、ソータくんの方はどうだったの? アラクネってあのアラクネだよね。仲間になったって言ってたけど何があったの?」


念話では伝えたけど要点しか話していなかったので気になっていたらしく、リタが聞いてきた。サラとリリも直接聞いてくることはなかったがやはり知りたいようで、こちらに耳を傾けている。


「リズたちに呼ばれて行ってみたらアラクネの群れがいてな? 言葉も通じるし倒すのも何かなと思って群れの女王に従魔にならないかって()()()()あっちも最後の大陸で生きていくのに苦労していたみたいで()()してくれたんだ。その女王にはアヤメっていう名前もつけたんだ。今回はなかなかいいセンスだろ? アラクネの糸は貴重な素材になるからっていう打算もあったけど仲間には変わりないから仲良くしてくれ」


特に隠すような理由はなかったので掻い摘んで説明した。

大丈夫だとは思うが一応酷い扱いをしないように一言付け加えておく。


「さすがソータ様…! 意志を持つ魔物はプライドが高いと言われているのに、従魔にしてしまうとは…!」


サラが感動したといったふうに言う。


「本当にすごいです! ソータ様! アラクネが作った服はどれも高値で取引されているんですよ! 以前王都で開かれたオークションに出品されたものは白金貨まで飛び出したらしいです! 質もデザインもいいからって! 数自体も少ないので持っているのは極一部のお金持ちくらいなんですよ! 私、アラクネの方とずっと話してみたかったんです!」


リリが熱く語ってくれた。貴重そうだっていうのは分かっていたけどそこまでのものだったとは……驚いた。あとそんなに詳しく知っているリリにも驚いた。印象薄い子だと思ってたけどそうでもないな。


「お、おう。そうなんだ。これからはいつでも話せるから好きなだけ話すといいよ」


「はい!」


リリは嬉しそうに返事をした。



「また女……。でもアラクネって女性個体しかいないらしいし…。でもでもソータくんちゃんとした名前までつけちゃうし! まさかソータくん好きになっちゃったなんてことないよね……下半身は蜘蛛みたいな見た目らしいから大丈夫かな…ソータくん虫嫌いだし…」


さてさて、なんか小さな声で心外なことを呟いているリタをどうしてやろうか。全部聞こえてるよ?


「リタ、まだ不安? 俺にはリタしかいないっていつも言ってるよね?」


リタを抱きしめて耳元で囁く。


「そうだけど……。じゃあソータくんは私の周りに男が増えても不安にならないの?」


確かに超不安だ!

いくら解けない誓約を誓っても出来るのは罰を与えることだけだ。誓約で人の気持ちを縛ることは出来ないし、指輪も相手が拒否すれば気持ちは伝わらない。

人の気持ちはちょっとしたことで変わってしまうこともあるから不安で仕方がなくなるだろう。


「ごめん。俺が悪かった。これからは従魔といえどもリタにも相談するようにするよ。それと、不安になったらいつでも言って。その度に指輪で気持ちを確認し合おう」


「うん。わかった。ありがとう。ソータくんも嫌なことがあったらすぐに言ってね! 私もソータくんが嫌なことはしたくないから!」


「なんでリタはそんなに可愛いの?」


腕の中にすっぽり入って抱かれているリタに軽く頬擦りしながら言う。


「ソータくん、苦しいよ」


リタが少し苦しそうに、そして恥ずかしそうに苦情を伝えてくる。

知らず知らずのうちに抱きしめる手にも力が入ってしまっていたらしい。

慌てて力を弱めて適正の力を込めて今度は頭を撫でながら抱き締める。


リタも満更でもないのか抵抗も見せずにされるがままとなっていた。



〜〜



「私たちは何を見せられてるんだろ……」


「お二人の世界に入ったら当分出てこないし…私たちは魔物狩り続ける?」


「そうね、そうしましょう。ここにいたら何故か悲しくなってくるし……」



〜〜


サラとリリは気を使ってくれたのか2人で魔物狩りへ行った。

既にボスクラスにも負けないくらい強いから2人は大丈夫だろう。

俺はリタを連れて一足先に異空間へと戻っていることにした。



アラクネたちに会ったりといったハプニングはあったものの、サラとリリのレベル上げも順調に終わった。先ほど念話して状況を聞いたら、ミーシャのレベル上げも順調のようだった。これで配下の奴隷たちはみんな化け物じみた力を手に入れたわけだ。


国なんて余裕で落とせる、というか大陸ごと支配できるくらいの戦力だ。まあ面倒臭いし、理由もないので実際にやったりはしないけど。配下が傷付くのはみたくないし、配下を人質に取られたりする展開も大嫌いだったので力を与えたまでだ。後、万能だったら色々頼む時に便利だしね。





「ソータくん、リリちゃんのことなんだけど…」


屋敷へ戻ってまったりしているとリタが言う。


「ああ、リリの武器についてだよね?」


「うん」


大斧は基本なぎ倒したり押し潰したりする脳筋タイプの武器だ。それを器用のステータスが異常に高いリリが使い続けるのはもったいない。わざわざ長所を潰すような武器を持たせておくメリットはない。それにリタも気付いていて相談してきたのだろう。


「それについては俺も考えてみたんだけど、一つ試してみたいものがあるんだ」


なんだろう、といったふうに首をかしげているリタ。


「まあ任せておいて」


うまくいくかは分からないが上手くいけばリリにピッタリな武器になるだろう。


「まあソータくんがそういうなら大丈夫だろうし任せるね」


リリの個性を潰すようなことにはならないと分かったからか、安心したようにリタは言ったのだった。

どんな武器でしょうか?

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