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第10話 手のひらで踊れ 2

第二章ここまでです。

長いので分けました。(後半)

ハゲマスがそろそろ限界みたいだ。 実行の時が来たな。

リタが呼ばれたようだ。 ついていく。


「実はソータくんとの関係についてなんですが…


えっ! 俺!


「ソータくんって誰よ?」


いやうるせーよ! ちょっと黙ってろ! リタ。続けて? 俺が何?


「えっと、一週間でDランク間近になった新人冒険者のことなんですが…」


あ、間近なんだ。知らなかった。


「だから誰よ? そんな子がいるの? ていうかそろそろ効くころよね」


だから黙ってろよ年増! ってああ! 寝ちゃった……。


年増がごろつき1を裏口から呼んできた。 運ぶようだ。

おい、触るな。俺が連れてく。

ごろつき1を洗脳して従わせる。

いい匂いだ! そして柔らかい!


年増は無視だ。 俺の存在を無意識のうちに脳内補完させているから。


貧民街に行くとハゲマスと、俺が色々試させてもらった奴隷商人、縄を持っているごろつき2が待っていた。すぐに従わせた。

床が汚かったので異空間からベッドを出してそこに寝かせる。

ごろつき2が縄で口と身体を縛ろうとしていたので止めさせて、異空間から出した清潔な布と魔力を封じる付与をしてある縄で軽く縛っていく。

身体が動けると無理やり切ろうとして怪我をするかもしれないので身体を麻痺させておく。

まあこんなもんだろう。


五人を集めてまだ始めないように命令してから転移して、用意していた洗脳済みの衛兵長以下数名を貧民街へと転移させる。

あとは彼女が起きるのを確認してから始めよう。

できるだけ人に彼女の寝顔を見せたくない。


外に衛兵たちとサブマスたちを待機させ、リタを見守る。

かわいいな。



起きたようだ。

外へ行き、衛兵たちを隠してからサブマスたちを解放する。

特に疑問を持った様子もなく中へと入っていく。


「起きたようね。抵抗は無駄よ。分かっているでしょうけどね」


お! 始まったようだ。 衛兵たちを扉の前で待機させる。


中の様子を使い魔で確認しつつサブマスたちをどうしてやろうか考える。


ハゲマスに命令権を行使されてすぐに契約を始める奴隷商人。

リタの左手の甲に奴隷紋が刻まれた。

もう少しかな。

――!


「そこまでにしといてもらおうか」


衛兵を連れて中に入る。 ……まさか泣くとは思わなかった。


「ギルドマスターとサブマスターともあろうものたちが本当にこのようなことをしているとは。もはや言い逃れは出来んぞ!」


衛兵長が仕事をしている。 さっきまで仲良く並んであほ面さらしてたのに。


サブマスの洗脳をといた。 あのタイプは自分がいいように弄ばれたと知った方がショックがでかいだろうから。 今頃年増の頭の中では今まで感じてきた違和感の正体に気付いて納得している頃だ。そしてそんなことができてしまう俺に対してなすすべがない。自分がつんでいることに気付いてしまっただろう。



さて、あとは。


「……。(喉を掻っ切れ)」


誰にも聞こえないように命令権を行使する。


「うわあああああ?!」


奴隷商人の喉から赤い花が咲いて出で来た(いできた)

男は倒れるが赤い流れは止まらない。まるでじょうろで地面に真っ赤な水でもやっているかのようだった。


あっちの世界にいた頃はネットで動画とかみてグロくて気持ち悪いって思ったけど、今じゃもうこんな詩的表現が出てくるようになってしまった。



こっちを見て胸をなでおろしているリタの近くへいく。


「大丈夫ですか? 助けるのが遅れてしまってごめんなさい」


布と縄をほどいて見えないように異空間に収納する。

ああ、そうか。麻痺させてるんだった。

まだ衛兵長いるしヒールは使わない方がいいよね! 抱きおこしてあげる。

リタがめっちゃ見てる。これはあれかな、何触ってんだ的な…


「ソータ。 彼女も怪我がないようでよかった、しかしその奴隷紋ははやくどうにかした方がいい。そのままにしていては逃亡奴隷として捕まえなければならなくなってしまう」


よかった、よくやった衛兵長! これでもっとふれあえる。


「知り合いの奴隷商に契約解除を頼んでみようと思う。やつらはどうなる予定だ?」


知ってるけど聞いてみる。


「できるだけやつらも鉱山奴隷として償わせたいとは思っているが、罪が重ければ極刑もあり得る。一人は教訓とするために死刑となるだろうな」


死刑になるのはサブマスターだ。年増でも美人の女性奴隷がどうなるかなんて分かりきってるしな。 

あいつの中には少しだけだったがリタを思いやる気持ちがあった。 だから慈悲ってやつだ。




前に行った奴隷商にリタを連れていく。

もちろんお姫様抱っこだ。 当たり前だ。 

いまさらヒールかけてもなんでもっと早くかけなかったって思われそうだし。

今もまだ見られてるけど気にしないね!


