第8話 それぞれの役割
平成最後の投稿。
っていうとなんかすごそうですよね。
表通りを歩きながら不自然にならないように少しずつ全員に隠密スキルをかけていく。9人もゾロゾロと歩いていたら思わず道を開けてしまいそうになるだろうが、そうする者はいない。もうすでに俺たちに気付いている人がいないからだ。誰かが人にぶつかったりしないうちに路地裏に入り、進んでいく。
他に人がいない所まで移動してから奴隷たちに話しかける。
「さて、俺たちには秘密があると言ったがその1つを見せよう」
サラとリリがキョトンとしている。ああ、そう言えばこの二人はノリで買うって決めたからなんも言ってなかったっけ? まあいいか。
人が入ってこないように魔法で人避けしてから異空間への扉を出現させる。
「なに…これ? ドアが一瞬で現れた…? そんな魔法あったっけ…?」
リタ以外みんな驚いているようだ。驚くにはまだ早いんだけどね。あとリズはどんな魔法だと思ってるんだろう?
「とりあえずみんなついてきて」
俺を先頭にしてどんどんと扉の中へと入っていく。
扉は外からは中の様子が分からなくなってるから入った瞬間にみんなの顔が変わっていくのが面白い。
「なっ! まさか転移したのか!?」
「て、転移って超級のあれですか?」
リズの言葉にサラが反応する。
「いや! 超級では短距離、50メートルくらいしか移動できないはずだ。昔使える高位冒険者に聞いたから間違いない。街の中からこんな森までなんて…最低でも儀式級、下手をしたら災害級以上かもしれないな……」
「災害級って……。たしか、伝承にある魔王や勇者は使えたとかっていう…」
「おとぎ話だけの話じゃないんですか? 実際に使える人なんて…」
「いや、エルフの王は使えるという話を聞いたことがある。現実に存在する魔法だ……」
「それって! ソータ様が何百年も生きてるエルフの王と同じくらい魔法が得意ってことか?!」
順にリズ、ニック、リリ、リズ、レオだ。みんな仲良くできそうでよかった。
「ちなみにここは俺が空間魔法で作った世界で全部俺の所有物だ。俺たち以外にはペットのファイヤードラゴンと神狼しかいないぞ」
「…………。」
静かになったな。
「ソータくん! みんなが驚きすぎて動かなくなっちゃったじゃん! もう! 刺激的な情報は小出しにして!」
刺激的って。こんなことで驚かないように慣れてもらわないといけないんだけどな……。ちょっと反省。
「………はっ! だったらソータ様はエルフの王以上ってこと! ソータ様すごい!」
ミーシャだ。さすが最年少。立ち直りが一番早かった。
他はまだ少し駄目そうだな。リズなんて口を顎が外れそうなほど大きく開けてポカーンとしている。美人が台無しだな。
「ああ、そういうことだ。今は俺がすごいって思ってくれればいい。だから早く慣れてくれ」
「みなさん。ソータくんと一緒にいるとありえないことがたくさん起こります…というか大体ソータくんが起こします。そのうちソータくんなら仕方ないって思い始めると思うので…今はこらえてください…」
なんか言葉の重みがすごいな。奴隷たちも、ある者は期待した顔をしながら、ある者は疲れた顔をしながらリタの言葉をありがたそうに聞いている。
「はいはい、こっちだよー。ついてきてー」
なんか変な雰囲気になっているみんなを屋敷のリビングに案内する。
「なにこれ…。見たことないものばっかり……」
ソファに全員座らせる。決してリタと行為を致したソファではないので邪推はしないように。俺はお誕生日席に座り、リタは膝の上にのせる。リタが赤くなっているのは俺の上に座るのが恥ずかしかったからだけだ。決して行為を思い出して悶えているわけではないので勘違いしないように…。
ちなみに奴隷達はみんな生暖かい目でみている。
俺たちのラブラブ具合に恐れ入っているようだな!
……呆れているともいう。
「さて、みんな緊張は解けたようでなによりだ。一応顔合わせと各人の役割を知って置いてもらおうと思う。じゃあニックたちからにしよう」
四人家族から順番に自己紹介させていく。みんな最初は買われたのは自分たちだけだと思っていたようで契約の時に買われた人数の多さにびっくりしていた。自己紹介中の雰囲気を見る限り、お互い尊重し合っていてうまくやっていけそうだ。最後にリリが話し終わってから役割について話し出す。
「ニックには畑関連のことを任せたいと思う。今はまだそんなに広くないから一人でも大丈夫だろうけど後々広くなって一人じゃ管理できなくなってきたら言ってくれ。人員を増やそう。マリーとサラとリリは料理、洗濯、掃除などなど…屋敷とかの管理を任せたい。あとで案内するけどこの異空間にはいろんな建物があるから一応全部把握しておいてほしい。掃除は魔法でやればすぐだから」
「えっ! すみません! 私、基本の生活魔法以外使えないんですが……」
「あっ! 私もです……それに、魔力もそこまで多くなくて…」
マリーの言葉にサラが同調してリリも頷く。
「問題ない。俺が付与するからすぐ使えるようになる。魔力についても心配するな。俺がパワーレベリングに付き合うから全員ドラゴンも一撃で倒せるくらいになる」
「ぱ、ぱわーれべりんぐ…? なんだそれは? それにドラゴンを倒せるようになるなんて悪い冗談だ! 私はファイヤードラゴンを見たことがあるがあれは普通の人間が頑張ったくらいで倒せるほど生易しいものでは…
バサッ!バサバサッ!バサッ!!
