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第2話 ダインと邪神討伐

少し弄りました。(4/22)

鈴木奏太、17歳、男、只今異世界の森の中で迷子です。


Fカップの話では異世界の神のもとへ送るって言ってたんだけどな。まさかFカップのせいで手元がくるって座標がずれたとかそんなおちじゃないだろうか? 「あっ!」って言ってたし。


それと異世界についたら身体が適応されるとか言っていたな。

でも身長などは特に変わった様子はないな。外側は元の世界と同じで内側だけ変化したのだろう。


まあ、まずは【特性】とやらを使ってみようじゃないか!

本番で使えなければ意味がない。練習は大事である。


【特性】とは魂に刻まれた力ゆえに使おうと意識すればなんとなく使い方がわかるらしい。

意識してみると目を閉じていても近くに何があるか手に取るようにわかる。

それだけでなく範囲内にある木の生命力のようなものが感じられた。


それを吸い取るイメージをするとみるみるうちに木が枯れてしまった。

そのかわり、自分の身体が活性化されているのを感じる。少しだるさを感じていた身体が、好きなスポーツをするときのように生き生きとしているのが分かった。


まわりの木にも同じように力を使っていく。どんどん生命力がみなぎってくる。

すぐにほとんど意識しなくても能力を扱えるようになった。流石は魂に刻まれているだけはあるな。



それにしてもやけに森が静かだ。懸念していた魔物どころか動物、虫などの気配もないようだ。


(とりあえず神様探そうかな?)


【特性】の使い方も大体マスターした。あとは神とやらに会って案内というものを受けよう。


しかしどちらに行けばいいのかまったくわからないのでテキトーに一方向決めてずっとまっすぐ進むことにした。 


(いつか森の外にでるだろ)


方向を見失わないように森の木々を枯らしながら歩いた。多分ステータスも伸びるだろうし。

いつからか【強奪】で感じられる気配の範囲が伸びた気がした。

能力自体が成長しているということなのだろう。



しばらくするとひと際大きな巨木が見えてきた。高さだけでも五倍くらいありそうだ。気になって近づいてみる。生命力がほかの木とは段違いなほど多い。


すこし吸い取ってみるが全く枯れる様子がない。楽しくなってもっと奪ってみる。全く枯れる様子はない。それどころか根から吸い上げてでもいるのか、常に生命力に溢れているようなかんじだ。


今度は全力で 【強奪】を使う。

すると枝の先から徐々に元気がなくなっていき、やがて枯れ始めた。

吸い続けていると能力を全力で使っているからか、範囲もそうとう伸びていっている気がした。


バキッ―――。


もう少しで幹まで枯れ始めるかといった頃、何かが降ってきた。

その正体は、範囲内に捉えるとよく分かった。


神だ。


「いててっ。何事じゃい、まったく」


うーん。これだけでも状況はなんとなく理解できた。

きっとこの爺さんはこの木の上で昼寝でもしていたのだろう。

それで木の枝が枯れてしまったもんだから体重に耐え切れなくなって、折れて落ちてきた。

といったところではないだろうか。

というか木が枯れてるときも寝てるとかしっかりしろよ! 神だろ!


「こんにちは。 俺は鈴木奏……、ソータって言います。あなたがこの異世界の神様ですよね?」


いかにも日本人といった名前を捨て、異世界風にソータと名乗ることにした。なんかそれっぽくていい。


「おお、そうじゃ! わしがこの世界を管理しておる神ダインじゃ。待っておったぞ! 早速案内をと行きたいところなんじゃが……」


どうやらそうもいかないようだった。


ダイン が言うには


転生者である俺を案内するという仕事が決まる前に、邪神討伐を始めてしまって今はその途中なのだそうだ。進捗状況としては各地に散らばった邪神の配下たちは討伐し終え、後は本丸を残すのみといったところらしい。そんなときに俺が来ることになって、仕方なく昼寝しながら待っていたという。


「興味があるなら邪神討伐についてくるかの? なに、心配いらんて。わしの後ろにいれば危ないこともほとんどないじゃろ。それにおぬしならなんとかできるだろうしの」


興味はある。とても。だって邪神だぞ。ゲームでは裏ボス的存在だ。しかも下っ端とかでもなく邪神軍の本丸を落とすところときてる。それをいわばチュートリアルで体験できるというのだ。とても面白そうである。おこぼれも期待できそうじゃないか!

【特性】についてはやはり報告がいっているようだ。まあ敵対しなければ何もしてこないだろうから別にいいのだが。危険だから排除するなんて言われたらどうしようかと思ったぜ。


「ならついて行かせてもらいますね」


ということで、邪神討伐をすることになった。




―――――――――――――――――




邪神軍が根城にしている森の近くまで転移して向かう。

途中で気になったことを聞いてみた。


「ところでさっきの木ってなんであんなにでかかったんですか?」


「あれは世界樹といってな。世界に根付いてその世界に安寧をもたらすと言われている木なんじゃ。まあ実際には育つと意思を持ち始めるというだけの木じゃな。自分が住みやすい環境を整えるうちに勝手に土や水に栄養が宿り始める。それを誤解した世界の神が噂を流したんじゃ。あれは幼木でまだ意思を持っておらんかったがの」


「この世界にはあの一本しかないんですか?」


「いやいや。この世界にも意思を持っている世界樹は生えている。さっきのはその世界樹が個体を増やそうと種子を飛ばして生えてきたものじゃろうな。あれの管理はなかなか大変なんじゃ」


世界樹って聞くとなんかすごいものかと思ったけど別にそうでもなかったようだ。なんか普通に生物って感じだ。


森に入ると様々な凶悪な魔物や悪魔たちが襲ってきた。そのどれもが一匹いれば街が滅ぶといった強さだろう。それをダインは危なげなくさばいていく。後にはいき絶え絶えな魔物が残るばかりである。


