第7話 ガイオン奴隷商 2
連休なのに忙しいのはどうなんでしょう?
「以上ですべてとなります。面談の準備を致しますので応接室にてお待ち下さい」
モーリーが護衛に目配せをしながら言った。
モーリーが準備とやらをして護衛の男が最初に話した部屋まで案内してくれるらしい。
「死にかけの奴隷だったり病気の奴隷だったりで安くなってる奴隷っていたりしないのか?」
気になっていたことを聞いてみた。
「病気は発覚した時点で伝染らないように当商会の医師の元に送られることになっております。また、部位欠損をしているなどの奴隷は戦争中や戦争後に増える傾向にあります。最近は大きな戦いもありませんでしたので現在は当商会にはおりません。今の時期に売っているそういった奴隷は多くが違法奴隷ですのでお客様もお気をつけ下さいませ」
そっか。さすがに大量購入とはいかなかったか。
違法奴隷売買に関わると最悪死罪だからな。捕まらないだろうけど面倒なことになるのは確実だ。まあどうとでも誤魔化せそうではあるけど…。
〜〜
「それでは私共は席を外しておりますのでお話が終わりましたらお呼びください」
部屋で待っているとモーリーがまず4人家族を連れてきた。護衛とモーリーは席を外してくれるらしい。
「俺はソータだ。こっちはリタ、俺の大切な人だ。お前たちを家族ごと買ってもいいと思ってるんだが話は聞いてるか?」
「はい。大まかには」
モーリーが話しておいてくれたらしいな。
「じゃあ説明はいらないな。まずは名前と歳、得意なことを教えてくれ」
すぐに父親から自己紹介を始めた。
「はい。俺はニックっていいます。歳は38で畑いじりが得意です。元は農家だったので」
やっぱり
「私はニックの妻のマリーです。歳は…36です。家事は一通りできます。そしてこっちが」
「レオです。17歳で、父さんの仕事手伝ってたから力仕事は得意です。こっちは妹のミーシャ。15歳です」
マリーの言葉を遮るようにレオが言った。
子ども扱いされたくないのかな? あとお兄ちゃんだから?
「えっと、ミーシャです。15歳です。お母さんのお手伝いしてました」
得意なことは? まあいいか。
「次に、なんで家族で奴隷になったのか聞いてもいいか?」
「はい……。先ほど言ったように俺たちは農家だったんですが、不作が続いてしまって…借金が膨らんでいって返せなくなってしまったからです……。誰か1人を犠牲にするなんて出来ませんから…」
だいたい予想通りだった。
『ソータくん。どうするの? 私は助けてあげたいけどな(チラッ)』
こっちも予想通りだ。
「なるほどな。最後に、だ。俺たちにはたくさん秘密があるんだ。それを無理して隠すほどではないがあまり知られたくはないんだ。だからそれを言いふらしたりできないように契約させてもらうがいいか?」
「は、はい。もちろんです。契約などなかったとしても言うなと言われれば言いませんので! ありがとうございます!」
「ああ、ニックたちには畑を任せようと思ってるから。そのつもりでいてくれ。あと、二人に手を出すつもりもないから安心してくれていいぞ」
心配そうにしてたから先に言っておく。
「はい! ソータ様とリタ様はすごくお似合いです! 本当に本当にありがとうございます!」
みんなほっとしているようでよかった。リタもほっとしてる。なんで? そんなに俺、信用ない?
話は終わったのでモーリーが置いていったベルを鳴らすとすぐに護衛が入ってきて四人家族を連れていく。このベルは下級の魔道具だ。遠くにいてもなったのが分かるというだけのものだが。
〜〜
次にモーリーに連れてこられたのは性奉仕NGの女戦士だ。値段は金貨30枚と聞いた。近くに美人の奴隷がいるのに性奉仕NGだと不満もたまりそうだしな。それでも十分高いけど。
モーリーは案内だけしてすぐに出ていく。
「それで、私を買いたいというのはあんたらか」
美人だからなのか、強いからなのか、自信満々と言った感じだ。
どっちもリタに負けてるけどね。
「ああ、名前と歳、出来ることを教えてくれ」
「なんだ。私のことを知らないで買おうとしてたのか。それは珍しいな……、私はリズ、26歳だ。元Cランク冒険者をしていたから戦闘面や野営などの心得はある」
「そうか。なんで奴隷なんかやってるんだ?」
「……私に言い寄ってくる面倒くさい輩をテキトーにあしらっていたら各方面から恨まれていたみたいで…な。騙されて借金を負わされてしまって、パーティーメンバーにも裏切られて、どうしようもなくなったからこの身を売った。すでに報復は済んでいるのでそこは気にしないでほしい」
おお、さすが美人。気が強いというか執念深いというか。
報復って何したんだろ……。
『報復って何したんだろう……』
リタも苦笑いだ。
「なるほど。よく分かった。大変だったみたいだな。そうだ、性的な奉仕はだめらしいな」
