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第6話 これからの家

リタに異空間について説明するようです。

「リタ、今まで聞かないでくれてありがとう。これからは少しずつ俺の力について知っていってもらおうと思ってる」


サンドイッチもなくなったところでそう切り出す。


「うん、私ももっとソータくんのこと知りたい」


「まずはこれからの生活にあたって、異空間っていう場所について教えておこうと思うんだ。空間魔法で作った別の空間なんだけどね」


異空間へのドアを出現させて異空間について説明していく。リタもいちいち質問したりせずにちゃんと話を飲み込もうとしてくれた。


「まあ実際に見た方が早いと思うから、中に入ってみよう?」


リタを扉のなかに誘導する。ドアを開けるとその先には森と湖、そして後ろを向けば豪邸がたっている。中を見てもリタは何も言わなかった。というか驚いて何も言えないという状況だった。

屋敷の中を隅々まで案内した。シャワーやトイレの使い方、シャンプーとトリートメントの用法、各種魔導具の使い方、注意事項などをどんどん説明していく。


「これからはこっちで生活しようかと思ってるんだ。あっちよりもずっと便利だからね」


リタがコクコクと頷く。さっきからずっと目を輝かせている。お風呂かな?


「ここ以外にもこの空間には色んなものを作ってあるんだ。この転移扉の部屋が各地を繋いでる。とりあえず全部回ってみる?」


リタは激しく首を上下に動かす。扉の先が気になって仕方がないといった感じだ。


「色んなところに転移扉の部屋はあるから迷いそうになったらその部屋を探して。あとは危ないものがある所には貼り紙をしてあるからそれがあったら触らない方がいいよ」


色々説明しながら異空間を回っていく。牧場、養殖場、高層ホテル、海辺のマンション。どれもリタのお気に召しているようだ。


「ここでは大抵のものは作れるけど生き物と食べ物は作れないからなにか良さそうなのがいたらこっちに連れてきて増やすつもりなんだ。リタも飼いたいものとか食べたいものとかあったらどんどん持ち込んでいいからね?」


「分かった! さっきの畑に芋とか森にも食べられる草とかあったけどあれは持ち込んだもの?」


「そうだよ。今のままじゃ殺風景だったからマリオンで種芋とか貰ってきて増やしてる」


「そうなんだ! でもこんなに広いのに管理できるの?」


「うーん、今は小さいから1人で面倒みれてたけど増えていったら荒れ放題になっちゃうかも。だから管理する用の人材も同時に確保しようと思ってる」


「それって…奴隷…ってこと?」


さっきより少し暗い声で聞いてくる。


「うん。ここのことを話されちゃまずいからね。リタと同じように俺の秘密は話せないように契約する」


「そっか…。そうだよね…。こんなに広いなら人手も必要になるもんね…」


リタが心配に耐えないというような顔をしている。それもそうか。自分は今奴隷でその主人がもっと奴隷を増やすって言ってるんだ。今はよくても後々自分の扱いがどうなるかわからないもんな。


海辺のマンションの最上階、そのヘリすらも停れるくらい広いベランダから海を見て不安がっているリタ。そのままどこかへ行ってしまいそうなリタを後ろから抱きしめるようにして耳元でささやく。


「リタ、俺の気持ち知ってるでしょ? これからもリタへの気持ちは変わんないよ。リタが俺を嫌っても、俺はリタを思い続けるよ」


「ふえっ?!」とか謎の鳴き声をあげつつ、耳まで真っ赤にして動揺しているリタ。狼狽えているリタを楽しんでから解放して転移扉を出現させる。


「さあ、案内も一通り終わったところだしギルドへ行って報酬を受け取らなきゃね」


リタはむっとした表情になりながらも付いてきてくれた。不安は吹き飛んだようだ。よかった。




このガイオンの冒険者ギルドには酒場がないようだ。ギルド内部は受付、買取カウンター、掲示板、少数のイスくらいしかなかった。まあ酒場なんて使ったことないしいいんだけど。絡んでくるような冒険者もいなかったのでなんだか拍子抜けだった。


「依頼の完了を受理しました。こちら報酬となります、お確かめください」


「ありがとう。ここはなんだか静かな冒険者が多いな」


報酬を受け取るついでに聞いてみる。


「ここではギルドマスターの意向で輪を乱すような人には罰を科すことになっているんですよ。その結果、喧嘩を売るような人は違う街に移動して冷静な方々が集まるようになったんです」


「へぇー。そりゃ怖い」


「無闇に喧嘩を売ったりしなければ大丈夫ですよ! 普通の方にはむしろ居心地がいいんだと思います」


まああの仕事人間、デレクのことだから自分の管轄はしっかり取り締まっているんだろうと思っていた。予想通りと言える。


その後、ギルドを出て街をあてもなくぶらつく。


「てっきりそのまま依頼を受けるかと思った」


「もうお昼だし何か食べてから異空間に持ち込むものでもみようかと思って。リタもなにか見つけたら教えてね」


リタと屋台で食べ物を買って歩きながら食べる。リタと一緒だとなんでも美味しいな。ちなみにリタはずっと不機嫌だ。そんなリタも可愛いよ?