そんな魔物たちからステータスやスキルなどを奪っていく俺。能力が効かないなんてこともない。

能力がどんどん上がっていってウハウハだ。




森の中腹まで来た頃、魔族や悪魔たちが集団で襲ってきて、ダインと分断されてしまった。

これを好機とみて敵が鬱陶しいほど集まってくる。狙われているのは当たり前だが俺のほうである。

しかしそれまでに数えるのも面倒になるほどの、邪神軍本丸に控えるくらい強い魔物や悪魔たちのステータスを奪ってきた俺。途中からは死体からも奪えるように能力が成長し、さらにウハウハ状態になった俺である。


馬鹿馬鹿しいほどのステータスを得た俺に傷をつけられたものはいなかった。

腕を振るえば敵が勝手に死んでいく。


そんな時に手に入ったもの。ずっと欲しかったもの。

〔鑑定〕スキルである。


これほど強くなってもまだ自分のステータスがどの程度なのかよくわかっていなかった。

スキルだってそうだ、大量に敵から奪ったので把握できていない。

さきほど腕を振っただけで弾き飛んでしまった魔族に感謝する。

ちらと自分のステータスをチェックするが次から次へと敵が湧いてきてよく確認できない。


もう邪神がいるだろう禍々しい城が見えてきている。

ダインと合流して早く討伐しに行ってもらおう。 


もう一つの騒がしい戦場の中心にいるダインのもとへ駆ける。敵はすべて殴りながらステータスを奪っていく。そして死体はいつからか使えるようになっていた空間魔法で作ったアイテムボックスのような空間にしまっていく。


すぐにダインと合流して先に城へと向かってもらった。

俗に言う「ここはまかせて先に行け」というやつだ。

森に入ってからずっと戦っているダインだが傷も疲れも全然見られない。

さすがは神といったところだな。




それからしばらくたって、もう向かってくる敵はいなくなった。


(ダイン のほうはどうなったのだろうか)


急いで戦闘音がしている城へ向かう。



両者傷を負っていた。

手下たち相手には無双していたダインも邪神相手には少なくない手傷を負って、息もあがっている。

一方の邪神のほうはすでに満身創痍といった状態だった。


同じ神でもダインの方が何枚か上手だったということだろう。



でもなぜだろう。


管理神と邪神。


本来敵同士で憎みあっていそうなものなのに。


どちらも悲しそうな顔をしているのは。



ふと、邪神がこちらに気付き、フッと笑う。


ダインに寄せ付けないだけの魔法を放って、こちらに迫ってくる。


もうすでに神のスピードにもなんとかついていけるようになっていた俺は邪神が【強奪】の範囲内に入ったのを感知すると、全力で使う。


能力性能はものすごく成長していて、肉迫するころには俺の方がステータスが上の状態となっていた。


力任せに押さえつけてさらに能力を奪い続ける。


抵抗はほとんどなかった。



能力に異変があった。 そこに強い力があるのに何かが絡まっていて取れない。

無理に奪ってしまえば力も絡まっている何かも消滅してしまいそうな感覚。


これが【特性】だろうか。


確かにこれは自由に弄れそうにないな。


【特性】以外の能力をあらかた奪うとまたも奇妙な感覚があった。

誰かの記憶のようなものが濁流のように流れ込んでくる。【強奪】が成長して記憶まで奪い見ることができるようになったのか。 




だとするとこれは邪神の記憶。





ダインがこちらにやってくる。


邪神はもう息絶えていた。


すこし残念そうな表情を浮かべて、ダインは怪我がないか聞いてくる。


「大丈夫だ。それよりあんたの方がひどいだろ」


よく見ると邪神に受けた傷は結構深く、少し疲れた様子だ。


「わしも大丈夫じゃ。それより、間違っても蘇生されないよう死体を回収せねばな。そのあとはおぬしの案内といこうか」


大丈夫そうには見えない。


それに、死体を回収する必要も、もうないんだ。





ダイン は自分の空間がある神域に帰ってもらうことにした。


理由は二つほどある。


一つはダインの傷のため。

熱があるときに自然と家に帰りたくなるように、自分の空間が一番休まるだろう。

それに案内ならもう十分すぎるほどしてもらった。


二つ目は……ただのわがままだ。


死体にはたとえ蘇生しても、もう邪神としての力も記憶も残っていない。

だから死体をダインが回収する必要はない。


ダインは文句を言うこともなく、帰ることを了承してくれた。



塵も積もれば山となる。



いくら一匹一匹に勝っていようとそれらすべてのステータスを一人が持っていればたとえ 神 でも勝つことは容易ではない。ましてや、ボスである邪神の力も奪ったのだ。


すでに自分では()()()()()()と気付いているのだろう。



ダインを見送り、荒れ果てた森の中に一人となる。

禍々しい城は邪神のスキルで維持していたもので邪神が能力を失うと同時に消えてしまっていた。






そんな土地に墓をつくる。


日本にあるような普通の墓だ。


そう、普通でいい。


もう彼は邪神ではないのだから。


穴を掘り、彼を埋める。


石の形を整えていく。


世界に絶望し、自分の信念と理想のために戦った彼の墓。


記憶を覗いてしまった義務だ。


不覚にもかっこいいと思ってしまった彼への弔いをしようと思った。


死に際の彼の顔を思い出す。悔いはないと晴れやかに微笑を携えていた。


「君はどうするんだい」と言われたように感じた。


森で摘んだ花を添え、墓石に文字を刻む。



『 (たちばな) 久次(ひさつぐ) ここに眠る 』

文章下手で上手く表現できてないかもしれません。

その時は報告お願いします。 _(._.)_

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