「当たり前だ! 私は私が認めた男以外には身体を許すつもりはない!」
「お、おう。そうか」
『ソータくん、この人! いいよ! おすすめだよ!』
うん。言うと思った。さっきも聞いたよ? 買うのはほとんど決定だな。
「俺にはリタがいるからあんたに手を出すことはない。それでだ。契約の時に俺たちの秘密を言いふらさないように条件を付け加えるがいいか?」
「ああ。問題ない。見たところあんたらも冒険者なんだろう? 冒険者なら人に言えない秘密くらいあってもおかしくない。私を買うのもパーティーメンバーにするためなんだろう?」
「あー、そのへんはあとで説明するよ。…そう言えば名乗ってなかったな。俺がソータでこっちがリタだ」
パーティーメンバーなんて正直いらない。冒険もリタと二人がいいし。リズには俺たちとは別に冒険者みたいなことをしてもらおう。身内に高ランクがいたら何かと便利そうだしね。
「ソータとリタだな。覚えた。よろしく頼む」
家族の時と同じようにベルを鳴らしてリズを連れていってもらう。
〜〜
次は家事系のスキルが高かった二人だ。モーリーに二人同時でいいと頼んで連れてきてもらう。どちらも落ち着いた雰囲気で普通すぎて印象が薄い。どちらも母性を象徴するものは立派だからどうしてもそっちの印象が強くなってしまうな。
この二人はそこまで高くはない。高くても金貨15枚くらいだろう。
「ソータだ。こっちはリタ。みての通り俺とリタはラブラブだから買うことになってもお前達に性的な奉仕を命じることはない」
手っ取り早く説明するためにリタを抱き寄せて頬にキスをする。別にリタ成分を補給したいからじゃない。ほんとだよ?
「ちょっとソータくん! もう! 困ってるじゃん!」
二人はなんとも言えない表情をしていた。
「二人とも、名前と歳となんか得意なこと教えてもらえるかな?」
二人はお互いの顔を見つめあって順番を決めてから自己紹介してくれた。
「じゃあ私から…私はサラです。歳は今年で23になります。料理とか掃除とか、家事全般は得意です!」
「リリです。今年で19歳になりました。私も家事全般は得意です! 一番得意なのは…裁縫かな?」
「ふむふむ、なるほどね。じゃあ次。奴隷になった理由聞いてもいい?」
「私は寒村出身で……誰かが犠牲にならなきゃみんな生きていけなかったから…私が志願しなかったら村の子供たちが……」
「大体はわかった。思い出させてすまなかったな。リリの方は?」
「私も大体同じです…。私が行かなかったら弟が売られそうになってて」
奴隷になる原因なんてほとんど同じようなもんだしな。
「ソータくん」
リタが助けたそうにこちらをみている。
「よし! 二人にはこれからメイドみたいなことをしてもらおう! これからよろしくな!」
「よろしくお願いします!」
リタも嬉しそうだ。
「本当ですか! ありがとうございます!」
ベルを鳴らして今までと同じように回収してもらう。
〜〜
「それで、いかがでしたでしょうか? お気に召した者はおりましたでしょうか?」
面談は全員終わったのでモーリーと護衛が入ってきて、最初と同じように紅茶を出してくれる。
「ああ。面談した者たちは全員もらおうと思う」
「そうでございますか! 何よりでございます。すぐに契約の準備を致しますので」
目配せをして護衛が出ていく。が、すぐに戻ってきた。見える所にはあまりいないけど裏には人員がたくさんいるんだろうな。
「先に金を払おう。いくらだ?」
「はい。それでは…お客様方には条件付きを引き取って頂いておりますし、購入して頂く人数も多いですので……金貨65枚でいかがでしょう?」
結構良い人材もいるのに65枚とは。太っ腹なことだ。まあ条件付きはほとんどが扱いに困ることがほとんどだしあちらとしても厄介払いしたかったのだろうと思う。
魔法袋に手を入れて取り出す振りをしつつ、実際にはアイテムボックスからちょうど65枚出す。1枚1枚ちゃんと数えている振りをしつつ、モーリーに払う。
「はい。ちょうど頂きました。……準備が整ったようなのでさっそく契約をいたしましょう。先ほど仰っていた内容でよろしいですか?」
「ああ、たのむ」
すぐに契約魔法が使える商人と面談した者たちが入ってきて契約が始まった。
「それでは後は主となる方が奴隷紋に血を垂らしていただければ契約完了となります」
一人一人血を垂らしていく。血を出してはすぐに治る、血を出してはすぐに治る。少々面倒ではあったが怪しまれないようにできた。
俺なら血を垂らすなんて面倒なことしなくても契約できるけど普通の人間にそれを求めるのは酷だろうか?
無事奴隷を買うことが出来たのでみんなが自分の荷物をもってくるのを待ってから奴隷たちをともなって店を出る。
もう夕方だ。とりあえず異空間に招待しようかな。
次回、異空間に招待するようです。
双子も忘れてませんので安心してください。
いつか出ます。