「果物なんていいと思う」


八百屋を指差しながらリタがつぶやく。


「おっちゃん。果物系全部5個ずつくらいちょうだい」


八百屋のおじさんは少し驚いて固まったあと笑顔で「毎度!」といって麻袋に果物を詰めはじめた。


「食べたあとの種って地面に蒔いとけば育つの?」


「まあ育つっちゃあ育つが時間かかるぞ。 なんだ? あんちゃん作る方に興味あるのか?」


頷くとたくさん買ったからサービスのつもりなのか育てる上での注意点や育て方の基本など色々教えてくれた。ありがたい。リタはというと自分が提案したけどまさかそんなに買うなんてといった顔をして固まっていた。


その他にも野菜や肉など育てるもの以外の食材も買っていく。牛とか豚とか家畜を生きたまま買えればいいんだけど牧場なんてあるのか分からないし今買っても放置するだけになりそうだったのでやめておいた。



色々買い物をしているうちに日が傾いてきたので異空間へ移動する。異空間の中はさらに日が傾いていてもう夕方だった。

一応ガイオンに合わせておくか。

異空間の屋敷周辺の区画の太陽の位置をずらす。リタが驚愕を顔にはりつけてこちらを見ている。


「すごいでしょ。この空間は俺の空間だからね。大抵の事はできるんだ」


少しドヤ顔でリタに言う。コクっと、思わずといった感じで頷いた。その後すぐにハッとした表情になり、顔を逸らされてしまった。まだ不機嫌は継続中のようだ。からかったと思われてるんだろうか? 本心を言っただけなのに。はっ! それとも抱きしめたのを怒ってるのか?!



「リタ、夕食を作っておくからその間にお風呂入ってきて。この時間だと海辺のマンションの区画の浴場がいいかな。あのマンションの海側にある建物が露天風呂だから」


「分かった」といってすぐに転移扉の部屋へとかけていくリタ。よっぽどお風呂が楽しみだったようだ。俺の方は料理に取り掛かろう。醤油や味噌などの日本の調味料を使って料理を作る。使うのは邪龍の肉にしよう。この邪竜の肉にはまったく臭みやえぐみといったものがない。旨みの塊のような肉だ。さすが最高級。肉食なのに臭みがないとはさすが異世界。邪龍の肉を厚く切って焼いていく。大根とにんにくをすりおろして醤油と酢と混ぜ合わせる。これで簡単な和風おろしソースの完成だ。俺はつけて食べる派なので深い皿にもっておく。付け合わせとして茹でたジャガイモを一度潰して形を整えて揚げたものと茹でたブロッコリーを添える。主食はご飯、米だ。あれから全然食べてなかったからまだまだ残っている。でもはやく俺も探さないとな。数百年前の水田地帯に行っても今はもうないだろうし。味噌汁も作った。豆腐やワカメは少量しか入っていなかったからこれも探さねば。


作り終えてリタを待つ。料理が冷めるといけないので時間は止めている。リタは宿でもステーキを好んで食べていた。だからステーキにしてみたんだけど、口に合うだろうか?

考えているとリタが戻ってきた。ドライヤーの使い方もマスターしたようで髪は乾いていた。少し残念。濡れた髪だとまた違った可愛さがあるからな。でも頬は上気していて色っぽい。


「おかえり、リタ。夕食は出来てるから一緒に食べよう?」


「うん。お風呂気持ちよかった。ありがと」


それはよかった。

料理の前に座らせて軽く料理の説明をしたあとに食べ始める。料理はまだ熱々だ。


「これ! すごく美味しい! これも初めて食べた味! ご飯とも合う!」


お風呂に入って夕食を食べたら機嫌も直ったようだ。気に入ってもらえて本当によかった。これからも色んなものを作ってみよう。料理人の奴隷を買って情報を教えた方がいいか。俺自身料理はあんまりしたことないし橘さんの記憶を見たといっても所詮は聞きかじりと言ったところだからな。


とりあえず今日はリタが異空間について受け入れてくれてよかった。この調子でどんどん教えていこう。

※ただしイケメン(か最強)に限る

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