リズの言葉を遮るように屋敷の外から何かが羽ばたいているような音が聞こえてくる。
イグニスが来たのだろう。どこかで遭遇してお互いに争ったりしたら困るので紹介しておこうと念話で呼んでおいたのだ。
「おっ。来たようだな。みんな、庭に出るぞ。さっき話したペットたちを紹介する」
ぞろぞろと連れて外に出る。外にはイグニスだけでなくハクも待機していた。ハクはイグニスよりも先に来ていたが話をしていたのをみて空気を読んで待っていてくれていたのだ。
『主よ! 遅くなってごめんなさいなのだ!』
『ご主人。そっちのは新しい配下か?』
「よく来てくれたな。こいつらは今日買った奴隷たちだ。見かけても襲うなよ。自己紹介してくれ」
『我はファイヤードラゴンのイグニス。主に従魔として仕えているのだ! 基本的には平原に作ってもらった寝床にいるし、食事も主の魔力がたっぷりつまっている草を食べるのでお構いなくなのだ!』
『神狼のハクだ。最後の大陸でご主人に強引に迫られて以来、従魔として仕えている。いつもは最後の大陸で遊んでいるので会うことは少ないとは思うがよろしく頼むぞ』
たしかに従魔や使い魔は大体強引に迫って配下にしてるな……。
庭に出てすぐはみな今にも逃げ出したいけど恐怖で身体が動かないみたいな状態だったけど、イグニスたちが俺に従っているのを見て恐怖は和らいで一安心といった感じになっている。レオとミーシャは目を輝かせてこちらを見るようになったが…。
リズはまたもや顎が外れそうなほど口を開いて驚いている。リンゴ一つ丸ごと入りそうだ。
「まさか…そんな……」とか言っているがいったん無視だ。
「もう暗いからな。話してみたいやつは後で個人的に挨拶してくれ。」
呼んですぐに集まってくれた二匹に感謝を伝えて、それぞれの巣に転移させてからリビングに戻る。
「リズ。ドラゴンを倒せるようになるって話は信じてくれたか?」
「あ、ああ……。ソータ…さんについていけば出来そうな気がしてきたよ……」
先ほどは全く信じてなかったけどハクたちを見て変わったみたいだ。
「それならよかった。みんなドラゴンくらいなら楽に倒せるくらい強くしてあげるから全員そのつもりでいてね」
尊敬と期待が入り混じったような視線を送ってきている者が多い。俺がすごいのが伝わって、ついていけば本当に自分も強くなれるかもしれないと思ってきたのだろう。一部、畏怖の感情が感じ取れる者もいるが、そっちは時間が解決してくれるだろうと思う。
「じゃあ続きだ。リズには戦闘方面を任せる。全員戦えるようにはするけど武力担当を決めておかないとそれぞれの仕事が中途半端になってしまうかもしれないからね。みんなそっち方面で何かあったらリズに回して。あと、特にやることない日は冒険者として活動してくれ。ランクは上げられるところまで上げていい」
「ああ。わかった……」
「最後にレオとミーシャだが……なにかやりたいことはあるか? 二人はこれといってやってほしいこともないんだ。やり慣れてることというのもないだろうし、やりたいことがあるならそれをやっていい。特にないなら俺が適当に決めるけど…」
俺の言葉に顔を見合って考え出す二人。ニックとマリーも真剣に二人を見つめている。二人の親としてなにか思うところでもあるんだろうか。特に口出しもしない所を見るとわが子の成長を見守るみたいな感じか。
二人はそれぞれ少し悩んだ後に答えを出した。
「俺はずっと冒険者にあこがれていたんです…。昔見た魔物を倒す冒険者の姿がとってもかっこよくて…。でもゴブリンやスライム相手に苦戦する俺じゃあやっていけないと思っていて……。そんな俺でも許していただけるのなら…俺も戦闘面で役に立ちたいです!」
「そうか。ならレオはリズと一緒に荒事担当だな。リズから冒険者について教えてもらうといい。リズも頼んだぞ」
「ああ、承った」
「あの、私はやりたいこととかなくて……」
「じゃあどうしようかね。あっ、そうだ。ミーシャは動物は好きか?」
「えっ? はい。好きです」
「ミーシャはよく動物を拾ってきては母さんに怒られてました」
「ちょっとお兄ちゃん!」
じゃあ適任かな?
「よかった。それならミーシャはテイマーとして活動してくれ。異空間の一角をあげるから気に入った動物や珍しい魔物とかをそこで飼ってくれていい。その代わり、俺も珍しい魔物とか連れてくると思うからそいつらの世話も頼む。あとこいつらの世話もだな」
俺の使い魔としてはイグニスたちの先輩にあたる小鳥などの小動物たちが数十匹が現れる。すべて俺が授けた隠密系スキルで姿を隠していただけでずっとここにいたのだが急に現れた動物たちにみな目を丸くしている。各地に情報収集に走らせている奴らも合わせれば百匹近くになるだろう。気まぐれに増やしていった結果そんな数になってしまった。
「全部俺の使い魔なんだが増やしすぎてしまってな。世話するのが少し面倒になってきていたんだ。どうだ? やってくれるか?」
「はい! 動物のお世話係頑張ります!」
ミーシャは丸くしていた目をキラキラと輝かせて元気よく言ったのだった。
次回は奴隷たちの案内になるかな? と思います。
結構行き当たりばったりで書いているのでなにかおかしな点があったら教えて下さい。
自分で書いた文章って読んでて恥ずかしくなって結局しっかり読めないことってありますよね……。