「助けに来てくれてありがとうございます」


どうやら別に責められていたわけではなかったようだ。

(泣かせてごめんね)

何も言わずに微笑んだ。




「ああ、この前の! 本日はどのようなご用向きで?」


「奴隷契約の解除を頼みたい」


無理なのは知ってるけど。

解除の魔法を使っていくが案の定失敗する。


「この契約をした人間は今どこに?」


「自殺していった。もうこの世にはいない」


嘘は言ってない。


「お客さんは逃亡奴隷についてご存知でしょうか」


知ってる。 頷いた! かわいい!


「それでは逃亡奴隷なってしまう条件については?」


知ってる。 首を()()()ってした!()()()って!


「逃亡奴隷、すなわち主が不在の状態になってしまうのは二通りの場合。

主が命令権の譲渡前に志望してしまったとき

主が決められずに条件だけを決めて契約が完了したとき

です」


知ってるー。 わかってないみたいなので俺も()()()ってしてみる。


「端的に申し上げますとお客さんの奴隷紋は逃亡奴隷という状態にありません。逃亡奴隷というのはあくまで契約が完了した場合にのみ適応されている言葉です。お客さんの奴隷紋はまだ契約途中で完了していないため、我々では手出しできません」


「どういうことだ?」


リタが分かんないって! あんまり不安にさせないでよ。


「はい、奴隷契約には基本的に最初から最後まで同じ者が行うという制約があります。 過去に契約途中で違う者が引き継いで行われたことはありましたが成功したことは一度もないと言われているのです」


「ならリタさんはどうなる?」


よくわかってないから! 簡単に頼むよ!


「奴隷契約は条件や主を決めることで命令できる範囲を狭めていくのです。主や条件も決められていない契約途中となると発作的に様々な人から命令権を行使されるようになることもあるでしょう。契約途中で術者も死んでいるとなるとどうしようもできません。誰にも会わない場所でひっそりと暮らしていけばあるいは誰の命令も受けずに生きていけるかもしれませんが、少しでも知られてしまえば、言葉は悪いですが好き放題されてしまうなんていうこともあり得ます」


知ってる。 あの奴隷商人で試したし。

まあそんなこと神にだってさせてあげないけどね。

あ、リタが燃え尽きてる。

とりあえず街の外まで連れて行こうかな。

ほんとは時計塔とかがロマンチックだけど、人いっぱいいるし。

それはまた今度、君の気持ちを完全に盗んでからするから!





門を通る前、身体の麻痺をヒールで解き、彼女の命令権を使って一緒についてくるようにいう。

命令権を乗っ取られたりしないように手をつないで魔力の流れを操作しながら歩く。


「リタさん、平気ですか?」


ああ、戻ってきた。

人もいなくなったようなので手を離してリタの方を向く。





これからするのはプロポーズだ。 できることはほとんどやったはずだ。

どうか、どうか、受けてもらいたい。






「リタさん、俺ならその奴隷紋、どうにかできるかもしれないんです。でもその力を言いふらされる訳にもいかなくて」


(俺なら絶対リタを幸せにするよ。リタが俺のものになってくれるなら)




「リタさんを信じてないわけじゃないんですが。 なんというか俺の、保身のためというか」


(好きになった人でも疑ってしまう自分に、自信がないんだ)




「リタさんのことどうしても助けたいんです。」


(でも、どうしようもないほどリタを好きになってしまったから)




「俺と一緒に生きてください」


(だから、俺の気持ちを受けとめてください)










「よろしくお願いします」



――――――――――――――――――



すぐにディスペルで奴隷紋を壊して新しい奴隷紋を刻む。




ニヤリ――。 


心の中でほくそ笑む。

全部うまくいったようでよかった。

懸念点はリタの俺への感情だけだったが、それも一定以上はクリアできていたらしい。

洗脳魔法を使うのではつまらない。だからリタには一切洗脳をしていない。

リタが俺のものになってくれるように、全部用意した。


リタが俺を受け入れてくれたから。

俺もリタのすべてを受け入れるよ。

だからどんどん好きになってね。

俺の本当の姿もみせてあげるから。

嫌いになったりしないよね?

リタ、受け入れてくれたもんね?

大丈夫、俺はなんでも受け止めてあげるよ。

だからリタ、これからよろしくね。

実は全部知っていたという話。


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